2000/9/10 ソフトウェアのコピー

 ソフトウェアをコピー(バックアップなどの合法的コピー、または不正コピー)したいと思う人間、そしてそのソフトウェアをコピーさせたくないと思うメーカの間で、技術的な戦いが永い間繰り広げられてきた。

 コピーを防ぐ側は:

 1.OSのコピーツールではコピーできないように、特殊なフォーマットで作っておく。
 2.料金をきちんと払った人間のみ、ある文字列を教え、インストールまたは起動時に、その文字列を入力しなければならないようにしておく。
 3.市販されていない媒体とドライブを使用する。
 4.なんら方策を講じない。違法コピーに対しては、密告などで情報を仕入れ、著作権、契約違反などで法的措置を取る。

 などの対策を講じてきた。1ではバッドセクター、トラックなどを仕込んでおき、コピーツールでエラーを発生させる。でも、これでも、それに対応した専用コピーツールを使うとできてしまう。いろんなメーカが、プロテクトされていてもコピーできるコピーツールを販売している。

 2では、インターネットの普及により、その文字列が流通するようになってしまった。これをSERIALZと称する。あるツールでは、その文字列を自動生成するものまである。

 3は家庭用ゲーム機などで使われている。CD媒体では、CD−Rが出る前は、コピーできない媒体として効果あったが、今ではその効果がない。DVDではいまのところ、コピーする機械は高すぎる。だから、媒体として効果がある。

 4がPCの世界では多い。不正使用した段階で、訴えるぞ。ということだ。これに登録したことによるサポート、バージョンアップサービス、そしてマニュアルによる差別化をくわえる。

 ここでいくつかの興味深いトピックを:

1.Apple2などでは、フロッピィドライブのモータ−をOSがソフトウェアで動かすという神業を使っていたため、回転を遅くさせたり、セクタ数、トラック間のスペースを変更したりしてプロテクトをかけた。なかには、逆回転させるソフトウェアすらあった。自由度が高く、コピープロテクトの芸術的なものも多かった。

2.コピーツールと、プロテクトは、おたがいいたちごっこのようになった。Apple2では、何十種類もコピーツールが販売された、有名なのが「ロックスミス」というソフトウェアである。どんなソフトウェアでもコピーできるように書いてあったが、実はコピーできないソフトがあった。....それは自分自身であった。すなわち、ロックスミスではロックスミスをコピーできないのである。人の会社が発売したソフトはコピーできるのに、自分が開発したソフトはコピーできないようにしてあったのだ。これは業界からも、ユーザからも非難された。その後、ロックスミスをコピーする専門のソフトが、別の会社から発売された。

3.ソフトウェアの団体も、まず企業内部の不正コピー撲滅からはじめたようだ。密告を受け、調査し、民事訴訟を起こして、損害賠償請求するのだ。何社かが、賠償することになった。今では、企業での不正コピーはほとんどなくなったと思われる。かなりの数の不正コピーが今でも行なわれているのが、なんと学校だと言われている。まだ個人相手の訴訟はないが、やがて、ソフトウェア団体も黙認をやめるだろうと思われる。うわさによると、某社はコードの中にシリアルナンバーをインターネット経由で、自社サーバに送るようなものをいれており、同一シリアルが検知できるようにした、とのことである。

4.ビジネスソフトを普及させ、シェアを獲得するために、次のような戦略をとっている企業がある「らしい」。まず、コピー対策をあえて講じないで、不正コピーを野放しにする。不正コピーが蔓延し、それが企業、個人で使われ、定着してしまったところで、徹底的に不正コピー撲滅対策に乗り出す。もう、ソフトをアンインストールするわけにもいかず、正規にみんな買い込むようになる。これで大きなシェアを獲得できる。

 不正コピーは、なんといっても、業界で開発費をかけて新規ソフトをつくる意欲をうしなわせ、最後には、ユーザがその不利益(価格が高くなる.ソフトを開発しなくなる)をこうむることになる。

 しかし一説には、CD−Rドライブを買っている人間の大半が不正コピーを行なおうとしているとも言われている。コピーソフトもよく売れている。NEROや、CloneCD(古いCD−Rドライブでは動かないが、現在最強のコピーソフトといわれる)が有名らしい。