2000/9/29 ホテル

 仕事でよくホテルを使用した。客を呼んでのイベントである。大規模なものかた小規模なものまで、何度も使った。するとホテルの格というものがほんの少しだけどわかってくる。

 格とは、知名度でも、大きさでも、料金の高さでもないらしい。

 有名なZホテル。200名クラスのパーティで使った。挨拶も終わり、立食パーティ形式での懇談となった。音楽が入る。

 急遽、A社のB専務が挨拶にたった。式次第にはなかったが、こんなことはよくあることだ。しかし音楽のため、挨拶がよくきこえない。

 私は、音響を管理しているホテルマンのところへ走った。ホテルマンはコンソールの前で、にこやかな顔で挨拶をみている。「すいません。今、お客さんの挨拶が急遽はいったんで、音楽の音量を下げてください」 でも、彼は「いえ、ここでは、音を下げるように聞いておりませんので、下げません。」すましている。彼も、客の挨拶が音楽のせいで全然他の客に聞こえていないのが、わかるはずである。

 これがZホテルなのだなあと思った。

 次に恵比寿のWホテル。大きめの部屋で、米国本社から呼んだ幹部にレクチャを20名の客に対して行なってもらう。各自にケーキを出すことにした。しかし、19名しかこない。19名でいいですといおうとしたら、担当のホテルマンが、私をみて、わかりましたと会釈して、もう、1名分をさげている。そして、その分、テーブルを小さく変えた。

 驚いたのはその次だ。その1名が30分して遅刻してきたのである。しかも友人を2名連れて。そのホテルマンは黙って、退席すると、小さなテーブルと、追加のコーヒー、ケーキを持ってあらわれた。そして、その客の前にすばやくセットしてくれた。

 そして、私のところにくると、「申し訳ございません。勝手なことをいたしまして。よろしかったでしょう?」と耳うちするのであった。

 「演壇の挨拶が聞こえなくてもそのまま。頼んでも、聞いてないと客の頼みを拒絶するホテル。」「客が当然してほしいことをすばやく対応するホテル」どちらがいいのか、異論はあると思う。でも、私は、恵比寿のWホテルがはるかに、従業員の格は上であると判断する。

 企業は人である、というが、ホテルこそ人であると思う。ホテルマンの能力で、超一流になるのだろう。

 Wホテルは、他にもいくらでも、すばらしいと思った点があったが、あえて書かない。

 北京のホテルにとまった。外国人が主に宿泊する一流ホテルのはずである。確か建物は物凄くりっぱ。しかし、ホテルマンは、ホテルマンというより、ぶーたれねーちゃんの集合。下町の大衆食堂よりひどい。笑顔など一つもなく、挨拶もない。ぶーたれ顔。無駄口ききどおし。食器はガチャンとおく。何流どころでなく、そもそもサービス業ではなかった。米国のおばさんが、お土産屋で電卓かしてくれといったら、その、おばさんに電卓投げてきたのにはホント驚いた。

 ラスベガスのホテル。馬鹿丁寧な対応ではないが、実にみな明るい。笑顔をみてると、こちらも楽しくなる。話すと、すかさず、ジョークがでる。さすがは、エンターテイメントの町、ラスベガスのホテルである。

 最後に、日本のHNOホテル。ある説明会の準備をしてたら、担当のホテルマンが、「あの−失礼ですが、XXにいらした伊藤様でしょうか?」私は誰かと思って、顔をみたがわからない。やがて、今から4年前に、小規模な説明会をそのホテルでおこなったときの担当の方であることを思い出した。4年前にほんの少し(5分程度か?)話しただけなのに、名前を覚えていたのである。恐ろしいホテルマンの記憶力!