続 悪徳商法手口

1.ネットオークション

 ネットで、いろんな人が売りたい商品を持ち寄り、それを競売にかけて、高い人が買いとる、というオークションがはやっている。のみの市のネット版だ。

 ただこの蚤の市は、売りたい本人が実際に出向き、相手と会話して売るのではない。ネットに商品の情報などを出すだけである。誰かが全くわからないように、売り出すこともできる。素晴らしい新しい制度ではあるが、同時に注意をしないと危険な取引である。警察のハイテク部隊も、このオークションサギの撲滅には力をいれているのだ。

 ともかく、何度もいってきたように、ネット上では、完全な匿名を保つことが可能なのである。少しの知識があれば、警察が捜査にのりだしても、つきとめにくいようにして、ネットにかきこむこともできてしまうのである。またネットでのサギで騙されたときには非常に捜査が大変である。捕まえられないことが多いという点では、普通のサギより、注意が必要なのだ。

 もう一つの危険な点として、ネットオークションはほとんどの人が未体験なため、やりかたもよくわからないという点がある。

 一番多く発生しているやり方は:

  XXXXを10万以上で売りたい、とオークションに出す。ものとしては人気チケットなどが多いようだ。
  これを見た誰かが落札する。
  落札できたよおめでとう、といって、口座番号を教え、10万振り込め、入金確認したら商品を送る、と命じる。
  振り込ませたら、現金を速攻で引き落とす。そのまま、商品も送らず終わり。そのまま。

 である。口座の開設者をみても、実在しない人物である。銀行口座などネットの暗黒面を知っている人間であれば、架空の口座を作るなど、いともたやすい。防犯カメラにうつらずに、お金を下ろす方法もよく知られている。

 ひっかからない方法として、一番確実なのが、実際にあって、お金と商品を交換することだ。これしか確実な方法はない。なお、女性1人で会いに行くのは危険である。友人といくべきである。

 あとはどんな方法をとっても、危険がある程度つきまとう。でも、実際のオークションでは、落札後、相手の電話、名前、住所などを聞いて、お互いにやりとりし、ある程度、信頼おけるなと判断すれば、口座振り込み、商品発送を行なっているようである。安全と手間との間の妥協といえる。電話をかけて、相手と一度は話しておきたい。代金引換郵便なども検討する。

 もし、相手が、電話、名前、住所を教えたくないといってきたら、その取引はやめることを勧める。会いもしない、相手の情報もなにもない、それでお金を払うのは、いくらなんでも、お人よしすぎる。もったないなくても、そういう人からものを買うのはやめておきましょう。

 騙されて商品が送られてこない場合、オークションのサイトは責任をおわない。せいぜい、情報をくれる程度だ。あとはいきなり警察である。しかも、検挙は難しい。だから、騙される前に本人が注意をはらうことが大切だ。

 送ってこないというサギもあるが、それよりも実は、商品が思っていたものとは違う、ということが多い。相手が騙す気がなくても、意思の疎通が悪く、お互いが勘違いをしている場合もあるわけだ。

 実例としては、「新品同様」「美品」といってたが、手にしてみると、きずだらけ、汚れだらけといったものがある。売り手買い手の基準が違っていたわけだ。品質にシビアさが要求されるものは、実際に会って購入したほうがいいことになる。

 ともかく相手と、多くの情報を交換し、質問し、商品の確認をしておくべきだ。写真、型番なども必要に応じて確認しておく。

 9月25日補足:盗品をこれでさばこうとする人間もあらわれているそうだ。ますますネットオークションはこわいものになりつつある。

2.データベース時代

 コンピュータによって、世の中の効率はよくなってきている。しかし悪徳商法にとっても効率よくなるのである。

 ビジネスに必要な情報を、きちんと整理し、データとして登録し、活用する。データベースは企業の財産となる。悪徳商法も、商売で得た情報を登録し、活用するわけである。一度、ビジネスとなった企業・人間について、情報を登録し、また活用しようとしているのである。

 悪徳商法に限らない。一度、通信販売を利用すれば「通信販売を利用した人間のリスト」に登録される。そして、その会社だけでなく、他の通販業者にも情報は流れ、大量のダイレクトメールがやってきたりする。なぜなら、効率がいいとみなされるからだ。エッチな商品(顔が真っ赤になるような)のダイレクトメールがやってくる。これは、貸しビデオ屋の登録情報が流されていることが多いと聞く。(どういうビデオを良くみているか)
 新聞勧誘が来る。一度新聞勧誘によって、新規購読すれば、解約してても、もう一押しすれば、また購読してくれるだろうと判断されてしまう。一度新聞勧誘で新規購読すると、断っても断っても、勧誘しにくるはずである。
 最近はやたらにアンケートと称する個人情報の獲得がある。インターネットでも、なにかの申込書でも。これらの情報はなんに使われるか考えたことありますか?ツールの使用登録するのに、「好きなジャンルは難ですか?旅行、映画、グルメ...」などと聞いてなにに使うのかを考えたことがありますか?借金すれば、また、借りてくれるだろうリストに登録される。

 こうした情報は、以前は紙ベースのものが多かったのだが、今はコンピュータによって、デジタルデータとして保管される。この情報は時間がたっても、ぼろぼろにならず、いつでも使えるし、活用の仕方も豊富になる。また、コピーが楽で、完璧で、いくらでもできるのである。流通させるのも容易で、メールで一発である。

 こんな個人の個性を示した情報が、悪徳商法の業者に渡ってはたまらない。ターゲットとなる属性を検索条件で、搾り出し、そこに集中アタックをすればいいのである。例を示すと、「資産:1億以上」「興味:投資」などのアンケート結果があれば、この項目で検索すれば、「投資話サギ」のAランクターゲット候補者リストが完成する。

 でも、そのような情報は現実に流通しているし、利用されている。きちんとした会社が集めた情報でもハックされたり、盗難されている。また、自分達での、一度ビジネスになった相手にはまた、アタックしてくる。であるから、ターゲットにならないように、注意が必要となる。そういった情報のことを意識し、可能な限り登録されないようにすることである。

 彼らは「自分たち、または同業の一度ビジネス(かかった)になった人のリスト」「他の個人属性データ」を両方使ってビジネスの効率をあげる。

1.アンケートには必要なければ、馬鹿正直に個人情報(興味など)かかない

 情報メールを依頼するわけでもないのに、興味を持つ事項を安易にアンケートにかかない。または正直にかかない。家族構成なども同様。その企業がどうしても、必要になるだろうものに限るようにする。財産は?とかの情報は、真実を書かない。

 アンケートとしては、インターネット(各種登録時のアンケート)、通信販売の注文時、懸賞応募時などが。考えられる。直接、関係ない事項はかいてはないらない。

2.登録されない

 なにより、一度でも悪徳商法、強引な商法、迷惑な商法にひっかからないようにする。もう一度攻めてみるかの候補になってしまう。彼らはデータを消すことはない。

3.データを登録しないとできないような事をしない、買わない

 近くで売ってるんだったら、わざわざ、個人情報全部教えて通信販売で買わない。

3.きちんとした会社

 今回は悪徳商法というわけではなく、必要な慎重さ、と相手の会社の規模の関係について考えをかいてみたい。

 ある会社のものを買う、ある会社と契約する、ある会社で働く...

