株式マニア (株に関する随筆)

 株式投資をはじめてから、はや15年。勝ったり、負けたりしました。株とは、経済ではなく、株は社会心理学です。

 三洋証券では、70万円で買った株式が0に。(倒産)とほほ。また、大和證券では、あと1年まってたら、一生遊んでくらせた。IBMは一時、購入額の数分の1に。ガースナー社長になってから、急騰、株式分割まじえて、購入額の2倍に。これも、2年まってたら、2倍どころか、8倍になっていた。しかし、ガースナーはすごいです。どろまみれになって、会社を再建しました。

 株式投資は「我慢が大切」だなあ。そもそも、株がさがってきてたら、もう、大損こいてるわけで、売ってもしょうがないんですが。

 あと、生保や証券会社のいうことの、逆、逆をやっていくと儲かるようです。TVで経済関係者が、「まあ、順調に推移する」といったら、もう危険。「さがりそうです」これは買う一手か。

 ある会社が今、大変な人気ですが、業務実績がすごいというのでなく、株式含み資産がふくらんでいるという理由で評価されています。

 ちょっとまえ、バブル時、「含み資産が大きいから」、といって大騒ぎされた業種ありました。今、そういう会社どうなっているかを考えてしまいます。経済関係者は過去の経験を思い出してほしいです。

 株が下がりだしたら、どうなるのか不安です。100倍になれば100分の1にもなりえるわけで、いつかは必ず下がります。また、ババヌキとなります。ババを機関投資家、証券会社や銀行がひくと、また、国民の税金で穴埋めすることにもなりえます。

 あれだけ上がっている株をなぜ投信が買い上げているのかですが理由は「時価総額があがっているから、買わないと日経平均と連動ぜず怒られる」驚きました。

 以下はテーマ別に:

1.材料発表と急騰

 会社の将来を大きく左右するような、経営判断・成績が新たに発表され、それが市場に評価されると、株価は急騰することになります。

 例としては、提携、合併、新規事業、業績予想修正、撤退、売却などです。

 インサイダー取引は禁止されていますので、会社の正式発表後、それを材料に株価急騰(急落)となるのが理屈です。でも、人間は欲望で動きますので、残念ですが、過去の株価のうごきを見るとそうなってないです。

 そのパターンは:
   、「株価が、なんの理由もないのにスルスルあがりはじめる」(材料つかんだ社内外の関係者が目立たぬように少しづつ買い始める)
    「それが続いた後、更に一段上昇する」(もうそろそろマスコミにばれそうなので、買ってしまう。また、口づてで聞いた人間が買い出した)
    「新聞が材料をすっぱぬく」
    「急騰」
    「正式発表」
    「少しあげた後、早くも一段さげだす(調整)」
となるようです。

 この逆も同様です。理由もなく、株価がずるずる下げる、下げすぎだと市場には言われる。新聞で悪い材料が出る。...
 倒産する会社は、「なんの材料もないのに」、どんどん下げるのが特徴です。裏で関係者がにげているわけです。

2.初心ワスルベカラズ

 株をはじめようとする人に、株の罫線を見せて、「はい、どこで買って、どこで売ると儲かりますか?」とたずねる。いうまでもなく、下で買って、上で売る、である。そう答えてくれる。

 ところが、実際に自分の金を使って株をやってみると、必ずこの逆をやってしまうのである。上で買って、どん底で売ってしまう。

 これはなぜなのだろうか。答えは、「短期で儲けようとするから」更にいうと「人の儲けを気にするから」である。数年のスパンで考えれば、初心のとおりに売買できるのだが。「うまく」儲けてやろう、と思った段階でもう失敗は約束される。

 数年底で待ってもいいからと思わず、急騰を捕まえたいと考える。すると、上がりだした株を買ってしまう。よし、あがりだしたぞ、と素人が思ったときには、すでに天井なのが普通なのだ。

 反対に下がり始める。どうせ数年まつつもり、となれば下がっても平気だが。短期で儲けようと思うと、急騰株が気になってしようがない。人の儲けが気になるのである。ああ、あちらにすればよかったー、2週間で倍になってるじゃない。なんて思うと自分の持っている株がくずにみえてくる。いいと思ったから買ったはずなのに、人の株がおいしく見えてしかたがない。

 かくして、こんな株早く売って、向こうの株に移りましょ、となる。そのころには、向こうの株はほぼ天井であり、買ったあとは損がまっている。しかも、売ったほうの株はそのころから、じりじりと上がりだすようになっている。

 他人をうらやむ心や、初心をわすれるところに損がまっているのである。人の子と比べてばかりいるから、自分の子のいいところが見えなくなるのだ。これと全く同じである。

 極論だが。バブル時にどの会社も投機に手をだしていた。「あの会社はあんなに儲かっているのに、わが社は何をやっているのだ!」こういう経営者のおかげで、会社がいま沢山傾いている。

 売買しようと最初に思ったときの、あなたのその会社に対するイメージは実はただしいことが多い。むしろ、売買のあとに、初心をわすれるところに問題はあるのである。

3.無人島のブロマイド

 株の世界での大愚行。それは、時価に株数を掛け算することである。市場価格で動くものに対して、こんな愚かな無意味な計算はないと思うのだが、マスコミが懲りずに平気でこれをやる。(バブル時は不動産持ち企業で「坪単価×坪数」)

 ベンチャー企業の経営者の総資産がXX兆円、っていうやつである。また、XX会社の総資産は株式でXXX億円というやつ。意味がない。一度計算されると、今度はこれが評価基準に用いられ、成功の目安に使われる。XX兆円などの価値はまったくない。そんな財産はもっていないのだ。しかし、その計算上の財産を担保にまた金を借りたりする。

 無人島に、2人の男女が流れ着く。1人はキムタクの大ファンだ。
 2人で生活をはじめる。2人はいろんな方法で食料を調達する。ここで、男が偶然キムタクのブロマイドを100枚もっていることに女が気が付く。ほしい。「そのブロマイドちょうだい。それと魚10匹と交換しましょうよ」男は交換する。女はそれだけ、夢中になっていたのだ。
 男はにんまり。頭の中でおろかな計算をする。「1枚で10匹。てことは俺のもっている残りカードは、990匹の魚に相当する。おお、すごい財産だ
 で、突如、働くのをやめた。1日、1匹の魚を食べても、3年程度暮らせる!

