続資格受験心得

1.ベンダー系資格

 ベンダー系資格というのは、企業(主にコンピュータ企業)が自社の製品技術にディペンドした教育を提供し、その習得度に応じて自社で認定証を発行をするものである。

 マイクロソフト、ロータス、シスコ、オラクル、ノベルなどが認定を行なっている。これらの資格は、当然、その会社の製品を使いこなせる人間に与えられるものなので、その製品がはやれば、資格の社会的価値はあがる。落ち目になれば価値は下がる。このことは既に述べた。

 試験は一部を除いて、コンピュータによる試験を実施する専門試験機関(企業)が受託して実施をしている。シルバンプロメトリック社などが有名である。コンピュータで実施するために、即座に採点が行なわれ、終了後に即、結果が判明する。試験料金はいうまでもなく数万円と国家試験などよりも高い。しかし、コンピュータで実施するので、個人ごとに出題が変化するなどという芸当も可能である。また、実力判定がより正確になる。試験技術については専門的になるのでこの点は省略する。

 ベンダー系資格の特徴であるが:

1.過去問題集などは市販されていない。でも、大量に資格者を養成しなければならない企業などでは、受験者に問題をある程度覚えさせ、独自の過去問題集を作成しているところもあると聞く。個人受験などでは、いろんな受験対策企業が出している予想問題集(これも、コンピュータで行なう)を使うとよい。

2.ベンダー系教育コースとセットで受ける人が多い。資格試験だけでなく、標準教育コース(実習主体)が用意されているので、これを受ける人がほとんど。もっとも、実戦で実力をつけており自信のある人は、いきなり試験を受けてもよい。また、場合によっては、本で勉強して受験する場合もある。でも、いずれにせよ、試験対策は行なわないと合格は苦しいだろう。

3.お金がかかるので、個人の受験は難しい。1つの資格を取得するために、いくつかの科目を受験しなければならず、テスト料金もかなりかかる。しかも、受講料金も必要だ。数10万円から100万円台になることもある。企業から、資格取得を命じられることがほとんどだろう。このため、受験生のプレッシャーも強いようだ。

4.取得したあとに、すぐその実力を発揮できなければならない。企業が取得させる際には、取得後すぐに仕事になる。資格をもっていても何もできなければ、笑われる。だから、よりコースなどを受講し、自分でも製品を触ってみて、実力をつけておかなければならない。

5.既に書いたが、ベンダ系資格はどんどん新製品発表で、資格更新が必要となる。

 さて、ここでベンダー系資格取得のためのコツを紹介する。

1.受講コースのインストラクタの主張する重要ポイント(「ここ大切ですよ!」)は、必ず復習するように。非常に重要である。なぜなら、彼らは、同様の試験を受けて合格しているため、テキストのどのへんが出題されることがあるかある程度経験で知っているからである。他の受験生のノウハウも蓄積しやすい。また、受講しても、何度も試験に不合格となると、その学校が困るのだ。

2.問題集は必ず入手し、やってみるように。どんなに実力のある人でも。試験独特のカンが必要であるし、問題文は非常に短いものが多い。だから、その文章から読み取る力が必要だ。上司に頼んで、問題集(というよりプログラム)を必ず購入申請しておくように!

3.実際に製品を一通り触って使ってみないと、合格はほとんど無理だろう。サーバソフトなら、インストール・設定くらいはやっておきたいし、ルータなら設定操作も全部やってみる。操作問題が出たらアウトであるからだ。

4.更新試験が一定間隔で待っているものが多いので、あらかじめ、年間計画で、受験勉強を想定し、仕事の調整をつけておかなければならない。

5.世界標準の試験であるので、問題文の日本語がわかりづらかったら、頭の中で問題文を逆翻訳して英語にする練習をしよう。翻訳が稚拙な場合があると思われるからである。

6.資格試験に何度も不合格になると、上司からのプレッシャーなどで、心理的においつめられたりし、実力を発揮しづらくなったりする。必ず一発合格するぞ、の気持ちで勉強、受験をしよう。

 本当は、もっといろんなことをいくらでもかけるのだが、本業だった時代があるので、書いてはまずい点があり、この程度としておく。

2.第2種情報処理技術者試験

 通産省の実施するこの試験であるが、あらゆるコンピュータ産業で働く人間、働こうとする人間にとって、最初の目標とされる試験であろう。

 この試験についての誤解がある。それは「この試験は合格が簡単」という大変な誤解である。この試験は簡単ではない。この試験を受ける人はみな、最初に受験する情報処理系の資格となるだろう。基本事項がもちろん出題される。でも、それは簡単だという意味ではない。