 そのときには、誰でも相手の企業がきちんとした会社かをまず考えるであろう。聞いたことのない会社だと、極端に警戒し、慎重になる。有名な会社だと、いきなり、警戒は緩む。信用する。上場企業だ、だから安心。銀行がいってる、だから安心。とまあ、これが通常の判断基準だ。。

 で、これが全くの誤りで、今後は、世間で有名なきちんとした会社でも、警戒が必要である、ということを説明する。

1.きちんとした会社は、そうそう簡単に会社の責任を認めない。

 ある上場企業のセールスマンから説明を受けた。で買ったら、説明と違うものだった。企業をうったえたら、きちんとした会社だから、すぐに説明を受けて、非を認めてくれるか?お金をかえしてくれるか?
 上場企業では、企業信用がことのほか大事である。だから、会社の非であったとは言わない場合があるのである。また、勤めている社員も出世コースがシビアであるから、ミスがあったとはいえないことがある。さらに、そういう立派な企業は、法的措置にしても専門家が沢山おり、いつでも個人とは戦うことができる。

2.大企業の商品であっても、担当・責任がその大企業にあるとは限らない。

 セールスマン個人の問題であった、とかいって問題、責任が社員のものになってしまう場合。会社側の責任を追及しても、徹底交戦する場合が多い。また大企業ほど、下請け企業、外注企業を沢山使っている。大企業の名前でうっていても、実はそれらの企業が販売をしていたりする。そして販売のトラブルが明らかになると、その会社のせいにしたりして、大企業本体はしらんぷりをしようとしたりする。

3.不景気・競争によるシビアさ

 不景気で競争の時代なので、なにもかも経費削減となる。大企業にも大号令がかかっている。安く安くつくれ、かねをかけずに売れ、とくる。大企業だから、すまして、採算悪くても、信頼を大事にする、という時代は終わっている。だから、教育された正しい販売社員からあぶない販売社員、信頼性の高い商品から信頼性の低い商品、確実な商品からリスクのある商品、上品な販売方法から下品な販売方法...とコスト重視に変わっていく流れはどうしても出てしまう。有名企業だから、安全確実、信頼100%、というのは誤りである。 コスト削減のため、やむなく安物のパーツをしようする。故障率が高くなり、ユーザが困っても、目をつむりましょう、ということになる。

 別に大企業の悪口をいいたいわけではない。

 消費者が契約・購入時に、「慎重によく注意すべき時と、注意を緩めてもいい時を区別する基準」に、「その会社が大企業か上場企業か有名企業かといった基準を使う」のはやめよう、と主張したいのである。商品にしても契約にしても、相手の企業名にかかわらず、同様の注意力、慎重さをもって、取り組もうということである。大企業だから頭から盲目的に信用して警戒を解くのはだめだといいたい。

 変額保険の契約トラブルの当事者の声は、「相手が有名な、保険会社と銀行だったので、よく確かめずに信用してしまった」であった。

4.玄関で帰ってくれない人

 訪問販売で、各家庭を訪れて、商品説明をする。しかし、説明を聞いても、買いたくない、それを伝えても、かえってくれない。これは本当に困ったものである。商売熱心なのはわかるが、相手が不快感を感じ迷惑になっているのに、居座る販売員には困ったものである。どの家庭でも経験はあるだろう。新聞勧誘でもそういうことがある。「買ってくれるまで、帰らんぞ」と声に出せば立派な「押し売り」であるが、そういうことは決していわない。ひたすら買ってくださいよ、である。どうやれば退散してくれるのだろうか。これは、商品だけではなく、宗教勧誘でも同じことがある。

 もうかわないと、決めたのだから、いつまでもいてもらうと困るのである。では少し彼らのことを考えてみたい。

1.なぜ、買わないといっているのに帰らないのか

 彼らはいやがらせに来たのでもないし、時間つぶしに来たのでもない。契約させて手数料を取りにきたわけである。通常、買わないのなら、そこにいても、無駄な時間のはずである。なぜ帰らないのか。

 答えは一つ、この人は買う(契約する)と思っているからである。口ではいらんと言っているが、最後はかってくれるぞ、この人は、と貴方は思われているのである。

2.帰らない工夫

 まず、玄関をあけさせる、あけさせたら、片足をさっと差し込む。片手もパンフレットかなにかを持って、差し入れる。ともかく、玄関を空けたら締めさせない。会話しつづけて、帰れといいづらくさせる。入ったら、延々説明する。いらないといわれても、そんなことを言わずに、とか、でも、XXXなんですと、とかあきらめずに話しを続ける。話をとぎらセたら、玄関をしめられたら負けなので、それを避けるようにする。

3.彼らにとって何かこわいのか

 ・絶対に買わないという堅い決心  
 ・「お帰りください」という一言
 ・罵倒されること。
 ・会話がなくなること

 決心がかたい、または、固くなってしまったら、それは困る。「買ってあげてもいいかな」と思わせた状態で押しつづけたい。
 また、場所が相手の自宅であるため、その相手が帰れという意思を示したら帰らざるを得ない。不法侵入になってしまうからである。だから、ともかく、帰れといえない、いいづらいような雰囲気を作ろうとする。
 悪質な訪問販売だと思われ、罵倒される、あからさまに失礼な態度をとられるのも恐い。(矛盾しているが)人間としてやはり傷つくのである。
 会話が続けば、こちらもプロなので、相手を説得しつづけられる。会話がときれたら、そこにいつまでもいるわけにいかなくなる。