 こんなバカな話はないと思われるだろう、しかし、現在、これとほとんど同じ話がまかりとおっている。彼女は1枚目が10匹なので、2枚目はもうあまり欲しくはないだろう。100枚もほしいわけがない。

 一般投資家が、新日鉄の株200円を1万株もっていれば、200万の財産と思ってもそれは正しい。実際に売れば、200万になるからだ。でも、市場の出来高の数倍をもっている人はそういう計算をしてはならない。

 新日鉄株を1000万株もっている人間が現金化しようとして売却すれば、株価は大暴落してしまう。ストップ安になるだろう。当初の売却想定額の何分の1になってしまう。

 銀座ルノアール株は、ある日は、0株の出来高。ある日は1000株といった銘柄である。私は10000株もっていたとしよう。私が、全部の株を希望価格でうることは絶対にできない。無理やり売れば、大暴落してしまう。

 Y社株が1億にしても、売って、1000億円も作ることはできない。1000株現金化すれば、もう超大暴落するだろう。だから、時価総額何兆円なんてあるわけがないのだ!時価に株数をかけてもしょうがないのだ。

 だから、経験のある大口投資家は、2部、店頭などの株をいやがる。お金にかえるのが難しいからだ。新日鉄、東芝、日立などは出来高はきわめて大きいので、投資家の人気は高い。

 しかし、マスコミがその計算をやってしまう。で、その計算結果をもとに、経営者は金をかりて、また事業拡大をしてしまう。現金化できない計算上の資産をもとにどんどん規模拡大をするわけだ。一度こけたら、最後になにが待っているかは誰でもわかるだろう。(不動産でこれをやってた連中はいま清算の真っ最中である)

 バブル時は、ハイテクインターネット株でなく、不動産で同じことが行われた。この会社の含み資産はXXX兆円とか。東京の不動産の資産額をすべて足すと、世界全体を買うことができたという。不動産バブルが大きくなったのは、そのバブル不動産を担保にして、また買ったからだ。

 もちろん会社が成長していればかまわないが、いまの騒がれている企業は、そんなに大きな利益はあげていないようだ。高度成長期のソニーとは違うのである。

 ともかく、「その会社の持っている株を計算したら、XX兆円」「時価総額XXX兆円だからすごい会社」などと思って、その会社の価値を実体以上に評価して株を購入するのは避けたほうがいいと思う。

 いまから数年はハイテクインターネット株がすさまじいバブルとなるだろう。なぜなら、投資信託が大ブームになり、投資信託が既にバブルの株を更に買い上げるだろう。なぜなら、買わないと、既に時価総額が大きいので怒られるからである。自分のお金ではないので、まあ、上司から怒られないことを重視しているわけだ。この上げに便乗すれば儲かるかもしれない。でも、長く株をやる、堅実な一般投資家は近づかないことである。

 さあ、今度は誰がババひくのか楽しみである。また、銀行なんだろうなあ。

4.転換社債発行企業に注意 

 転換社債は、債券の一種である。満期に額面で償還され、利子もつく。ただし、券面に記載されている行使価格で株に変えられる。

 非常に便利なもので、一般投資家にもおすすめである。

 しかし、発行する企業にとっては、落とし穴になっている。これによって、存亡の危機に陥っている企業は多い。

 転換行使価格が800円としよう。その後、会社は成長し、株価は1200円になった。800円で転換できる(株をその債券価格分買える)のだから、こりゃ得である。満期になるまで転換しない奴はいないわけで、全部株になっていまう。

 この最高のストーリを証券会社に聞かされて、多くの企業が転換社債を発行した。転換権利をもっているので転換社債は利率を非常に低くしてもうれる。だから、銀行から借りるよりもいい。かつ、最後は株になってしまう。「返さなくていい」わけだ。

 アスキー、セガ、ヤオハンなど多くの成長企業が大量に発行した。これによって資金を低利で調達できた。そのときに、企業経営者は、株はあがりつづけるから、お金をかえす必要はないと勝手におもっていたようだ。

 通常社債なら、満期に返すためのお金を用意しておくだろう。しかし、そのめどを立てていなかったわけだ。バブル崩壊がきて、株価はダウン。転換価格を株価が下回ると、もう誰も、株には転換しない。満期で債券として償還をうける。

 こりゃ、えらいことだ。返すかねがない!となった。アスキー、セガは資金調達に成功して助かった。しかし、ヤオハンは結局倒産することになった。

 今でも、社債発行して、資金を調達といえばこの転換社債だ。株価が高いときに、大量に社債発行している企業は、株価暴落したときに、いきなり会社存亡のピンチとなる。

 株を購入するときには、その会社の発行している転換社債はどの程度か、転換価格はいくらなのかを十分調べておくべきだ。なんか、この会社の株価は割安だなあ、なんて買ってみたら、社債の大量償還がまもなく、なんてこともある。