 1種の勉強範囲を10とする、2種は8くらいになるはずだ。2でも、5でもないのである。1種は2種の基本を少し応用し難易度を上げたものなのだ。だから、2種を最初に受けようとしたときには、沢山の未知の用語、未知の言語、未知の技術にとまどうことになる。これらを全部勉強しなければならないのである。だから、これは最初大変なのだ。2種に合格してしまえば、10−8=2の2の部分を勉強すればいい。レベルを少し上げればいいのである。

 最初の8を自分のスキルとして勉強して構築するのは、努力がいる。早く2種「くらい」合格しろよ、というがこれは誤りなのである。情報処理の基本部分の大半を学ぶわけだから、これこそ大変である。1種とか、他の高度情報処理し資格をもってしまうと、昔の自分の努力を忘れ、簡単な試験に思えてしまうのである。本人も2種のころには、大変苦労したはずなのだ。

 だから、2種に挑戦する人にいいたい。「2種を乗り越えてしまえば、あとの資格は楽になる。早く基本をしっかりと作り2種に合格しよう。難しいのは当たりまえなのだ。今が一番辛いはずだ。頑張れ」

 さて次に仕事のプロに対して。「俺はこの業界で仕事が長い。プロだ。簡単に合格するはずだ」も間違え。理由は、コンピュータ技術は進化が速い。仕事は常に進化の最前線の技術で行なわれる。だから、仕事のできる人こそ、最前線の技術の持ち主である。でも、出題される問題はそんなに早く進化できないのだ。いつも後手後手になり、古臭い技術が出題される。私の時代も、紙テープとかMTが出題されて困ったものだ。なぜなら、出題する人間は、富士通の人間でもMSの人間でもないと思われるからである。おそらく、大学の先生方ではないだろうか。もし、最前線の技術のプロが、これらの古い問題を見たら、おそらく解けないだろう。だから、どんなに仕事のできる人でも、試験用の勉強時間をとらなければ合格はできずに恥をかくことになるのだ。私の時代のネットワークスペシャリスト試験にはいつも、待ち行列理論、線形計画の計算問題が出されていた。しかし、業界にこれだけいても、この計算を使ったことは一度もなかった。いや、ほとんどの技術者は使わなかったと尾もわれる。

 効率的に勉強するためには、過去の出題傾向をみて(参考書にかいてある)頻出されている分野から勉強していくことお進めする。また、午後の問題の方が勉強も疲れるので、次のような進めかたがいいだろう。

 朝、または休みの日       : 午後の問題を勉強する(思考系)
 仕事かえり、また帰ってから家で: 午前の問題を勉強する(暗記系)

 疲れきった頭で、午後の問題に挑戦したりしないように。めげてしまうぞ。

 問題範囲が広いので、精読の前に、一回は1冊の本をわからないところがあっても一応最後までやってしまうのがいい。それから、じっくり勉強していきましょう。ともかく一度最後までやると、自分に一度やったという自信が付くし、大変な箇所もわかってくるので、全体像が見え、安心できる。最初かた1ページづつ挑戦しておくと、なかなか先が見えずに疲れて挫折してしまう。

3.加速度

 慣性の法則をご存知であろう。動き出したものは、動き続けようとするし、止まっているものはいつまでも、止まっていようとする。

 私は資格の勉強・受験には、この法則が貫かれていると思う。

 まずある資格試験を目指して勉強を開始する。なかなか、最初、よくわからずに、ペースが遅い。勉強のコツもよくわからず進まない。でも、我慢して勉強を続けていると、急に勉強がはかどりだすし、内容もとんとんわかるようになる。どうも、勉強のコツ・その分野の内容の理解には、加速度というものがあって、一度、うまくサーっと進みだすと、それは止まらないし、勉強に苦労がいらなくなるものだ。

 そして、最後に試験を受ける。試験で頑張る。終わると、合格・不合格いずれでも、あなたは、勉強・試験のコツを完全につかんだ状態になる。あ、しまったなあ。と試験が終わって感じるということ自体、「資格試験の加速度」がついたことを意味する。

 だから、ここで休んではならないのだ。せっかく試験用に動き出した頭脳が、また止まってしまう。すると、また加速度をあたえて、動き出すのには苦労が必要となってしまう。のっている間に勉強をやっちゃいましょう!ということだ。