4.意志表示後、なかなか帰らない人への対策は

 では、どのようにして、お帰りいただくのであろうか。それは3の結果を用いるのである。結論を列挙する。

 ・会話がだいぶ続いたところで、静かな口調で「...こんなに、いくら買ってください、といわれても、買うことはないのですよ。いくら、いていただいても、申し訳ないですが、買うことはありません。お互い時間の無駄になってしまいますよ。別のお宅で、お話をされたほうが、あなたもお得ですよ」と逆説得する。相手がいくらなにかを話し出しても、別の話にきりかえようとしても、同じ事をくりかえす。「お互い時間がもったいないと思うのですが...もうお話はお聞きしました。、すいません」しずかな口調で意志強そうにいうのが重要である。相手の意欲を失わせるのが目的である。
 みな歩合性なので、ある意味でいそがしいのだ。販売員本人が「こいつはもう買わないや」と思ったら、勝手にかえる。
 「粘れば、こいつは、もう参って、早く帰ってほしく、もう買います、というに違いない」と言う思い込みは間違いだったと、思わせる。

 ・「お帰りいただけますか」だめなら、「すいません。お帰りください」としずかに宣言する。もっと前段階で戸を少しあけた段階なら、そういって戸を締める。玄関の戸の隙間から、脚をいれてくる、または、手をいれてきたら、その手、または脚に顔を向け、みつめて、「これはどういうことですか」という。ひっこめたら、戸をしずかにゆっくりしめる。

 ・乱暴な言葉を販売員にあびせない。しずかに礼儀ただしく、こちらは接する。礼儀ただしくされたほうが、引きやすいようだ。「かえれ、このやろう」などというと、心情的にただで帰れなくなる。ちょっと、この家でもめてやろうかと思わせたり、怒鳴ったり玄関を帰りぎわ、蹴っていったりしてしまう。

 ・できるかぎり、相手が会話を継続させられないようにする。つまりしらけさせる。うなづかない、反論しない。ただ、黙って聞く。聞くだけきいて一言「でもいりません」という。「XXXXについて、お宅はどうですか?「どう思われます?」と聞かれたら、笑って、うーんとか言って、可能な限り話さない。やがて、会話が途切れる。んで、「お互い時間がもったいない....」(3項目前を参照)と切り出す。質問されても絶対に自分に関する情報を出さない。

 ともかく、原則は、うかつに玄関をあけないことだ。インターフォンですませられるはずだ。次にあけても、玄関にいれない。はいってこようとしたら、あ、入らないでくださいとはっきりいう。早急に戸を閉める。いれてしまって、話を聞いてもいらないし、帰らないのなら、明確な意思表示(買いません。お帰りください。)を早急にする。

5.洗脳解除

 今まで、いろんな悪徳っぽいビジネス(たとえば、マルチまがい商法)をやろうとしている人から「こんなのへんですよね。うますぎますよね」と判断を求められたことは、今まで沢山あり、今でも多い。「それはこういうところが変だと思います。」といって、じゃ、やめます、とやめた友人もいる。いわば、入り口で、判断したわけだ。入り口では、当然、判断能力が生きてるから、材料をあげれば、それで本人がやばいビジネスかどうか自分で判断して、やめたりする。

 しかし、既に入ってしまった人はどうなるのか?この人を救いたいときには、どうしたらいいのか、という問題がある。既に、その人はそのビジネスは悪い商売ではない、とか、人のためだ、とか、これで大もうけできると信じて、ビジネス展開中なわけで、いわば信者である。信者に客観的な判断をさせるのは本当に難しい。もう財産を投じてしまっているし、何人かには既に売り込みをしてしまっている。

 それが「いい人」であれば、なんとか、救ってあげたくなるだろう。でも、私も、そんな人に判断を変えさせたことはない。だから、その経験がない。でも、もし、そうなったら、どうやればいいのかを自分なりに考えてみた。単なる私の考えである。従って、誠に心もとない無責任な内容になりそうであるがお許しいただきたい。

1.忠告は無駄ではない

 こんなに信じきっているので、言っても無駄、と思うかもしれないが、無駄ではないと思う。マルチで絶対に儲かると信じきっている相手は、24時間365日常に堅く信じているわけではないのではないか。財産をいれてしまっているので、もう「信じたい」だけである。自分で自分に言い聞かせて奮い立たせている、ということだろう。私はこのビジネスで幸せになれる、大金持ちになれる...と。

 でも、ふと、不安がよぎっているはずだ。「でも、本当なのかな。お金取り返せるのかな...あ、いや!絶対儲かるはずだ!!」と。不安と自分への言いきかせを繰り返している。マルチの売り子は、実は、不安でいっぱいで、売り込まれる方からみると、売り込み時に自信満々にみえても、内心、不安だらけだと思う。

 だから、相手が聞いてないような雰囲気だったり、そうじゃない!と力強く否定してきて、あーこれではいくら忠告しても無駄だと思っても、実は、その忠告を相手は聞いている。「あ、この友達にも、おまえそれ、マルチだぞ、友達なくすぞ、と言われた。えー、もしかしたら、そうなのかな...」と心の中ではぐらついていると思う。友人が本心から、相手を思って強く忠告してあげれば、聞いてないようにみえても、相手の心には、強くその文言は残っている。(と思う)

 かりにもっと強く信じきっていても同じことで、忠告をしておけば、それは心に残り、何かのはずみで、本人が疑いをちらと感じたときに、その忠告を思い出すのである。すぐに相手の直接の行動に反映されなくても、忠告だけはともかく一度だけ、しておくというのは無駄ではないと思う。そういう友人こそ、ほんとの友人かも知れない。

 ただくれぐれも、その友人の親ねずみや、団体の幹部のいる前で、忠告しないように。本当に無駄だからである。場所をかえるなり、手紙なりで、本人だけに言ってあげるべきである。

2.判断のネタ(材料)を与えてあげる

 友人が忠告しても、「お前はわかってないんだ。このビジネスの素晴らしさを」という精神状態である。だから、「そうかな。でも、これ見ておいてくれよ」と材料を提示してあげるのもいいかもしれない。

 友人だけでなく、いろんな人がやばいっていってるよ、ということを具体的に提示してあげる。「え?こんなに多くの人がやばいっていってるのか...」材料としては以下のものがあるだろう。

 ・既にその会社が社会的に糾弾されていれば、それらの糾弾本、インターネットの情報、雑誌・新聞の記事など。弁護士や、弁護士の団体、マスコミ、消費者団体などの執筆したものがベストである。