5.ノーベル賞と教訓

 ノーベル賞に経済学賞というのがある。人類の進歩に貢献した人に与えられるのがこの賞だ。あるヘッジファンドでこの経済学賞の受賞者を何人か雇っていた。だから、みな安心してこのファンドに投資をした。人類の英知が損などするはずがないというわけだ。ヘッジファンドは非常に高度な理論の元運用されるのである。

 結果は、大失敗して、天文学的損失。その会社は存立の危機に陥ってしまった。彼らの理論は現実の市場価格の変動にまったく通用しなかった。

 通用しなかった理由というのは、なにか。

 「売りたいときに、時価で売れなかった」ということなのである。市場で売り一色になった。パニック的売りである。彼らの理論も売り指示をだしていた。そこで売れば、確実に儲かる。
 しかし、市場が売り一色になったときには、売れないのだ。ただ、ひたすら売り気配が続くだけだ。そして、売れないまま、どんどん売り気配値があれよあれよと下がっていく。なぜ?簡単。買う人がいないから。
 ようやく売れるような値段(暴落し終わったとき)になったが、それではもう遅かった。記録的損失を生んでしまった。売り指示がでた瞬間にその時の値段で売れなければならなかったのだ。
 こんな簡単なことが、ノーベル賞受賞者が察知できなかった。数式では市場のことがわかるはずがない。社会心理学だからだ。

 以前、「無人島とブロマイド」という駄文を書いたが、これと同じである。そんなに実は買い手は存在していないのである。「売りたいときに誰かが買ってくれると信じていた」だけである。まぼろしの値段なのである。
 よし、売ろうと思う時には、だいたい他人も売ろうと思っているものだ。それでも、出来高規模がでかければ、だいたい売れる。市場規模に応じて、反対の考えをもつ人もいるからだ。新日鉄などが典型である。しかし、店頭市場などではそうはいかない。肝心なときに、思ったとおりにうれない。

 暴落開始で、よし売ろう、今うれば、いくら儲かる、と思っても、何日も何日も、買い手はあらわれず、出来高0が続く。一体いつになれば、売れるのか不明である。どんどん気配値は下がる。

 買い上げられ、高騰した株は買い手がすくない。庶民はかえないのです。買い手の人数がすくないので、反対の考えをする人がほとんどいなくなってしまう。(これだけ、下がったんだから、そろそろ買おうか..という人)機関投資家や投資信託などで一斉に同じ考えにそろってしまう。これが庶民も買える株価なら、今こそ買ってやろうという反対の思惑を持った人間が必ず出てくるのです。で、売却ができるのです。

 株を買うときには、十分な買い手・売り手がいるのかも考えてかわなければならないのです。

 不動産も、億の単位の物件は下落率が凄まじく、いまだに買い手はいません。しかし、2000万、3000万の物件は売れてますし、そんなに下がっていません。なぜなら、庶民にも買えるために、買い手が多く存在するからです。億単位ですと、買い手が少なく、みな同じ考えになってしまうのです。ほとんどが既に不動産で損失を出している人たちだからです。

6.風説の流布と適正株価

 株式では「風説の流布」が犯罪になります。法律で決まっております。たとえば、株を空売りします。そして、あの会社はつぶれそうだぞ、という事実無根の噂をたてます。すると投資家は動揺し売りに走り株価は暴落。そこで買いなおして、その人は大もうけします。どう考えても、まずいです。許されてしまえば、マスコミなどと連携して、大もうけが簡単です。犯罪になるのはあたりまえです。下手すれば信用収縮で会社が本当につぶれてしまいます。

 私が株をはじめたときに非常に不思議に思ったことがあります。それは今でも同じです。

 倒産するぞ、とかいう「けなし」風説は、非難され取締りをうけます。これはいいことです。しかし、ありもしない利益予想、会社の無限大発展の予想、経営者の異常な神格化など、「ほめ」風説は、なぜ非難されないのかということです。どうみても、上げを煽る風説の流布かと思うようなことが、許されています。それどころか社会的に善とみなされます。上昇させる方向のデマにはきわめて寛大です。風説とは上にも下にも適用されるべきだと考えます。

 犯罪となる根拠のない風説でなくても、予想・見込みであっても同じです。上げる方向の見込みはいいのですが、下げ方向にはともかく総攻撃、社会の悪となるようです。
 ある株が10万円していたとして、ある人が、「この株価は高いぞ。1万円まで暴落する」と発表すれば、これは大変です。非難ごうごうです。ほんとに暴落なんてしようものなら、「お前のせいだ!」となるようです。しかし、「この会社の発展性は無限大です。来年は100万円になります」と書いても、なんら問題はおきないようです。

 歴史を見ても、何10年も前、ある著名な株式評論家が「桐一葉落ちて天下の秋を知る」と題して、株式市場の下落を経済誌上で予想しました。まさに的確な予想だったのです。上げ相場は一転下げ相場になりました。彼は全く、賞賛されませんでした。それどころか、市場関係者。マスコミから総攻撃をうけたのです。なんと「あの男のせいで暴落した。同じ市場関係者として許していいのか!」などとも言われたのです。

 上げ相場で「XXX株大上昇時代」と書いて、その通りにあがったら、大変なほめ言葉をうけます。不思議です。

 今でも覚えていますが、ある有名な週刊誌がバブルピークのとき、バカでかい見出しで「NTT年末には1000万円」と書いていました。こういうのは、何ら非難されないようです。(同じ週刊誌が崩壊時には10万円になるとかいているのです)

 株式関係者のほとんどは、1年中、上昇相場といってます。ほんとにこの人たちはプロなのでしょうか?上げ相場を予想して、顧客を儲けさせるのもプロですが、下げを予想して顧客の損害を最小限に食い止めるのもプロには必要とされるはずです。