 試験結果がわかるのなら、即、継続勉強、これで勉強はドンドン進む。なかなか進まないということはない。過去1年の勉強など、これからの1ケ月くらいで終わってしまう。もし、結果が当面わからないのなら、その余勢をかって、別の試験をうけよう。資格試験に挑戦している頭脳の回路がまだ、高速に動いているので、他の分野の試験勉強も驚異的に進むはずだ。

 それをちょっと、勉強して、また1ケ月休んで、また初めて、3ケ月勉強して、6カ月休んでしまう、これではいつまでもたっても、勉強は効率的に進まない。この加速度は、勉強の進捗だけでなく、何度も資格試験に合格していると、資格に合格する加速度というものもあるのだ。だから、複数資格を受けるときには、一気に挑戦するのが効率がいい。

5.試験直前

 情報処理試験の直前である。(10/12)さて、試験直前にはどういうことを注意すればいいのか。

 試験が近づければどうしても、おきてくるのが、「遊びたくなる心」である。試験前が近づけば、近づくほどこれが強くなるのだ。不思議である。小説家も締め切りが近づけば近づくほど、遊びにいきたくなるそうである。泣きながら遊んでいるそうである。

 試験前の最終の土日などはまさに、最後の仕上げに格好の休みである。この土日に勉強をしてすごすのと、すごさないのでは大変な差になる。だが、「今日こそ勉強しなければ」と思えば思うほど、勉強せずに、遊んでしまいたくなる。中には心は勉強したがっているのに、体が反対の行動をする人もいるようだ。でも、それでも、歯を食いしばって、遊びにはいかず、テレビを消し、TVゲームを押入れにたたきこめ!机に向かえ!問題集をあけろ。

 試験直前の日々は、合格のためには大切な時期なのだ。高度情報処理試験は1年に1回しかない!今回を逃したら、また、来年になってしまうのだ。それまで、1年にわたって勉強してきた努力、それが無駄になってしまう。たとえば、マラソン選手が、4年間に渡って、努力しマラソンの練習をしてきたとしよう。いよいよ、オリンピックというとき、その直前の1週間、練習をストップしたら、いい結果を残せるだろうか。残せまい。いくら4年間努力しても、1週間の怠慢でむだになってしまうわけだ。情報処理試験についても、似た状態になる。

 勉強をしつづけ、だんだん、理解が進み、練習問題も早く解けるようになっていく、実感で「あ、おれは今、どんどん伸びてるぞ」という感じがする。スキルがわーっと上がっているのだ。この上潮のピークにうまく試験日をもってくれば、試験で、最大の力を発揮できる。だからこそ、直前の勉強は大切なのだ。

 試験直前の最後の注意:

1.試験前の最後の土日は最も重要な時期だと思え!

2.この時期には、記憶物については、記憶する最重要事項をペーパにまとめておけ。作成枚数は数枚が望ましい。そして試験日までそのペーパの記憶に没頭する。

3.思考問題(論述、記述、計算)などは、この土日に、最後の確認の「解きまくり時期」とする。ここで大事なのは、「スピード」だ。問題解答のスピードアップ訓練を行なって終わりとする。

4..油断するな。土日後に最後の1週間も気を抜くな。勉強し続けて、ベストコンディションでのぞめ!油断したら最後だ。また、1年間合格をお預けになってしまう。

5.試験前日は、8時間は絶対に睡眠しよう。当日、睡眠不足になったら負けだ!

 おそらく、最後の土日を机にむかって、しっかり勉強できたら、なにやら、「おれ。今回合格できるんじゃないの?」という手ごたえを感じたはずだ。その手ごたえは、錯覚ではない。油断することなく今の緊張を保てれば、必ず合格できるぞ。諸君、健闘を祈る!

6.メリット

 資格のメリットについて検討してみよう。取得する本人だけでなく多角的に見てみたい。取得する人間にとってもそれを知っておくことは有益だ。

1.資格者をやとっている企業側のメリット

 ・SEなどで、派遣先への派遣料金が高くなる。
 ・資格者数によって企業の社会的信用が上がる。
 ・社員に取得奨励することで、社員のスキルアップに対する意識を持たせることができる。
 ・将来、やむを得ず社員を切ることになったときに、その社員の再就職・独立を助けることになる。
 ・社員評価の基準を一つ増やすことができる。採用時にも有効。
 ・その資格者を雇用していないと、参入できない業種に参入できる。
 ・その業種で必要なスキルを会社全体でアップできる。
 ・ベンダー系では資格認定企業などから、特別なサポートを受けることができる。

