痔入院記

 平静12年7月16日から7月25日まで、横浜の松島病院に痔ろうの根治手術をうけるために入院いたしました。ここにその入院記録を書きます。

事前知識「痔ろうとは、どういう病気であるか」

 痔ろうとは、肛門の病気です。肛門と直腸のつなぎめには、小さな窪みが10数個あります。この窪みに細菌が侵入し、中に侵入し増殖します。通常は大丈夫なのですが、下痢気味で体力が弱っていると細菌を跳ね除けられません。細菌は、肛門の肉の中をトンネルを掘りながら奥深く侵入し、やがて膿だまりを作り、腫れ上がります。熱も出ます。大変痛いです。

 この膿が溜まってはれている状態で、肛門科にいきますと、すぐに(その日のうちに)排膿手術を受けます。お尻の穴の中に局所麻酔(大きい手術になると脊髄麻酔)の注射をうち、肛門のはれた箇所に穴をあけます。そして膿を出します。いうまでもなく痛いです。しばらくは、空けた穴にガーゼを入れて膿を出します。膿が溜まっている状態で医者に行かずにほっておきますと、膿がやがて、お尻にもう一つの穴をあけて、そこから抜けます。マグマだまりから噴火したと思えばよろしい。これが「痔ろう」です。ですから、お尻に「穴が二つあいている」という恐ろしい状態になってしまいます。こうなると膿がでてしまいますから、痛みはなくなります。

 細菌が入る穴はあいてしまっていますから、そこから細菌が再び入るたびに、自然であろうが、手術であろうが、出口に空いた穴から膿が間欠的にでてくることになります。細菌が入る穴、出る穴、そして、それを繋ぐトンネルの3つは、もう閉じることはなくなります。いってみれば、トンネル掘ると、それがふさがらないように周りをコンクリートで固めるのと同じことが体の中で起きてしまいます。このトンネル、管を「ろう管」といいます。

 ではどうやって直すかというと、手術しかありません。根治手術といいます。このトンネルのコンクリート部分、つまり管を取り去ります。すると、また肉の断面がでますから、再生が始まります。取り去った「ろう管」はまるで、モツ煮込みのようだ、という人もいます。でも、この手術をやると、肛門を締め付ける筋肉も傷つけてしまい、もれるようになってしまうこともあります。

 私の受けた手術は「括約筋温存手術」でトンネル全部のコンクリート(つまり管)を取り去りません。入り口と出口の部分だけ、管を除去し、そこを溶ける糸で縫ってふさいでしまいます。

 さて、はじまりはじまり。

1.入院日 − 1日目

 いよいよ入院する。兄夫婦が親切についてきてくれる。

 松島病院は3年前に増改築したばかりで、実にきれいな病院である。しかも、我が家から歩いて10分。ほんとにラッキーである。痔の専門病院として全国的に有名で、多くの人がこの病院で痔を治している。全国から患者がきており、他の病院で何度も再発した患者などもこの病院でみな直っている。自宅からタクシーで何度もこの病院にきたけど、行き先をいうと運転手さんが「私もあそこで直しましたよ。名医だねえあそこは」とみんな言う。毎日、大変な数のお尻に悩む人間がやってきている。松島病院についての詳細はHPを参照。

 部屋は3Fで4人部屋。一応1日5000円の差額ベッドである。一般も5人部屋なのでそんなに差はない。差額ベッドの方が、部屋が空いており早く入院できるということだったので、そこにした。他にも2人部屋10000円、1人部屋25000円、特別室32000円(記憶による)があるが、あまり人数が少ないと気がまぎれずに、痛みに頭がいってしまうことを心配した。同室の人と話すうちに、痛みを忘れ、気が楽になるだろう。それに1人では不安になる。いろいろ教えてほしいからだ。

 部屋には、個々にトイレがついている。かなり広く、もちろんウォシュレットで、後述するが、お尻をお湯につけることのできる座浴設備もついている。既に2人の方が入院していた。みなさん、渋い感じの優しそうな壮年の方で安心。

 初日はやることが少ない。まず、ナースステーションでアレルギー検査(皮下注射)、各種質問。

 夕方には先生の診察。「明日は肛門の筋肉をきずつけないように手術します。また、痔核(いぼ痔)もありますが、これは薬で治しましょう」痔核があるのは初耳。暗い気分になる。

 夕食を食べたら、もう固形物をとることはダメ。

 参考:痔核

  いぼ痔のことである。肛門には、多くの血管が集まっている。この血管の血の流れがなんらかの原因で滞ると、粘膜を膨らませながら、大きく飛び出てくるようになる。ひどい場合には、お尻の穴から、それが飛び出てくる。排便後にとびでて、それを指で戻している人も多い。重いものは、手術で切り取る。同じ姿勢をずーっと保ちつづける、便秘で長く強くトイレでいきむ、暴飲などがその原因となるらしい。