 1年中、理由をこじつけ、あがります、あがります、といっていれば高収入が得られる人たちがうらやましいです。

 市場原理で、「株価はいつも正しい」という機能が働くためには、上昇予想と下落予想が拮抗することが必要なのです。上げはいいけど、した方向はだめ、なんていったら、天井まですぐに上がってしまうではないですかー!ある人はこの会社は発展するぞー、と予想し、あるひとは、もう頭打ちでは?と予想するから、商いが成立するのであり、しかも、いいところに株価が落ち着くのです。その企業の実体、将来性に本当に見合った株価で安定するわけです。

 暴落すると、国家の代表が、なんとかしなければ、となります。じゃ、暴騰したときにも、なんとかしてくださいよ。将来、暴落するネタしこんだことになるじゃないですか。自分の任期中は、ともかく上げ続けよう、あとは知らんってことですか?下げすぎれば、勝手にあがるんです。無理にあげてたから、ちょっと下がるとやばくなるんです。

 市場にほんとに任せれば、そんな暴落なんてないんですよ。ヘッジファンドなんか、成立しないんです。無茶して、下げ予想などを封殺して、実体以上に上げ方向にムリヤリ持っていくから、ヘッジファンドは大喜びして大もうけできるんです。

 ムリあげして、天井になり、もうあがりようがない、となると、あげ努力は一気に0になり、今度は、180度反転、ぼろっかすにこきおろします。その会社も、今までいわれてきたように、将来性もあるのです。人材もあるし、いろいろ手をうっています。経営努力もしています。でも、一切無視されます。
 この状態になると、逆に、悪口をいうのが善になり、会社の長所を指摘しても「いまさら、何をいっているの?」となります。会社の営業は続いているのに。

 どんどん上がっているときに、それを自分の考えで否定する人がいてもいい。いや、いてほしいし、大事にしたい。下げ相場で、冷静にその企業の価値を主張できる人がほしい。それが相場ではないか、ということがいいたかったのです。私は自分の買った株の悪口が大好きです。他人の視点・考えで、思いつめた自分の気持ちを冷静にしてくれるチャンスをあたえてくれるから。

 異常なまでの「ほめほめ」時期と、「けなしまくり」時期。株式市場は美人投票だと言った人がいました。また超有名な格言「人も米もみな一面に弱気なら、たれけになりて米を買うべし」というのもありましたね。まさにこの状態になっているのであれば、格言とおりにぜひ実行したいと思っています。

7.伊藤の波動

  株価は上がったり、下がったりしています。景気と株価は連動しますので、景気の波動を知ることが重要です。これには一定間隔の周期があることが知られています。3種類あるともいわれています。在庫調整の波、技術革新の波などで、それぞれ発見者の名前がつけられています。

 私は、株価の波動を見つけました。仮に伊藤の波動と名づけます。ほぼ20年の周期であり、原因は「株式売買者の世代交代」にあります。

 株は上昇し、バブルにまで達し、暴落します。これを繰り返すのですが、同一人物が株の売買をやっているのであれば、やがて、学習してしまうはずです。バブルになる前に、「こりゃ暴落するぞ」と警戒しますし、暴落しそうになると「チャンスだ」と思うようになります。大きな上昇や下落はなくなります。

 でも、投資信託、機関投資家、個人投資家、証券会社運用担当などの人間は交代します。30代でバリバリ責任者として売買していた人間が、引退するのです。そして新しい担当者に実権をゆずります。新しい運用担当は、過去の波動のバブル、暴落を体験していません。懲りずにまた無理な買い上げ、暴落を繰り返します。人間の「過去に学ぶ」という力には限界があるわけです。

 これはバブルになるぞ、なってるぞ、と他人が忠告をいっても、過去の経験がないと「俺達の今回の相場は昔のバブルじゃない。あんたらの時代とは違うんだ」など、たわごとをいうわけです。んで、またPER1000倍などの株をつくりあげて、それを信仰します。

 個人投資家も同様です。20年でまた、一定のかねを動かせる人間があらわれるわけです。彼らも、前回の波動を体で体験していないので、また同じことを繰り返します。

 現状、株価下落の極大点をこえてから、2年たちました。今後10年程度は、新しい株屋が胸を張って、バブルに向かって買い上げて突進するでしょう。今から数年のスパンで、地道に、るいとうなどで、株を購入することをお勧めします。

8.株をやってはいけない人

 株は自己責任といわれる。「自分で最終判断」し、「損失をしても自分で受ける」、ということだ。全財産を株にぶちこみ、結果、破産しても、それはしょうがないのである。誰も助けてくれないし、してはいけない。

 でも、そうでない人が沢山、株をやっている。

 自分で買ったのだが、損をすると人のせいにする。最終判断は自分で行う大人がやるのが株である。証券営業にだまされた、とか、その会社の社長を信じた、とかわけのわからんことをいって人のせいにする。バブルでもお年寄りが、「ともかく、増やしてください」とお金を盲目的にあずけてしまう。アドバイスを受けるのはいいのだが。

 銀行は、資金を株で運用している。しかし、損をして、破産しそうになると、これは大変だ、国民全員の問題だ、なんとかしてあげよう、となる。税金で資本投入をしたり、倒産したときに負債をかたがわりしてあげたりしてあげなければならない。それはそうなのかも知れない。しかし、彼らは株を買っている。

 未成年者が信用取引をする、負けて負債を負う、で、両親がその弁財をする。自分で責任をとれないのだから、未成年者は株をやるべきではない。これと似ている。

 銀行があぶない、信用不安がおきる!日本自体が売られる!なんとかしようと、銀行より、国が心配する。 

 年金、保険なども株で運用する、下がりだすと、大騒ぎで、政府がなんとかしようとする。年金が目減りしたり、保険に不安がおきてはいけないそうである。それはそれでよいが...