 ・同じビジネスモデルで既に糾弾されている団体に関する同様の情報。

 ・インターネットの掲示板などで、そのビジネスをやっていた販売員本人が書き込みをしているものがある。この掲示板のアドレスを教えてあげる。結構、懺悔の意味で、正直に書き込みをしている人間も多いようだ。懺悔だけでなく、大変な苦しみのリアルな記述、内幕なども書いてくれている。
 インターネットでは、会社名と、「悪徳商法」の2つのキーワードで検索をかけてみるとかなりの数が見つかるはずだ。既に、被害者がでていれば、被害者が書き込みをしていることが多い。インターネットの即時性が生きているのである。

3.いつまでも友人であること

 こうして、親切に忠告してあげても、だめならば、時間を待つしかないと思う。するべきことしてあげたのだから。そのうちに、自分でいやというほど、儲からないことに気が付くはずである。多くの友人を迷惑に巻き込んでしまったとわかるはずである。

 問題はそのときで、マルチの販売員として頑張ってしまった人には、かならずその人の全人脈を食いつぶしてしまっている。だから孤立する。追い詰められている。誘った友人からは恨まれることになる。金も取り戻せない。八方ふさがりである。大学生マルチなどでそういう状況が多発した。だから、そのときでも友人であってあげて、立ち直る際に暖かく見守ってやることも必要ではないだろうか。

 私は、マルチ商法を「ゾンビ」にたとえている。一度、かまれた人間が、またゾンビになって、人をかんで、ゾンビを増やしていくからである。でも、マルチでは、ねずみになった人間は死んでいない、ひっかかった人間である。警察が介入するほど悪質なものであった場合には、人を勧誘したあとは被害者でなく、加害者扱いされるらしい。

 以上、私の考えを書いた。

6.カード

 カードは便利である。現金を持ち運ばなくてもいい。海外に行けば必須である。でも、このカードのセキュリティに関する脆弱さは悪い人間どもにとっても便利なものである。

 以前、ハイテク、コンピュータ関連の従事者は限られていた。しかし、現代は実に多くの人間が従事している。当然、悪い人間でハイテク技術を知っている人間も沢山いる、という状況になっているのである。カードに関しては、今後、我々は財布と同様に十分注意を払わなければならないのだ。

 従来から言われているカードの危険性:

 ・番号、名前と有効期限程度で、通信販売、インターネットでは本人と認定される。
 ・国際的犯罪組織が存在する。カードの偽造が簡単。スキミングがはやっている。(カードの情報盗難)
 ・拾えば、そのまま使える。サインも実際は比較していない。

 といったところであろう。だから、クレジットカードについては、使わないカードを作らない、毎月カードを持っているか確認する、使用明細は絶対に確認する、裏にサインを必ず行なう、怪しい店・サイトでは使わない、という対策を必ず守ることである。

 今回はクレジットカードについてでなく、キャッシュカードである。キャッシュカードが現在、いかに危険なものかをこれから説明する。

 通常、キャッシュカードを使うのは、銀行のATMであろう。ここで使う分には問題は全くない。ここ以外で使う以外にどこで使うっているの?と読んでいる人の多くは思われるだろう。しかし、実はATM以外でキャッシュカードは使えるのである。

 それは、デビッドカードとして、加盟店で買い物に使用できる、いや、できてしまうのだ。デビッドカードサービスを開始した銀行キャッシュカードはすべてこの通りである。俺は、そんなこと申し込んだことないぞ、という人がいるかも知れない。しかし、そうではない。キャッシュカードは持ち主の意志にかかわらず自動的にデビッドカードに現在なってしまっているのである。みんなこのことを知っているのであろうか。

 デビッドカードとして、使えなくするには、申請が必要なのだ。申請しないかぎり、いつのまにか、買い物機能がついたデビッドカードなのである。そんな馬鹿なといわれるかもしれないが、そういうことになっている。なお、郵便貯金カードにもデビッド機能がついているといったら、もっと多くの人がおどろくだろう。おばあちゃんの持っているカードも、子供の持っているカードも全部デビッドカードである。

 デビッドカード(といってもキャッシュカード)は、加盟店で提示し、暗証番号を入力させて、適合すれば、即、その時点で、銀行預金からお金が引き落とされる、というシステムである。

 さて、悪人は、スキミングという技法を使用する。キャッシュカードをあずかって、機械にカードを通す、そしてすかさず、不正使用のための機械にもカードを通す。暗証番号は、盗み見るか、これも専用のスキミングの装置をしようして抜き取る。この抜き取った情報で、全く本物のキャッシュカードと同一のものを作成し、デビッドカード加盟店で、高額品を買いまくる。

 今までのキャッシュカードはATM以外使わなかったので、そもそも不正利用されにくいし、いうまでもなく、スキミングなどというチャンスはなかったわけである。

 なんだ、クレジットカードと似てるではないか、と思われるかも知れないが、恐ろしさは段違いに上である。その違いを説明する。

1.保険が適用されない。

 クレジットカードは、不正使用された場合の損害を保険で保証してくれるが、キャッシュカードにはそんなものはない。従って、全額、持ち主の負担となる。一部、50万円まで、補填してくれるキャッシュカードもあるが、デビッドカードは、キャッシュカードなので、口座から降ろせるまで、買い物ができる。200万円定期があって、それが担保設定されている普通預金で、100万円預金があったとしよう。100万円でなく、200万定期の担保貸し出し分まで使用できてしまうのだ。

2.デビッドカードとなっていること自体知らない人が多い

 キャッシュカードを紛失し、気付かないうちに、暗証番号まで知られたら、いくらでも買い物をされてしまう。加盟店には防犯カメラは、ATMと違ってついていない

3.不正使用に気が付かない

 クレジットカードのように、支払い明細がこない。通帳をみない、またはざっとしかみない人は、「あれ?残高がへってきたなあ?使いすぎたかな?」くらいにしか感じない。まさか、カードをもう一枚作られ、使いまくられているとは気付かない。

 キャッシュカードの恐ろしさをわかっていただけたであろうか。磁気カードのように単純極まりないものから、ICカードにうつっていけば、しばらくはかなりの被害は減ると思われる。

 ここでいいたいのは、キャッシュカードについても、そのような不正利用がされるのだ、いつのまにか、そういう状態になってしまっているのだ、ということを十分自覚する。そして、扱いにきをつけて、クレジットカードと同様の注意をしてほしいのだ。さらに、預金通帳の記帳もたまにして、思っているよりも、額がへっていたら、すぐに確認することである。さらに、どうしてもいやなら、デビッドカードとしての利用をできないように依頼することである。

 ぜひ、一度、お手持ちのキャッシュカード(既にデビッドカードを開始している銀行のもの)で、デビッドカード加盟店で買い物を一度してみてほしい。なにも申請していなくても買えてしまうはずである。ATM以外でも既につかえてしまうのだ。注意しましょう!