2.資格認定団体

 ・ベンダなどでは、サポートする対象を資格者に絞り込むことができ、効率的にサポートを行なうことができる。
 ・資格者が増えることで、そのベンダ、業種、サービスなどを支持してくれる味方を増やすことができる。 
 ・業界全体のスキルアップをはかることができる。
 ・認定団体の母体の退職社員の受け皿にすることができる。
 ・資格認定の試験、教育によって、利益を得ることができる。
 ・ベンダなどでは自社製品のサポート力が向上する。

3.派遣受け入れ企業・直接顧客

 ・システム導入費用見積もりの妥当性を判定する際に資格者数が助けになる。
 ・仕事依頼時の(ある程度の)スキル判定に使用できる。
 ・問題が起きた場合、責任を、業務依頼した資格者に転嫁することができる。
 ・資格者のスキルを使うことができる。(本来これがメインなのだが)

4.家族

 ・評価が上がり給料が上がる。資格手当てが出る。
 ・勉強している間は、遊びが減る。

5.本人

 ・勉強のいい目標になる。
 ・個人のキャリア意識が芽生える。
 ・評価があがり、職位が上がり給料に反映される。資格手当てがもらえる。
 ・仕事先の相手に、一目おかれる。あしらわれたり、なめられない。
 ・転職ができる。
 ・リストラに対する恐怖心が減る。
 ・独立できる。
 ・社会的評価/信用力があがる。
 ・業務に自信がつく。
 ・同じ資格者同士のネットワークに参加できる。勉強にもなるし、仕事がまわってくることもある。
 ・独占業務を行なうこともできる。
 ・ベンダ系資格では、資格者だけのサポート、セミナー、資料などをうけることができる。

 ずいぶんあるものだ。他にもあるのかも知れない。また別の機会に書くけど、「デメリット」も当然存在する。

 私個人としては、「やりたい仕事につけるチャンスが増える」「勉強の目標になる」というのが大きい。みなさんは、どのメリットが主に重要だろうか。

7.マインドコントロール

 資格を目指して、忙しい中勉強されているみなさんは、「自己マインドコントロール」をされておられるだろうか。

 宗教団体のマインドコントロール(以下MCと略す)はまずいが、受験勉強のためのMCはぜひ自分でやってほしい。非常に有効である。よく受験のために資格受験の学校などに行くと、先生がある程度マインドコントロールをしてくれる。だが、自分でMCをかけることも可能である。

 MCが必要なのは、人間は通常1年間とかの長期間いやな勉強を続けることはできないからである。相当に強い意志か、神がかり的な精神状況にもっていかないと、結果も予測できない資格試験のために1年も情熱をかたむけることはできないのである。こんな勉強してどうすんだ、資格なんか考えたらなくてもいいや、もっと別なことに時間を使おう、とか信念がぐらついたり、資格のことを忘れたりする。そんなことでは合格はできない。

 だから、自分の性格を見つめて、もっとも自分が勉強しやすい精神状況に常に追い込めるようなMCを行なう。その精神状況というのは人によって違う。以下にいくつかの例をあげておく。自分に適したものを選んで実践されたい。

1.自分を追い詰めて、悲観的状況におく。合格できないときには、どんなに悲惨になるか、自分が落ち込むかを思い描く。「この資格に合格できなければもう、私の将来はないんだ。もうおしまいなんだ!人生が暗いものになってしまうんだ。どんなことがあっても合格しなければならないんだ。ああ、大変だ、合格できなかったら...べ、勉強しなければ」できるだけ最悪の悲観的イメージをくり返し思い描くのがポイント。

2.合格した際の夢のような生活、環境、今後のバラ色の人生をおもいうかべる。「さあ、今はつらいけど、がんばって合格するぞ。そうすれば、あの会社であの仕事もできるぞ。給料もあがってリッチになるぞ。ベンツにのったる!うへ、うへへへへ。」

3.できるだけ、自分がすきでない人間を思い浮かべて、憎しみを盛り立てる。「よーし、あの仕事のときに、俺を馬鹿にしたなあいつ。みてろ、合格してみかえしてやつ。いまにみてろ!!」

4.合格したときと、不合格だったときの、あらゆる差を頭の中に列挙する。金銭でも、待遇でも、精神面でも。これによって、今回の資格試験の重要さを何度も自分に認識させる。