 その会社が破産してはならない、という会社であるのなら、その会社には株をやらせてはならないのである。儲かったときには、会社の自己利益、損したときには、国民の損失になってしまう。

 「自分で最終判断する」「損したときには自分で責任を取る」それが株をやる資格であるわけである。

 よく、国家も株をやる。株を買い支える。国が倒産したら、誰が責任をとるのか。公務員ではないのは間違いない。

 相場全体を、思惑でかえてやろう、などとするのは破綻すると決まっている。国の経済がよくなれば、買支えなどしなくても、勝手に株は上昇する。国の実体経済以上に、株をかいあげるのは危険である。

 未成年者に信用取引をさせ、株がさがったら、あわてて、無理やり買い上げる両親...

9.ファンドマネージャと投資信託

 株式投資信託、略して株式投信という金融商品がある。投資をはじめたころ、この商品に大変な興味をいだいた。なんでも、一般の投資家から、資金を集め投資の専門家がまとめて運用する。そして、儲けから、報酬をうけとった後に、投資家に分配する。すばらしい制度ではないか。これで素人も安心して投資ができる!なんといっても投資の専門家。プロが代わりにやってくれるなんて。

 しかし、投資を続けるうちに、まったくの誤解であることがわかってきたのである。ほとんどのファンドマネージャ(略してFM)は、我々が期待しているように、その企業の成長を洞察力で見抜き投資しているのではない。投資の判断は、会社員として行っている。

 運用開始3ケ月後。他のFMが儲かっており、いい成績を残している。しかし、自分は逆張りしていて儲けられなかった。1年後を狙っていたのである。しかし、そんなことは通用しない。成績はもっと短期で求められるのだ。上司からの叱責が飛ぶ。「成績が悪い!」

 彼はやむなく、他のFMが買うような銘柄を取り入れる。そうすれば、みんなで成績がそろい叱責を受けることは無い。たとえ、暴落してもOKだ。みんな失敗しているからだ。つまり、会社員としてのFMにとっての問題は、いい成績を残せるかではなく、みんなが儲かっているときに、自分だけ儲かっていない、という事態のみ避ければいいわけだ。

 このため、みんなで特定の銘柄を買い上げる。こんなに買い上げて危ないなあ、と理解していても買わざるをえない。A社が100倍にあがって、危険とわかっていても、自分のファンドだけが100倍を取り損なってはまずいのだ。みんなで渡れば恐くない、である。

 また、彼らは独自の調査結果をもとに動いているのでなく、主に会社側の発表で投資判断を行う。だから常にごてごてになる。粉飾決算などにあたればひとたまりもない。プロの相場師というのでなく、妥当な投資を行う人間なのである。

 上昇相場で、確かに投資信託がよい成績を残す。でも、大上昇でも、ファンドの運用成績はそんなでもない。で、下落相場であれば、たちまち、元本割れに落ち込んでしまう。株は人の逆をやれば勝てるものである。それが全く逆をやらざるを得ないのだ。ほんとにFMが自分だけも判断で長期投資で確実な値上がりをねらっているファンドはごくわずかである。

 投資信託をやりたいがどうだろう、と聞かれると私は絶対に反対する。「儲かるときに、ほんの少し。で、損するときは人の倍。危険でまったく確実でないのに、上昇率が低い商品」だと教えている。株で財産を作った人間はいくらでも知っているが、投資信託で財産を作った人間は聞いたことがないのである。

10.「高値覚え」と「ナンピン」

 投資家が破産するパターンに以下のようなものがある。100万円の株が50万円になった。で、ナンピンをかける。さらに25万円になる。で、また倍額ナンピン。そこで、会社更生法。

 ここではナンピンの恐ろしさを強調したい。ナンピンは絶対にやってはいけない。2、3回は成功するかもしれないが、1度失敗すると全財産に近いものを失うことになる。投資家たるもの、やってはいけない。たとえば、自由になる金を1000万円もっているとしよう。で、銀行預金に500万。ある株の銘柄に500万円投資。すると250万円までに悪材料がでて下がってしまった。読みがあやまったのだから、素直に敗北をみとめて、売ればいいし、またはあきらめて塩漬けにすればいい。しかし、ナンピン好きは、さらに預金を引き出し500万円を出資してしまう。平均買値は333万円までに下がったわけだ。ところが、えてしてこういうときは、さらに悪いことが続く。100万円になってしまった。ここで、また借金して1000万円かってしまう。(アツクなっている)これで買値が150万円くらいになった。ここで倒産。2000万円の損である。

 最初、身分相応の500万円を投資していた。それなのに、2000万円も2回ナンピンをしてしまったため損してしまったのだ。こんバカなと思われるだろうが、こういったことは頻繁行われている。これで破産をする投資家は多いのである。相場をなめているためである。

 倍倍といけば、500万投資でも、1回なんぴんで、1000万。2回で2000万。3回で4000万である。3回くらい、ナンピンが逆にふれてしまうのざらに市場ではおきているのだ。負けは負けといさぎよ、認めないで、アツくなると、取り返してやる!と泥沼に脚をいれてしまうのである。

 金相場を例にとってみる。私が子供のころ、金は1グラム6000円だった。それが4000円にさがった。買い場だ、と大騒ぎになり、多くの金ファンがなんぴんをかけた。ところが、金は2000円に。またまた、投資雑誌などが、歴史的な安値で買い!と煽った。そのため、また倍ナンピンをかけたのである。今、金は1グラム、1000円である。さらに下降を続けており、900円とかにもなりそうである。住友金属鉱山がまた金鉱脈を発見したそうだし、金本位制は崩壊している。ロシアは売却し、採掘技術も進化している。まだまだ下がりそうである。一体、最初6000円で投資開始した人はどうなったのだろうか。おそらく、早く手をひけばよかった、とほとんど全財産を失って思っているはずである。

