2000/9/2 ゆとり教育

 一時、ゆとりのある教育、という言葉が叫ばれていた。つめこみ教育ではなく、もっと子供にゆとりを与えてあげよう、こころを育てよう、創造力のある授業を取り入れよう、ということであった。いいことだなあと思った。

 今思うと、一体あれは何だったのでしょう。

 ゆとりの教育、つめこみをやめようと、とか言ったおかげで、理科系授業が大幅に減らされてしまい、大学生が分数の割り算ができない。早稲田大学の文科系学生に単純な割り算をやらせても、ほとんどの学生ができなかったのである。いくら文科系といっても、「ゆとり教育前」はここまでひどくはなかった。まさに、勉強をへらされたのである。確実に日本人の能力は低下したのである。理科系でも大学の教養課程で高校の数学からやらなければならない。

 じゃ、ゆとりの分、子供は楽に、先生も余裕な授業になっているのだろうか?全く結果は反対である。その分、子供はますます塾漬けになり、学習労働時間?は伸びる一方である。学校と塾のダブルスクール族である。しかも、家に帰ったら、宿題や通信教育のドリルが待っている。いつ、遊ぶのであろうか。これじゃ、塾への道すがら、ゲームボーイで遊ぶくらいしかないではないか!かわいそうに。何が心のゆたかさだ!

 せめて、心はゆたかになったのか?いつまでもなくNOである。自由にのびのびの結果が、すぐに切れる子供達である。救出されて悪態をつく子供どもである。注意されるとナタで1家みなごろしにする子供である。のびのび、というのなら、心を育てるような授業・カリキュラムを、真剣に科学的に体系的に作れて完成してからでなければならないではないか。少なくとも子供達は自由・のびのびなど感じていない。そういった授業がまだ、うまく機能していない、またはできていないのである。

 一体、ゆとり教育とはナンだったのでしょうか?

 成果は:

   ・学力だけは確実に低下した。(狙いどおり?)
   ・子供の総学習時間は増加する一方である。
   ・心は確実にあれている。人の心の痛みはわからない。子供達のイライラは高まる一方。
   ・塾はますます儲かった。受験問題まで手がけ始めている。
   ・先生は、子供の心が荒れた結果、大変で、充実した授業を工夫する余裕などない。なんでも先生のせいにされている。
   ・創造性が本当に育っているのかは不明。

 ですから、失敗だったと思います。かわいそうに、塾漬けの彼らの最後の友達との遊びツール、TVゲームまで取り上げようとしている。「子供達の凶暴化はTVゲームにある」そうである。まったくどこまで、アホなのか?ポケモンをケーブルで繋げて友達同士楽しそうに、遊んでいる子供達を良くみてみろ。楽しそうに友達みんなでわいわい遊んでいる。笑ったり、喧嘩したり、しきったり...これまで取り上げるつもりなのか?子供達をもっと、1人で孤立させたいのだろうか。もっと、子供を自由にさせろ。

 ゆとり教育は結果うまくいかなかったのだから、ぜひ、今の塾の現状などを踏まえて現実的な、創造性・心を育てる授業を開発し、新しいカリキュラムを再構築してほしいものだ。現場を知らない官僚ではなく、現場の先生方の発案・主導で、新カリキュラムは作ってほしいと思います。

 進学塾で子供達にどうやってハッパをかけているシーンをTVで見ました。「お前たちは、落ちこぼれ、人生の敗者になりたいのか!」これを洗脳のように子供にくり返し言っている。勉強の出来ない人間はくずだ、友達は全て競争相手で敵だ、敗者になったら生きてる価値なし死のう、という回路が子供の頭に完成する。背筋が寒くなった。