2000/9/12 IT係数

 携帯電話の料金未払いが若者を中心に多いそうだ。

 どこでも電話がかけられる携帯電話はホントに便利だ。駅周辺で電話したくとも、長電話の人で、電話ボックスが満タンになっていて、困り果てた経験のある方は多いだろう。

 生活にも、ビジネスにも、携帯電話は本当に便利なツールである。しかし、先の電話ボックスを独占する若者を考えたとき、あの調子で携帯電話を使い出すとどうなるのか不安だった。今は結構やすいけど、やはり有線電話よりは料金高いのである。あの調子で、携帯電話で延々話せば、簡単に数万円になる。携帯電話同士であれば、さらに飛び上がる。また、歩いていても電話をしつづけている若い女性も多い。

 一瞬でも、友人・恋人と、コンタクトをとっていないと、さみしい、という気持ちはわかるけど、彼らの一般的収入からいって携帯電話で1時間程度話すという習慣がいつまでもつづけられるのだろうか、と心配であった。携帯電話は、話している最中は、料金がわからない。わからない料金が加算されて最後に請求される。

 やはり、若者に料金未払い者が続出しているのである。これは携帯電話会社にとっても大きな問題である。100万円であれば、回収するために人をやってもいいけれど、数万円では、回収の手間に見合わない。だから、結局はふみ倒しになってしまう。で、踏み倒した若者が、もう携帯はもてないか、というと、また、契約者数競争厳しく、持ったりしている。会社もこまっている。携帯電話会社も、メールで「今月料金かなり高いですよ」、直接電話で「だいじょうぶですか?」と警告をはじめたそうである。

 なんといっても携帯は「秒・分単位」の用事・連絡といったものでなく、既に若者は「時間単位」のコミュニケーションツールになってしまっているのが原因である。しかも、既に彼らの生活に深く浸透しており、なくてはならないものである。料金をはらうために、衣服の購入を抑え、食費をきりつめているとのこと。

 「他の生活費を切り詰める」「料金を安くする」「あまりかけない。短くきりあげる」のどれかしかない。料金を安くするのは、競争、普及で少しづつ実現されるだろうが、急にはできない。即座に行なえる値下げは設備投資からいってもう限界に近い。だから、当面は、若者は少し料金を意識してかけるようにしたほうがいいと思う。余計なお世話かもしれないが。

 コミュニケ−ションに携帯の従量制の電子メールをうまく使うのも手である。でも、電子メールでチャットみたいなことをしはじめると、おなじ結果かも知れないが。

 生活が苦しかった時代、食費が生活費にしめる割合、エンゲル係数がよく取り上げられた。今度は、生活費にかなりの比重を持つITに伴う出費、いわば「IT係数」がはやるかもしれない。