 相場は常に動いており、それは人の思惑によらない。安すぎる、とか高すぎる、というのはあくまでも人間の考えであって、相場はそんなものを考えていないのだ。

 高値覚えとは、50万円株が、5万円になった。おお安い、買おうという奴である。しかしそれは誤りである。なんらかの事情があって、5万円になったのであり、適正価格なのである。それを過去の意味のない株価をみて、安いと錯覚してしまう。

 1000円の牛肉が、売れずにくさりかけてきたので、特売300円!安い、とい主婦はかっていく。安くない。くさってきているので300円なのだ。1000円時代の肉とはもう別物なのである。また、はじめから、1000円肉に、誘い水で3000円というそ価格をつけ、特売1000円というのもある。

 いずれも、安いのではないことはわかるだろう。しかし、株では平気でひっかかるのである。いろんな資産を売却し、人を解雇し、事業撤退しているのに、ああ、こんなに株価が下がっている、安い、買おう。となってしまうのだ。最初の株価のときのその企業はもうないのである。

 全然安くない。だいたいこういう株はさらに下がっていくことは必至である。高値を無視しろ。ナンピンするな!

11.建玉

 株式のような値動きのあるものに、お金を投資する場合には、「総計いくらまで、賭けに投じてもいい」という限度額をきめておいたほうがいい。

 よく財産3分割法とかいって、300万円財産をもっていたら、100万円は株、100万円は土地、100万円は預金(現金)に分割するのがいいといわれている。ギャンブル性の高いものに、全部投資すると、負ければ無一文。逆に全額、預金というのも考え物かな、ということである。

 まあ、これでなくても、株に投資をする際には、最初に多くの人は、「俺の身分相応の額は100万円だな」とか、限度額をきめているものである。それ以上、投資して損してしまうと、生活・人生に影響をあたえるようになってしまう。 

 で、その100万円で銘柄を買い投資を始める。ラッキーにも、いきなり値上りをはじめてしまった。倍増して万歳である。うれしい値上がりだ。どうするか。

 まだ株式投資を続けるつもりであれば、その株を売って、次の銘柄選択し時期をさぐるべきであるし、みんな同意するだろう。売却したお金は増えているわけで、次買うときには、最初の倍額購入できる。もちろん、値上がり分を使ってしまい、100万円を改めて投資してもいい。

 ところが、自分でやってみるとそうならない。「今の株はそのままで、別の株を追加投資してしまう」または「売却したが、その額に更にお金を追加して、更に高額の投資をしてしまう」つまり、100万円を投資したとしよう。そして200万円になった。売却して200万円を次の株に投資するのなら、わかるが、更に調子にのって、100万円を追加して、300万円の株を買ってしまうのである。または、100万円別の株を買う。

 つまり儲けたのでなく、「建玉」を増やした(賭金をふやした)だけである。

 最初に100万円を投資したときには、「私の総財産からいって、このくらいなら、株に投資してもいいや」ということだったはずだ。しかし、初戦に勝つと、このことを忘れてしまう。上記の例だと、200万円を投資している。

 人間心理は恐いが、みんなこのような反応をしてしまう。なぜだろう?不思議である。おそらくは、勝った結果、「もっと、儲けよう」という欲望が強く働くのである。負けるという可能性を忘れてしまうのだろう。さらに連勝すれば、またまた増額してしまう。どんどん、どんどん建玉を増やしてしまうのである。

 ここに投資の恐い面が待っている。バブル時には、この欲望で多くの人が投資額をどんどん増やしていった。最初は「遊び金」、から、最後はほとんど全財産になってしまった。企業であれば、抵当いれて借金までして株や土地に投資した。

 思惑は、連勝することがあれば、負けることもある。勝っているうちは、儲けを現金化せず、どんどん投資額をふやしていく。これでは、いつか負けるだろう。1回負ければ、身分不相応のおお負けをしてしまうのである。冷静に考えれば、「必敗の方法」であることがわかるが、これをバブル時には、企業から、奥様達までみんなやっていたのである。国家中で、いや世界中で建玉を増やしていって喜んでいたのだ。

 100万円投資して、500万円になった、なら、その500万円の範囲内で、また再投資すればいいのである。どんなに負けても、最初の100万円の範囲内の損害で終わる。つまり必勝体勢なのである。

 であるから、「最初に決めた総投資額を、忘れるな。必ず増やしたくなるが、増やしてはならない!

12.源泉分離課税

 株式売却益の源泉分離課税がまもなく終わりそうである。これによって、どういう変化がおきるのだろうか?どうせ、やってくるので、考えて対応しておくことは有益であろう。

 まず、値上がり益に課税されるのであるから、簡単にいうと、「売らない」「長期投資」の傾向が現れると思われる。であるから、「長期間をかけて、どっかんと値上がりする」「持っているだけでおいしい株」が人気になるのではないか?