7.海外 

 日本人も、旅行、仕事でガンガン海外にいく。すると、もちろん、その国にも悪徳商法があるわけで、それに日本人もさらされるわけである。どんな手口がるのだろうか。なんといっても、日本人は金を持っている、しかも、治安のいい国から来ている、好奇心いっぱいである。こりゃ、どうみても、おいしい獲物にみえるだろう。わたしは海外にいったことは少ないが知っているものを。(こんなのみんな知ってるよなア...)

1.フランケン時計

 香港などで、小さな店でブランド時計(主にロレックス)を買う。「これは本物のロレックスか?」と聞くと、絶対間違いないという。もちろん、本物の時計を扱っている店がほとんどだが、中には、本物は本物でも、フランケンシュタインみたいな時計を売る店があるらしいので、要注意である。本物なので、文句は言えない。

 故障して、もう修理できない本物のロレックスから、使える部品を集めてくる。何台も、その部品を集めて、その部品を組み合わせて、1台きちんと動くロレックスを合成する。まあ、看板にいつわりなく、全部本物ではあるが...

 「フランケンシュタインも人間か?」という問題に帰着するのかも知れない。

 ロレックスは、中古、ビンテージ市場が完全に確立している。価格も世界的に差はあまりない。そんなに安くうるはずはないのである。安かったらそれなりの理由がある。中味を確認することは一般の人はできない。だから、時計のサギ的販売は多いのだ。中味を確認できないのだから、売り相手を信用するしかない。ということは、高くても、有名店、歴史・実績のある店から買う以外に方法はない。これは国内でも同じ事である。

2.ハワイのオニイサン、マリワナ、イランカネ?

 ハワイにいってブラブラ歩いていると、必ず、この若者に出会う。みなさんも知ってるでしょう?すると、海外にいった開放感などから、ついつい手を出して買ってしまったりする。

 これは本物である可能性はまずない(そうである)。そこらの草をひっぱってきて、乾燥させ、それを紙にまいて売っているだけだ。引っかかるほうが悪いとも言えるし、そんなに高いのではないから、みんな笑ってすませているのだろう。

3.ハワイのオーム

 これも知っていると思うが、大通りにオームがいて、目立っている。そして観光客と写真をとる。写真代は、とてつもなく高い。信じられないくらい高い。気をつけましょう。こういうのは、大通りにおかせるなよな!

4.クレジットカード

 ホテルなどではチェッインの際に、クレジットカードをガッシャとやり、値段の書いてない紙にサインをさせられる。海外ではこれで、逃亡や被害をうけたときのために、担保するわけだ。日本でこんなことはないが。
 宿泊するために拒否するわけにはいかないので、従ってサインするしかないが、この空白の紙が恐い。いくらでも、高い価格を書いて、支払いにまわされてしまう可能性がある。実際に被害報告もある。
 だから、チェックアウト時に、改めてクレジットカードをプリントした紙にサインをしたら、「チェックイン時に、サインした紙を返してくれ」といって、取り返すことである。そしてその場で破り捨てる。
 また、厳密にいうと、カーポン紙も返してもらってたほうがいいのである。ここまでやる人は少ないようだが。カーボン紙にあるカード情報を取り出し、不正使用した例があったそうである。

 ありゃ、もう、ねた切れ!なさけない。それだけ、海外経験がないということだ。みなさん、海外で、やられた悪徳商法ありましたら、教えてください!

 ツアーで、バスに乗せられ、回るだけなら、いいが、「自分の意志でいろいろ、歩いてみよう」と思うのだったら、事前に、インターネット、雑誌、ガイドから、情報を得るのが一番でしょう。

(この項目、つまんないなあ)

8.人事は何やってんだ

 小学校は、算数、国語などだけを子供達に学ばせるだけの場所ではない。みんな知っているように、人間としても道徳観や、ルールなども学ばせる場所であり、しつけの一貫も担っているわけである。

 学校を卒業して、学生を企業が採用し、就職し社会人となる。企業はその人材を単に企業の戦力としてだけでなく、社会人として育てる義務の一部を持っている。このページでは書いているように、悪徳商法は企業に入って日の浅い人たち新社会人を狙っているのである。そして多くの新社会人がその手口にひっかかっている。こんなことは常識のはずだ。

 企業の人事(社員教育を担当している場合)は何をやっているのだろう?自分たちの大切な人材が、毎年、こんな、危険にさらされ、わなにひっかかっているのに、毎年被害をうけて悩んでいるのに、手をうっている企業はほんのわずかなようだ。かわいそうだと思わないのか?せいぜい、「変な電話にかかるなよ」「世の中にはうまい話はないぞ」程度しか言っていないのだろう。

 どの企業でも人事(または人事教育、教育など)が主導して、新人教育を行なう。そこでは会社の理念や、組織、商品説明などを学ぶ。また、グループでの活動の実習演習なども行なっている。この中のほんの1時間でいいのだ、ちゃんと彼らを狙っている、悪徳商法の手口をきちんと説明し、そういうものにかからない考え方を伝えれば、そしてかかったあとの行動を説明しておけば、こんなに被害がでるはずがないのだ。

 人事は会社の大切な人を扱う仕事ではないか?こんな大切な問題をわすれていて何をやっているのか。しっかりしろ、といいたい。

 人事担当につぐ。すぐに、新人教育プログラムにきちんと、新社会人を狙う悪徳商法に関する時間をいれろ!自分で資料を集めて教育してもいいし、専門家を呼んでセミナーをやらせてもいい。これだけで、新人の被害は減るし、その社員のその後の生活でも、被害に合う率は大幅に減るではないか。全企業でこの手の教育を真剣に新人に実施すれば、日本で悪徳企業はかなり窮地にたたされるだろうd。

 もし、社員が悪徳商法にひっかかれば、その社員は仕事どころではない。仕事中にもそのことが気にかかってしかたないし(先物など)、支払いが莫大になれば、労働意欲を失ってしまう。もしかしたら、会社を辞めることになるかも知れない。そんなことになったら、会社にとって、とてつもない損害なのである。断言するが、きちんと、新人に対して悪徳商法の注意の時間を取らない人事担当者は職務怠慢である。

