2000/7/30 格闘技

 以前は格闘技といえば、相撲、柔道、プロレス、ボクシング、空手といったところであった。しかも、それらの選手はあくまでその分野のプロフェッショナルだった。他の領域に入っていこうなどとは思わなかった。

 ところが、最近はその垣根が取りはらわれ、選手が相互乗り入れし、しかも、世界中のいろんな格闘技がはいってきた。タイ:ムエタイ 中国:カンフー 韓国:テッコンドウ、チャクリキ 日本:柔術 ....いやはや、世界にはいろんな格闘技があるものである。その他にもベンチャックシュラット、サンボ、カポエラなどがある。

 プロレスの猪木がボクシングのアリや、柔道のルスカに挑戦したのがなつかしい。大山空手からも、プロレス、ムエタイなどに挑戦していった。他流試合など今はあたりまえとなった。

 いろんな格闘技があるのであれば、どれが一番強いのかを知りたくなるのが当たり前の感情だろう。また、我こそが最強とも言いたくなるのだろう。

 今では、最強を決めるために自由にいろんな格闘技から大会に選手がはいってきている。立ち技に限定したK−1と、なんでもありのパンクラチオン・アルティメットの2つが主流である。

 以前、あるTV番組で、パンチやキック力の強さをいろいろ測定していた。キックボクサーがパンチをうつと、300KG、キックで700KGであった。空手家のローキックなどで1トンというのもいた。テッコンドウの後ろ回しなども700KGくらであった。

 驚いたのが、相撲である。武蔵丸がでていたが、彼が余裕の表情で、掌でバシーンとひっぱだいた。いわゆる張り手である。これがなんと2トンである!一体ぶちかましなどは、どのくらいの破壊力になるのであろうか。恐るべき破壊力である。相撲もばかにできない。相撲こそ、最強という学者もいる。

 さて、ここで2つの格闘技を取り上げる。

 まず、柔道の元となった柔術である。柔術は、投げるだけではない。当身(急所を殴る、蹴る)、逆関節技・締め、受身を取らせない投げ、押さえ技など、本来なんでもありである。嘉納治五郎が、それから柔道を作ったが、あの姿三四郎のモデル西郷などは、実は大東流合気柔術の達人であり、山嵐はその技である。合気道も大東流合気柔術をもとに、植芝氏が創始した。

 なんでもありに近い柔術は、ブラジルに渡って、グレイシー一族に代表されるブラジリアン柔術となっていった。グレイシーのパンクラチオンでの大活躍は知っての通りである。彼らのおかげで柔術は世界的に非常に有名になったのである。本家の日本では残念であるが、柔術を学ぶ人は少ないようだ。この柔術は気を使用する。合気道も気を重視するわけだ。

 カンフーは中国での格闘技であり、実に多くの流派にわかれている。主に北方の気を使用する拳法と、南方の力強い拳法にわかれる。この北方の気を使用する拳法が、大流行した。松田隆智氏が台湾で学び日本に持ち帰り、漫画「男組」「男大空」などで紹介された。また、このイメージで「北斗の拳」がかかれている。太極拳、八極拳(バーチャファイター、シェンムー、ラストエンペラー愛新覚羅溥儀)、蟷螂拳(武田鉄也が得意)、八卦掌、形意拳、翻子拳、長拳などの多くの流派がある。嵩山少林寺などもこの北派である。(日本の少林寺拳法とは無関係)

 北方の拳法は、力だけでなく、気功法を重視し、特殊な呼吸法と意識によって気を爆発させる打法を使用する。(発ケイという)この錬功法、方法が秘伝となっており、神秘的な面が多く、これが逆に大流行のきっかけとなった。修行が完成すると、触っただけで相手は死ぬ、とか経絡のツボを突くことによって、気絶したり死んだりする。更に達人になると、触れなくても気が空間を飛び、相手を殺すなどというオカルトじみたものになってくる。

 これがまた、神秘的でこういうのに、みんな弱く、中国拳法が大流行したのである。だが、何年も修行して、酔っ払いに勝てなかったなどという、なさけない自体がおきてしまい、ややその強さが疑問視されているようだ。

 特に「気」というものに、関心が集まった。過大評価され、気をマスターすると日本でも「さわらなくても、有段者が10人くらい、数メートルふっとぶ」などがおきている。(西野氏の一門のこと)気は中国での生命哲学と強く結びついており、医学、武術に展開されているわけだ。気を使った医学が、はり、きゅう、指圧、気功である。

 気を神秘的にすると、例のふれなくても気で相手を倒す、とか、大周天を完成させて仙人になって、この世から消えうせるとか、自分の分身を作るとか、ひええーの世界になる。カルト宗教も、気の健康法などから、入り、体に良さを体験させながら、オカルトの世界にひっぱっていったようだ。変に気のオカルト面に踏み込まないほうがいい。まさにこっくりさんにハマッタ人みたいになってしまうからである。

 気を使用する北派の中国拳法の使い手が、アルティメットで優勝したという話はまだ聞いたことが無い。ぜひ本当に強い達人が大会などに現れて、その実力をみせてほしいものだ。なんでも、気の拳法は秘伝で人には見せない、しかも、グローブをつけると気はふさがれる、本気でやると相手が即死する?などいろんな理由で現在でも表舞台に現れていないようだ。 

 どの格闘技が最強なのか...みんなそれぞれ主張している。楽しいテーマである。大山空手か、グレイシー柔術か、プロレスか、相撲か、カンフーか、K−1選手か??????。ふうう。

 最後に。桜庭がんばれ。ホイラ−、ホイスにつづいて、ヘンゾ・グレイシーも倒しちゃえ。