 反対に落ち目になるのは、仕手株、利益のあがっていない人気株(ネット株など)。値動きがよかった株。

 私の予想では:

 1.人気はないが、確実に高利益をあげている電機・ハイテク株
 2.配当金が高く、株主優待がおいしい企業

 の2つが狙い目ではないかと予想する。

13.耐える

 株式を騰がったり、下がったりしている。信用取引でなく、現物で買った場合を考えたい。
 株は上昇下降を繰り返してはいるが、決してはそれは、きれいなSINカーブではない。上下振動のような美しい形に罫線はならないのである。

 過去の罫線を見ると、下降局面は大変緩やかである。そして、期間が極めて長い。上昇局面は、大変、急であり、期間が短い。
 だから、よし、この株の将来に期待して買おう!と動いたとしたら、確率的にはだいたい下がるほうが多いのである。買った瞬間、値上がりしたら、それはよほど運がいいのである。
 下降局面は、ずるずるずるずる、時間をたっぷりかけて、たまに下に突っ込みながら、下で延々長くなるということになる。

 買ったけど、全然騰がらないと、思うかも知れないが、「それは普通の、当たりまえのこと」なのである。ほとんどの買いはその点、負けているのが多いのである。

 だから、株を長くやるためには、「自分が大切な金をはらって購入した株」がどんどん、長期間(数年)下がりつづけても、それに精神的に絶えられなければならないのだ。これは大変な恐怖に打ち勝つということであるが、これが大切なのだ。

 「長期間耐えて、短い期間うれしい」というのは株式相場の当たり前の姿なのである。これを認識して、長い期間を精神的に耐え抜くことが、必要である。これがないと、株をやっていても、不愉快になるばかりである。どん底でなげるという、最悪のストーリのヒロインになってしまう。「ああ、3年も塩漬けだった。一時はXXX円になったこともあるけど、良く持ってたなあ。先月急騰して、3倍になったんで、売って儲けたよ」というのが多いのだ。

14.極秘情報とやら

 株をやっていると、いろんなところから、「情報」なるものが入ってくる。会員制投資雑誌とか、株式評論家、証券マン、投資アドバイザー、夕刊紙、週刊誌、インターネット、掲示板、えたいの知れないメール....

 株をやるうえで、情報は重要である。早く、新製品発表、決算、倒産などの情報をえられれば、売買をさきがけて行い、巨利を得られるだろう。でもこれはインサイダー情報で、立派な法律違反である。
 でも、「...XXXさんだけにお教えしますが、XX社が新規事業に進出するんらしいんです。まだ、極秘ですが....」といったフレーズはよく、見たり聞いたりする。

 こういった新しい企業の動きは当然、計画段階では極秘で進められる。知っているのは数人である。この数人がこの情報で売買すれば、インサイダー取引である。この人たちしか知らない情報が漏れた、で、あなただけにお教えする、というのがこの「極秘情報」とかいうやつだ。

 そんな情報をつかんだら、人は他人に伝えるはずがない。黙って、もくもくと、自分で株をしこんだり、うったりしておくはずである。必ず儲かるのに、人になんか絶対に教えない。実際に株式市場はそうなっているようで、意味なく騰がったあと、新聞スクープ!がよくある。

 極秘情報なるものは、どう見ても、デマである。こんなものが、どうして誠しなやかに流れるのだろうか。

 それは、「流したほうが、本人にメリットがあるから」にほかならない。

 ある組織が株を大量に仕込む。で、「極秘情報」と称して、デマを流すわけである。これによって、株が上がったところで、売却して利益を得るわけだ。単純な商売である。似たようなことはいろんな組織で平気で行なわれているようだ。「極秘情報ですよ」といった情報をささやかれたら、読んだら、情報を言った本人にとって、相手が信じてくれると、メリットがあるということだ。

 また、掲示板なんかで、いかにも社員であるようなことを言って、極秘情報とやらを流す人間がいる。極秘情報は、どの企業でも、社内地位の高い人間でなければ、得られない。書き込み文面などをみれば、そのような人物かは判断できる。

 「極秘情報」とやらこそ、この情報化時代にもっとも、フィルタリングして捨て去るべき情報のうちの一つである。何の価値もないジャンクなのである。

15.底値

 底値で買って、騰がったら売ればいいのであるが、底値だと思ったら、もっと下がったりする。底値を知りたい。でも難しい。

 底値などわかるはずない、そのあたりの利益は他人にくれてやれ、という人もいる。

 私の底値を判断するパターンがある。

 1.まず、半年から1年に渡って、多少の上下はあるが、ずーっとコンスタントに下げてきた銘柄を探す。こういった銘柄の株主は、長い間、株価の下落で精神的に参っている。うんざりしている。

 2.しばらく注目する。やがて、この銘柄にとって、悪い材料としてのダメ押し材料がでるので、それを待つ。株主はまいっているところに、絶望的材料がでるので、ここで、一気に総弱気になる。その絶望感は全株主にやってくるので、みな、「投げ」がはじまる。成り行き売りで、全株を処分してしまう。
   株価は、下げているところに、さらに大変な暴落がはじまる。一部では、この会社やばいのではないか、などという情報まで流れ始める。株をもっていると、これらの悲観的材料と、おそろしい株価暴落で、株を持っていること自体がこわくなってくる。
   これがいわゆる「セリングクライマックス」である。

 3.罫線が、直線的に下げていたところに、さらにダメ押しのように、どかんとへこむことになる

 この時点があとで考えたら真の底値であった、ということが多い。つまり、底値の見分け方のコツは、現在の株主の精神状況を予想する、ということだ。彼らは、「ああ、もうまいった、もうおしまいだ。もういくらでもいいから売ろう!」とうのが、底値というわけだ。

 これは以前は難しかったが、今、実は非常に便利なものがあらわれた。それは株式掲示板(yahoo)である。ここを見ていると、現株主の心情が手に取るようにわかる。例のセリングクライマックスには、掲示板に、倒産か?とかのデマとかばかりになり、強気意見は絶滅する。