 上記の4つにしても、ある人は、1番で落ちこみすぎて、逆にやる気がしなくなってしまったり、実際に不合格になったときに、立ち上がれなくなったりすることもある。私は1番が有効な性格だったらしい。根が、問題なければ何もしようとしない性格だからだろう。ノリノリでいく性格なら、2版であろうし、冷静な行動がすきなら4番か?憎しみが行動のエネルギーになっているタイプの人は3番がいいだろう。

 ともかく、自分の適したMC(というより暗示)を、毎朝、頭の中で繰り返すのである。しつこく毎朝だ。上記の4つ以外でもいい。もちろん、4つとも、現実とは異なり、オーバーな表現になっているが、そのくらいので丁度いいのだ。何度も頭の中で繰り返すと、次第に、本当にその資格取得が自分とって、重要だと思えてくるようになる。目つきがかわってくる。あぶない世界だなあ、と思われただろうが、実は合格したような人間は無意識のうちに、似たような暗示を自分にかけて、頑張っているものだ。

 私は中小企業診断士の受験の際には、勉強のことを忘れないように、歌まで作って、口ずさんでいたものだ。「ちゅうしょおおー♪きぎょうおおお、しーんだーんしー♪....」

8.合格率

 さて、狙う資格を決めるときに、難易度をよく合格率で判断する。「えー?合格率3%?こりゃ、うかんないや。無理だ」とか「お、20%じゃん、これなら、なんとかなりそうだ。」などと思う。

 でも単純に考えてはならない。誰でも受けてきそうな資格と、既に受験前から別の意味で選抜されている資格とは事情が違うのだ。東大の競争率は100倍くらいですか?違う。なぜなら、東大を受けようとする人間自身が既に選抜がかかっている。だから、倍率が低くても難しいわけだ。

 中小企業診断士の2次試験合格率は、20%である。でも、この試験を受験できるのは1次合格者だけである。この試験も20%である。すると、1次、2次合格できるのは、0.2X0.2=0.04となる。4%というわけだ。

 ベンダー系の資格も、まわりの合格率よりも難しい。なぜなら、上司が、会社の大切な資金を投じて受験させるのだから、社員でもっとも、見込みのある、おそらく優秀で目をかけている社員を受けさせるだろう。だから、5人に1人くらいといっても、本当は難易度は高い。

 その反対もある。2%とかいってるけど、結構ひやかしで、ためしで受験してみたくなる試験内容とかもあり、「受ける前から、既に問題外」といった受験生が多いような資格は、合格率低くても、そんなに難しいわけではない。まじめに勉強して目指してきたメンバだけでみれば、かなりの%で合格していたりする。

 主催者発表の合格率を見て、簡単そうだから、これを狙ってみるか、などという単純な発想をしてはならない。

9.合格のとき、不合格のとき

 試験には合否はつきものだ。どうしても決着がついてしまう。でも、結果がでたときの貴方の態度、心で将来は大きくかわってくるのだ。

1.ラッキーにも合格した場合

 やりすぎなくらい、謙虚になることだ。すこしでも慢心があれば、周囲にたちまち、天狗として認識される。周りは敏感に感じ取り貴方は馬鹿と思われる。謙虚になり、「運がよかったのだ」としずかに考えて感謝し、えらぶることなく、次のステップにすすむことだ。まして、SEなどで資格を取得した際には、絶対に自慢げな話、態度をしてはならない。ここでますます謙虚になれば、周囲の人間に認められるだろう。古いが「実るほど頭をたれる稲穂かな」である。

 そして、取得できた資格、勉強の過程で得たノウハウを、頑張って仕事の中で生かしていくよう努力することだ。さすがだ、と周りに思わせようではないか。

 また、合格を無形で支えた人に感謝の言葉を必ず伝えることだ。こうすれば貴方は賞賛されるだろう。たとえば、妻、旦那、上司、仕事のパートナー、学校の教師、友人などである。「支えてくれた君のおかげです」と。

 勉強にはゴールはないのだ。合格はゴールではなく、次のスタートだよいう意識をもとう。さらに、ここで余勢をかって、次の上の資格をめざしていこうではないか。自信をもとう!自信と自慢は似ているが違う。