9.かかってしまったらどうする

 悪徳商法にかかったら、どうするのかについては、書いてこなかった。それは、私が法律の専門家ではないからである。なぜ、かかったあとは、専門家でないとだめなのか。

 悪徳商法は、金を強奪するわけではない。法律を無視しているわけではない。無視してくれているのであれば、話は簡単で警察がつかまえればよい。しかし、やつらなりに、法律を研究し、それに違反しないようにして、(または違反を実証できないようにして)、商売をしている。つまり法律に彼らなりに準拠してやっているわけだ。法律の抜け穴商売なのである。

 だから、彼らの商売は、被害者と「契約」をともかく結ばせる。契約というのは、書面で行なうのが一般的だが、別にそうでなくてもいい。電話でもいいし、本当は口頭でもいい。(口頭では証人などの証拠がないと裁判では難しいが。)つまり彼らの商売は被害者との契約に基づいている。

 契約とはなにかというと、これは民法にはじまる法律の世界である。訪問販売法、出資法なども当然法律である。

 つまり契約してしまった後、彼らと戦争する(解約する、告訴する、損害賠償請求する、など)には、法律戦争にならざるを得ないのだ。戦争するには、法律を知っていなければならない。悪徳企業側は実によく法律を知っている、被害者はだいたい法律を知らない。これで、契約解除などの法律戦争をやれば、...確実に負ける

 私が、弁護士や、消費生活アドバイザなどの法律知識をもった専門家であれば、契約してしまったあとの対応を正確にかいて、指導できるだろう。しかし、残念だが、私は契約については法律については、個々の事例に責任をもって対応できるような専門家ではない。

 じゃどうすればいいのか。契約してしまったあとの、悪徳企業との戦争は法律の正確な知識をもった専門家を味方にするか、アドバイスをうけるより、方法がない。不正確な情報にのってはならない。戦争前には、契約書を読んで、販売の手法を聞いて、法律に違反しているような箇所がないかを見抜く力が必要なのだ。さらには、業者に法律的に問題ないのならば、解約を合意させ被害を減らすような、交渉まで相手としなければならない。

 契約をしてしまったら、専門家に相談しろ、それにつきる、といってるのには他にも理由がある。それは二次被害を防ぐためである。悪徳企業ひっかかった人を狙って「相談にのるよ」「助けてあげるよ」といって、近寄り、さらにひっかけるような商売が極めて盛んなのだ!

 一度、変な人を信用して、ひっかかってしまったのだから、今度こそ、変な人を信用するのはやめ、信用できる専門家を選ぼう(最重要!)ではないか。

  ・つきあいのある(がいれば)弁護士に相談、依頼する。もちろん、新たに弁護士に相談、依頼してもよい。(もちろん無料とはならないだろうが)

  ・全国にある公的機関の消費者問題窓口に相談する。

    国民生活センター        http://www.kokusen.go.jp/

      各地の消費生活センター      http://www.kokusen.go.jp/non_frame/info2.html

  もちろん、いうまでもなく、無ニの親友、家族、(頼りになりそうだったら)人事総務・先輩にも相談・報告しておくべきだ。周りで支えてくれる人間を作っておくべきである。単独で闘うのは心細いし、解決する際に仕事に支障をきたしてしまったときも、理解していてくれていれば助かるではないか。本当に立派で、社員に暖かい企業なら、法務関係まで乗り出してくれることもあるだろう。(ただこれは企業の体質による)

 私からいえることは、そのくらいしかない。ともかく、クーリングオフできる時間制限などがあるので、可能な限り早く動くことである。また、どこに相談しても、それまでの正確な経緯や、みせられた書かされた書類をきかれるだろうから、それらをきちんと用意しておくことだ。何よりも...契約というものの恐ろしさ、重さを十分今後、認識して、2度とひっかからないように、糧とすることである。

10.連帯保証人

 連帯保証人のサインに安易に応じるな、と私は親から死ぬほど、くり返し言われたものだ。父親の友人に実に多く、連帯保証人で泣かされた人がいたからだそうである。

 もちろん、連帯保証人は、法律で規定された、債権担保の方法である。連帯というのは、借りた本人と同じという意味に限りなく近い。

 しかし、従来から「借りた本人が、どうしても返せないのなら、かわりにかえす」と勘違いをしている人が多い。友人が5000万借りる。で、頼まれて連帯保証人になる。はんこを押した瞬間、5000万をかりたのと何もかわらない。あとは、運命を友人にゆだねたことになる。もう友人が返してくれることを祈るしかない。

 こんな大変なはんこを、そうそう押す人がいるか、と思うがこれが、大変多いようだ。信じられない話である。友人が夜逃げすれば、(これがまた確率的に多いんだね)即、返さなければならない。

 連帯保証人の意味を知らなかっただけでなく、「断れない気持ちのやさしい人」というのもいる。でも、友人が頼んできているのに断れないよー、などという次元の問題ではないのである。友人関係と連帯保証人は別ものである。連帯保証人はビジネスの問題なのだから。友人だから、必ず友人のビジネスに参加するというわけではないだろう?これと同じなのだ。

 もっというと、5000万円の連帯保証人にサインをすれば、これは次の行動と同じようなことなのだ。「5000万円を借りてくる。で、その5000万円をちゃんと返してくれよ、と口約束で、友人に手渡す」。これなら、いかにお人よしでもやらないだろうけど、サインだけならと、やってしまう。でも、友人が逃げたときの結果はどちらも同じである。

 連帯保証人の魔力がお分かりだろうか?何度もいうが、連帯保証人は、友情の問題でなく、ビジネスの問題である。

 どうしてもやむをえず、保証人になることもあるだろう、そのときには、次のことに注意してほしい。それは「自分が保証人になることに不自然さがないか?」ということだ。たとえば、親戚がたくさんいて、家族もいる、そして、非常に友人が多い男がいたとする。その男がそんなにつきあいが深くない貴方のところにやってきて、「頼む、2人の友情を思い出して、サインしてくれ、迷惑はかけない」といったとする。「なぜ、親戚、家族、もっとつきあいの深い友人のところにいかないのだろう?」と疑問をもってほしいのだ。その理由は、親戚、深い友人などは、彼の状況を良く知っているので、「もう、この男にはヤバ過ぎて(返せる可能性が低すぎて)、恐くて保証人になれない」ということなのだ。(ちなみに、保証人になるときの「迷惑はかけない」との誓いの文句や、「念書 迷惑はかけません。伊藤大作」などというのは、全く意味のないことである。無視すること)