 便利なツールができて喜ばしい限りである。

16.デイトレーダなるもの

 1日(または数日)の値動きの間のわずかな、値幅を利用して、利益をあげようとする個人投資家がいる。デイトレーダといっている。1日中、端末をにらみつけ、大きな金額をかけ、少し値幅がついて、生活の糧、それ以上が儲かれば即、決済をして終了である。

 米国で、仕事をせずに、とうしろうが、まるでプロきどりで、1日中、端末をみつめて、売買をしている人間がいた。今、日本でも、沢山このような人がいるらしい。そして「私は、株で食ってます」といっている。なお、米国では既に破産者が続出している。

 端末前に、大きなお金を動かす、そして儲ける、かっこいいと思うのかも知れない。

 私には誠に愚かな行為としか思えない。最終的には、このような売買を続ける個人投資家は全滅すると思う。

 その理由をあげてみたい。

 ・まず、このような1日内の取引などの短期決戦でお金をかせぐには、なんといっても、情報である。種種の経済情報、報告、レポート、手口、発言、うわさなどをいち早く入手できる必要がある。そうすれば、上下の直前で売買でき、利益をあげられる。しかし、個人投資家は、いろんな情報を入手しているつもりでも、いうまでもなく、プロよりも、情報入手は遅れる。遅れる人間が勝てるわけがない。競馬でいえば、厩舎情報をすばやく入手できる人間は、勝てるが、競馬新聞しか読んでいない人間が勝てるわけがない。

 ・予想と反対に相場が動けば、たちまち、資金が枯渇する。あせりが生じる。個人投資家は大切な自分の金であるし、そんなに巨額な金を持っているわけえではない。予想と相場が一致しているときはいいが、一度でも逆に触れれば、財産は大きく減少してしまう。こうなれば、たちまち、心理的に同様し、冷静な判断は困難になる。ましては2,3度、逆にふれればたちまり、財産を失う。信用などを使っていれば、すぐに破産で夜逃げである。

 ・相場でプロと混じって短気決戦の勝負するのは大変である。相手だって、馬鹿ではない。だから、一方的に勝つことはむずかしい。半々より少しでも勝てればいいほうだろう。そのわずかな勝ち分から、個人投資家は、生活資金、そして手数料をはらわなければならない。そして手数料は、機関投資家よりも、はるかに、割合が大きい。(自由化された現代でも)ましてや、売買回数を増やせば、ますますその手数料の割合は大きくなっていく。たとえ、勝ち負け半々でも、元本は確実に減少していく。

 個人投資家でデイトレードをやる人が多くなる、勝てるのは、「誰がやっても勝てる相場」がつづいたときである。つまり、上がりつづけるという単純な相場のときである。デイトレーダという言葉こそなかったが、バブルのとき、やはり小金持ちが得意がって、VIPルームで株価ボードだけをボケーっとみていたのである。

 下げ相場になると、彼らはたちまち、破綻していく。

 個人投資家が勝てるのは、長期投資に的を絞るからである。これは機関投資家はできない。成績が短期で求められるからだ。だから、長期投資は個人投資の唯一の勝利の方法なのである。それが、1年くらい、運良く、上げ相場で儲けられたからと、機関投資家の土俵である短期取引に手をだせば、いつかはおお負けし、破産するのは間違いない。わすれてはならないのは、デイとレーダが増えてくれると、最終的に破産しようがしまいが、大喜びするのは手数料が入る証券会社だということだ。変な作られたブームに踊ってはならない!

17.利益と損害

 株式市場が活況を呈し、株価が上昇する。もちろん、株をやっている人間、会社みんな利益を得る。値上がり益をえて、リッチな生活になったり、会社が儲かる。

 しかし、これは労働の成果ではない。取引のあやで、金が生まれたということである。中には、これは頭脳労働の成果だ、などと力説するひとがいるが、総上げ時代になると、頭など関係ない。バブルの時代には、どんなヘボ投資家でも、利益をあげたはずだ。金が勝手にわいてきたのだ。

 ここで、みんな不思議に思わないか?みんな、儲かった。お金を得た。「働いたわけでもないのに、どこからお金が生まれてきたのだろう?」「どうして、わいてきたのだろう」

 株式市場がそう上げになれば、やがては総下げの時代がやってくる。結論は、「借金をしているだけ」ということだ。株式市場がそう上げになって、バブルになるということは、株式市場が将来返すことになる、借金をしているだけなのである。国全体が、借金をして、そのお金で儲かった儲かった、金持ちになったと喜んでいるだけなのである。

 だから、下げ相場になれば、みんなで、これを返していかなければならないのである。

 今の時代はまさに、バブル時代につかっちまった金をかえしているのである。ずいぶん、カードでつかったので、何年もその借金をかえしている、という状態だと思えばよろしい。大変でしょう?借金をかえしているというのは。

 理不尽なのは、「バブルで、儲かったのは、株をやっていた一部の会社や個人」でも、「バブルのつけを返しているのは、国民全員」であるということなのだ。バブル時に、ああ、XXXは株で儲かって景気いいみたいだなあ、とうらやましかったでしょう?でも、返すときには税金投入で、銀行を救ったり、財政出動したり、助けた銀行でゼネコン借金棒引きしてるでしょう?

 株などやったことない、そんな利益など得たことがない、という一般市民も、そのつけを返すのに、協力どころか、主体になって借金を返していかなければならないのである。ヒドイ話である。株やってて、大負けして、えーーーん、損しちゃって、会社つぶれそうだよう、みんな助けて、という子供みたいな企業が平気で株(土地投機も含む)やってんだから。

 頭にくるけど、これが、現実なのである。どうしようもない。どうなってんだ。だから、自分も株やって、借金するほうに参加してやれと思っております。