 資格者同士でネットワークを組んでいこう。そうすれば、人脈も増え友人も仕事もふえていく。

2.不合格だった場合

 確かに残念ではある。結果はでなかった。でも、それは以下の意味で大きな貴方の財産になるのだ。

 ・運が良く合格できた人間より、運が悪く何度も不合格で最後に努力が実って合格できた人間は、資格者になっても、身についている知識、ノウハウの深み、理解度が違う。合格できてから、資格を使い出す、仕事をはじめる段階で差がつく。合格できてから、苦労するか、合格するまえに先んじて苦労するかである。診断士の実習でも、それを思い知らされた。何年もかかって取得した人は、深みが違う。

 ・仕事だけではなく、合格後に誰かの受験を指導する立場になったときに、「どこがわかりづらいのか」「どうして、勘違いしやすいのか」「どうすれば、わかるのか」などを貴方は的確に理解し指導できる。名指導者になれる。「どう説明すればもっとも理解しやすいのか」も最も知っている。

 ・将来、不合格だった人間がどういう思いをしているか、誰よりもあなたが理解できる。人間は成功する場合、ラッキーな場合だけではない。人の痛みがわかるというは、その人にとって大変な財産なのだ。また、一度不合格だったという体験は、その人間を強くする。

 ・資格試験に合格すれば嬉しい。でも、貴方が来年合格したときの喜びはさらに大きなものになっている。来年の美酒は熟成し、ワインのように更にうまくなっている。

 だいたい、資格試験なんて一発で合格なんて奴はほとんどいないものだ。何度も落ちて、なにくそと思って勉強しなおし、合格するのが、「普通」なのだ。自分だけが、不合格で不幸な存在のように思えてしまうが、それは明らかに間違っている。資格取得の世界では至極普通の通過点に貴方はいるだけなのだ。さあ、ぐずぐずせず、今日から早速、勉強を再開し、来年こそ合格しようではないか!

10.取得費用

 資格を取得するにはかなりの費用が必要となるが、なんとか、それらを減らすことはできないだろうか?徹底的に検討してみよう。

1.受験費用

 やはり一発合格、早期合格を目指すことである。当たり前のことですが。企業が払ってくれる場合は自腹でないので気楽になりがちだが、それは間違いで落ちてばかりいるとかえってあとで高くつく。

2.参考書・問題集

 同じ試験を目指していて、合格した友人がいたら、その参考書を払い下げてもらう。もらってしまっても、貸してもらってもいい。合格した人の参考書なので、いい参考書であるだろうし、書き込みや重要事項のラインなども入っており、使いやすい。ただし、常に法改正しているような分野のはだめ。

3.学校

 学校の費用が一番高いだろう。まず、会社に払わせるという手がある。援助制度があれば使えばいいし、なければ、人事の人間に、そういった制度の必要性をうったえることだ。実現してくれる可能性がある。もっとも、現在、財政が苦しい企業が多いので、難しいだろうが。また、資本金などの条件を満たせば、そうやって社員教育を援助する企業には、国から援助金が出ることもあるので、検討されたい。

 または、個人で国の費用援助を受ける方法もある。国から指定された講座については、きちんと修了すれば、費用のほとんどが国から払われる。これを選んでうけるのもいいかもしれない。ただし、雇用保険を一定期間払った人間でないとダメであり、受講前に援助を受ける資格があるかの確認申請を職業安定所にいって、行なうとよい。ただし、以下の注意が必要だ。

 ・修了してはじめて、国からお金がおりる。途中でやめた場合には、全額自分の負担となるので注意。根気のない人にとっては、全額負担の可能性がある。
 ・自分、およびその講座が本当に給付される資格があるのかを必ず確認しておく。
 ・「費用を国がほとんど出すそうだからやってみよう」ではなく、「この講座をどうしても、うけたい!で、国がだしてくれるらしいのでその制度も活用しよう」という発想で考えてほしい。前者ではじめると、ほとんどの場合、挫折することになる。たとえていうと、「ほしいものをスーパーで買うのと、特売だからともかく買っとく」の違いである。自分にとって必要な資格を受けるために、どうしてもこの講座を受けたい、から始めないと、ダメだということだ。

4.取り返す

 費用がかかってしまっても、取り返せれば問題はない。制度があれば資格手当ての申請や、資格の有効活用をすぐに開始することである。制度がなくても仕事内容に関連ある資格をとったのなら、一応上司や人事に言っておくといいと思う。(関心をもってくれない場合もあるが)

 なお、今回のテーマとははずれるが、資格試験に合格しても、認定料が異常に高額だったり、各種団体への加入が必須で維持費用が高くつくのもあるので、注意されたい。そういった資格は、独立などの明確な活用意思がないのなら、取得するのはお勧めできない。