 某企業で有名になった根保証というのがある。連続した貸し借りがある場合、いちいち保証人契約するのが面倒なので、設けられた制度である。根保証で設定されている金額までは、保証人が知らぬ間に、どんどん借りられてしまうのだ。契約書には、当座借りるお金が、100万とか書いているが、別のところに、根保証は6000万円とする、とあれば、あとは、6000万円まで借りても、保証人には知らされない。6000万借りて、ドロン。という可能性が極めて高いので注意されたい。

 なぜ、悪徳商法にこんな連帯保証のことを書いたのか。それは当然、本人に返せないだろうことを知っていて、保証人目当て高利で金を貸し、契約書を作らせ、しかも保証人にはその契約の意味を説明しない業者が沢山あるからであります。

 恐ろしくなりました?ではこの項目は成功です。

11.擬態

 ある種の蟷螂は、花のような姿勢をとり、近づいてきた虫を捕獲する。ある種の魚は舌をちらちらさせ、虫のように見せて、近づいてきた小魚をくう。体をある別の生き物や、ものに似せて餌をとったり、敵から身を守るのを擬態という。悪徳商法でも、悪徳業者は自分たちをあたかも、信頼のおける会社のように擬態をする

 誰でも聞いたことのない会社の名前を聞けば、警戒する。その会社はちゃんとした会社なのか?悪い会社じゃないのか?警戒をしていれば、人間は騙されない。これでは、その業者は困る。なんとかして信用してくれなければならないのである。だから、あの手この手の方策を考える。

1.有名な会社名に似た会社名を使用する

 一斉を風靡した「豊田商事」。まるで、自動車のトヨタが母体となった商事会社に聞こえないか?聞こえるはずです。そういうふうに作ったのですから。こんなものはいくらでも作れる。日経商事、読売販売、SB物産(いずれも架空)...(本当にあったらすいません) 
 「きっと、あの有名な企業が作った関連会社なのだろう」と錯覚する。ちなみに、同一地区で、同種の業種でなければ、同じ会社名が既にあってもOKの場合がある。
 会社の名前など、その会社の実体・信用と何の関係もない。意味もない。

2.財団法人、社団法人に似た企業名をつける

 日本ビジネス研修振興会(架空)、とかである。実際に社団法人、財団法人とついていなければ、それらの法人と決め付けてはならない。

3.巨大な企業をイメージつける

 Ito World International Enterprise, co.イトーワールドインターナショナルエンタープライズとかはどうか。ともかく英字でつくると、世界的企業に感じてしまう。まあ、これは自由だけど。ともかく、企業名で、企業のイメージを頭に作ってしまわないようにしよう。

4.パンフレットに、有名人、有名企業とあたかも関係あるかのように書く

 非常に立派な紙、印刷、デザインを用いて会社説明のパンフレットを作って、これをまず見せて信用させる。これに、既に信用のある人間、会社を書いて、あ、あの有名な人もやってるのか、推薦してる、あ、資本関係があるのか、と思わせる。
 短期決戦で、騙してもうけて会社も消してしまう場合には、平気で勝手に有名人や企業名を平気でかく。「知らない会社です。勝手に名前をつかわれたのです」など良く聞く。
 また、有名人でもアホが多く、よくわからず、付き合いで名前を貸してしまったりする。問題になってから、「友人の依頼で名前を貸しました。どんな会社かは良く知りませんでした...」会社のパンフレットは、その会社が自分の都合でかっこよく作った単なる情報であり、名刺と同じ程度の信用度である。

5.TVでCMをやる

 TVでCMやっているから、きちんとした企業なのだろう、などというとんでもない思い違いをする人もいる。CMやっているのは、企業が成長しているから、儲かっているからであり、立派な企業だからではない。
 TVでCMをずーっとやってたけど、きわめて悪質な商売をしていた企業は実に沢山ある(みなさん、おわかりでしょう?)。別に審査会をやってるわけではない。

6.都心にオフィスをかまえる

 都心の有名巨大ビルにオフィスをかまえているのだから、これはすごい!家賃も高そうだ、これは立派な会社だ。
 特に、新宿副都心の高層ビルだと、完全に信じてしまうようだ。ところが、最近、あくどい商売をしている会社が、これらのビルに入居している場合が多い。気をつけてほしい。

7.話にやたら、「外国」「有名人」「大企業」がでてくる

 初対面の相手に、この前、ロスでどうした、シンガポールでああだ、と海外がでて自分が世界をまたにかけているように話す。また、こんな有名人とダチ?だとか、なれなれしく話す。また、この前、日商岩井とどうしたとか、いかにも大企業としょっちゅう関係しているように話す。
 話の中で、本当に必要で、話にだしてくるのならいいのだが、やたら、関係ないのにべらべら話し出すのはいかにも怪しい。

8.インターネットのホームページを独自ドメイン付きでもっている

 というのも、今後でてくると思う。HP持ってると、社会に根のはった企業に見えるから不思議だ。

 結論からいうと、きちんとした企業かどうかは、相手の作った情報ではだめである。判断はできない、という実に簡単なことになる。企業同士がお金をやり取りするお付き合いするとなれば、ちゃんとした会社なら、第三者信用機関に、照会するはずである。個人ではそこまで出来ないので、少なくともいろんなルートで、他人など第三者の意見をきくべきであるし、判断する情報がないのであれば、そこそこ警戒と信用を半々でおつきあいをはじめていくのであろう。

12.値段のわからないもの

 悪徳商法で扱う商品は、値段のわかりづらいものが多い。そういう商品を探すわけである。値段の相場、原価などが容易に検討ついてしまっては、悪徳商法では困る。利益があげられない。安物をあたかも高額品に見せるわけである。

 どんなものが、一般の人は値段の相場(、また安物か、きちんとしたものか)がわかりづらいのだろうか。

1.健康食品

 いくらでも高くても大丈夫。「これは高級品です。ききめが違います」といえばいい。だいいち、原価など一般人には全くわからない。かえって高いほうが信用される。1万円で通信販売していたものと同種のものが、別のところで500円で買えたなんてざら。成分なんて素人では判断不可能。

2.宝石、時計、貴金属

 これらも原価がわかりにくいし、相場がわかる人もプロかマニアだけである。私個人は時計については相場がわかる。それはマニアだからである。TVショッピングで、ダイヤ何カラット、何個、金仕上げなどと、いくら誉め言葉を連打しても、市場価格はどのくらいかはすぐにわかる。こんなもの、5000円でいいほうだ、と思っていると、1万円、今回特別にもう1個つけて2個で1万円とくる。だから妥当なのである。ところが家族などには、すごく安く見えてしまうらしい。このくらい、これらは相場がわからない。

 質屋前で、「この時計すごいだろう?これ、5個2万円でうってやるよ。そこの質屋に持っていけば、この立派さなら、1個1万円くらいでひきとってくれるだろう。もうかるぜ」と持ちかける。質屋にもっていくと、とんでもない安物で、1個100円といわれる。

 ニューヨークを歩いていると、黒人がアタッシュケースを持って路上で、時計をうっている。これなども、立派な時計に見えるが、一般の人はこれらの相場がわからないという点をうまく利用している。

3.土地・不動産

 これらも、適正価格がわかりにくい。最近はさすがになくなったが、北海道の原野商法が有名。1坪3万円でやすいと思って買って、現地にいくと「このあたりは1坪300円だよ」などと言われる。
 土地がやすいと思ったら、「坂道だった」「がけだった」「満潮で海になる」「出られなかった(取り囲まれて)」「上下水道なし」などというのは昔からある。不動産が「掘り出し物」かどうかは、大変な勉強と、経験が必要。

4.会員権

 物でなく、「サービスを受ける権利」を買うもの。全然検討もつかない。この会員になると、XXXを優先に受けられます、といわれたが、実は、一般の人でもちょっとお金はらうと同じ権利をうけられた、とかである。権利といっても、スゴイ権利で価値あるものなのか、たいしたことないものなのかは、実際に権利行使をしてみないとわからないものなのだ。

 これらの商品を高い金額を払って買うときには、なんとか情報を探すか、相場のわかる友人を探して、判断をしてもらうべきだ。法外な値段をふっかけられ、その値段が妥当と信用し買ってしまうことのないようにしましょう。

 「私には、これらの商品の品質、価値、相場の価格がわからないのだ」と自分を知って、行動しよう。

 その友人すらいないのであれば、もうしょうがない。信用のおける有名な老舗の店で、高くても買うより仕方あるまい。多少安くても、相場が判断できないのだから、知らない店では買わないことにつきる。

13.フランチャイズ

 先に述べておくが、この項は悪徳商法ではない。フランチャイズビジネスでトラブルがおきる可能性のある点について、書いている。

 フランチャイズ方式のビジネスは、総本部(フランチャイザー)が、ノウハウ、ブランド名、商品企画などを提供し、その通りに別の個人・企業がビジネスを展開(フランチャイジー)する。そして、その契約・ノウハウ料などを総本部に納入する。コンビニエンスストアなどが有名だし、私も教育関係のフランチャイザーに勤務していた。きちんとしたビジネス形態である。

 フランチャイズは、実際に経営しているのは、別の個人・会社なのである。経営である以上は、利益も得られるが、経営リスクも当然存在する。その経営が苦しくなれば、最後に困るのは、その経営者である個人・企業である。総本部はしっかりとノウハウ料などをコンスタントに取ることができる。

 だから、この型のビジネスをやってみよう(フランチャイジーとして)というのであれば、経営のリスクを自分で判断しなければならない。もし経営がうまくいかなければ自分で責任を取らねばならない。ビジネスなのであるから、それは当然である。

 ところが、このリスク判断が十分にできないで、破綻している事例が多いのだ。これは、フランチャイジーの自己責任であることはもちろんだが、フランチャイザーのリスク説明が不十分であったと主張されているトラブルも報告されている。悪徳商法ではないのだが、リスク説明不十分で、ビジネスに脚を踏み込ませてしまう場合があれば問題があると考えて、この項を書く。

 コンビニエンスストアなどは米屋さんからの転換や、個人の脱サラなどが多いと聞く。フランチャイザーが、プランニングを持って訪問してくる。そして、このあたりの地域の商圏調査結果などを示す。そしてここにコンビニを作ったときの、通過人数、来客数、客単価、売上額の予想を示す。そして、コンビニ開店をすすめるわけだ。ここまでなんの問題もない。すすめられた個人・会社が参入するかの判断をする。

 その提示された予想客数、売上予想額が問題なのである。立派な資料であって、調査技術を使って、算出した売り上げ予想額である。専門家が見積もった値だ、間違いないだろう、違っていても、全然違うということはないだろう。結構、この売上なら、儲かるじゃん。少なくても、今よりはいいや。もちろん、ほとんどのそれらの予想はあっていると思われる。

 しかし、それは、あくまで予想である、確定していない。人間が作ったものである。ミスもある。誤差もある。数10%どころか、全然違う値になる「こと」もある。ここで以下のような場合に問題となる。

 ・算出された予想値が甘い、楽観的すぎる場合
 ・調査手法、技術、スキルが稚拙である場合
 ・予想であるから、それは絶対ではない、最終的には自分で判断することとの説明が甘い(またはない)場合

 この3つの場合には、フランチャイジー候補が、その予想を頭から信じてしまったり、甘い認識をもってしまったりする可能性がある。すると、ビジネスに参入する際の慎重さ、思慮、リスクの認識が不十分になってしまう。そして、運悪く、そんなに客がこないで売上がないと、悲劇が発生する。提示された予想額の半分しか売上がなかったなどという場合もあるようだ。

 コンビニエンスストアでは、フランチャイジーを拘束する契約事項が多い。そしてそれは違反金まで規定されている。休日、営業時間、取り扱い品目...経営努力をしようにも、そんなに自由度はない。来客数(というより店前の通過数)が少ないと、経営努力で取り返すことが難しい。もちろん、専門家が適切なアドバイスを受ければ、売上は向上するが、限度がある。だから、客がこないところに、コンビニエンスストアをたててしまった場合は大変だ。経営リスクはもろに、個人・会社にかかってくる。先に述べたような3つの場合には、訴訟になっている場合もあるようだ。

 フランチャイジー参加の際には、「予想はあくまでも予想。予想がものすごくはずれる可能性もあるのだ」「それを認識して、リスクを十分理解して、私はそれでもビジネスに参入するぞ」という、ビジネス的に、経営者としての、重要な判断を、「自分で」行なわなければならないのである。コンビニは開店資金も大きいし、赤字だからと簡単に辞められるものではないのだ。慎重にいきましょう。

 この点については、他のフランチャイズ方式のビジネスでもほぼ同様のことがいえるのだ。独立してみたい、儲かりそうな話だ、とまず思うのでなく、経営者になるのだから、いろんな判断をして総合的に考えるべきだ。相手は、儲けさせてあげる相手をさがしてきたのではなく、ビジネスパートナーをさがしにきたのだから。