2.大腸内視鏡検査 − 2日目

 私は、手術前に大腸内視鏡検査を受けることになっている。朝下剤を飲む。なんと1リットルである。なかなか飲めない。「便意がでますから、3回目のお通じをみせてください」きちんと3回お通じがある。不思議だ。看護婦さんに見てもらう。もう完全に透明。

 朝、心電図、採血、レントゲンと検査が続く。

 その後、車で系列の松島クリニックへ。実に多くの方が内視鏡検査を待っている。医師から問診を受けた後、浣腸。多くの人が流れ作業で浣腸されている。2分我慢しろ、と言われるけど、無理。トイレで出すと、看護婦さんがまた見る。「伊藤様、OKでーす!」大きな声で通知する。内視鏡では相当腸内を綺麗にする必要があるようだ。もう何もでません。

 で、ベッドに横になり順番を待つ。やがて、私の番。ベッドのまま運ばれる。その部屋はいろんな最新機械がおいてある。ディスプレイがあり、カメラの映像が映っている。そろそろ不安になってくる。「いたいのかなあ。お尻に管入れるんだから、痛いワナア。」と思っていると、頭の横にガチャンとパッドがおかれる。それには、ぶっとい注射器。針も太い。私は頭の中で悲鳴をあげた。「ひええ。あの注射をお尻にされるの?失神しちゃうよー!」

 目の前のディスプレイには、洗浄中のカメラの映像が映っている。

 終わると、医師が「さあ、はじめます」。左手の甲の血管に針が通される。その針に点滴のように更に、例のぶっとい注射がささる。なあんだ。こういう使い方をするのか。鎮静剤の注射らしい。手の甲、前腕、2の腕、肩と液がはいっていくのがわかる。で頭にやってきた。と...

 ふと気が付くと私はカーテンの中に寝ていた。横にも誰かが寝ている。あれ?どうやら、鎮静剤で眠ってしまったようだ。看護婦が覗く。「あのーもうおわったんですか?」「ええ、終わりましたよ」よかった。

 10分ほどして、医師に呼ばれる。写真を見ながら説明を受ける。きれいなピンクのカリフラワーみたいのが写っている。「大腸ポリープが1個見つかりました。癌になる可能性もあるので秋頃、摘出しましょう。いたかったですか?」「失神していたのでわかりませんでした」私の声はかなり部屋に響いた。「失神じゃないでしょう?寝ていたんでしょう?」先生はちょっと怒っていった。同じ部屋に順番を待っている人が多くいて、不安を与えてしまうからだろう。すいません。

 ちなみに、内視鏡は昔は光ファイバーを使用していた。これでは、鮮明な映像を得ることが難しい。今では、先端に超小型CCDカメラがついており、電気的に映像信号が送られる。このため、映像は鮮明で、かつコードも細くなる。

 また車で帰る。帰ってから、軽く食事をとる。

 ここで看護婦さんにお尻の毛を剃ってもらう。ここ松島病院の看護婦さんは、みな若くて美人(理事長の意向?)。すごく恥ずかしい。じょりじょりと音をたてて剃られていく。

 同室の方に手術のことをいろいろ聞く。

 Aさん:20年前にも痔になったがそのときには、いぼ痔を鯨のひげで、結んで切り取ったそうだ。大の大人が本当に泣き出していたとのこと。「それに比べれば、今回、痛みなんて無いも同然だよ」

 Bさん:手術は痛かったかを聞く。「うーん。手術は無痛だし、手術後もそんなに痛くは無いよ。ただし、脊髄麻酔と硬膜下麻酔のチューブ入れが痛い」えーそうなんだ。あと手術後、おしっこが出ないのがつらいぞとのこと。「例の吸引やるんですか?」「ここでは、看護婦さんに頼むと肩を貸してくれる。体をたたせると不思議にでるよ」吸引がないとのことでホッとする。

 夜、同日に手術を受ける全員が集合して、看護婦さんに手術に関しての諸注意を受ける。なんか、同じ仲間意識が芽生える。10数人があっという間に親しくなる。同じ悩み、不安、痛み(これから)を共有しているのだから当然だが。また下剤を飲まされる。順番も発表。私は、副理事長の松島先生の執刀で、午前の7番目。なんと、1人の先生が午前中だけで8人の手術を行なうのだ!

 あとで知ったが、ここの先生方の手術経験はハンパじゃないよ。たとえば鈴木先生は16年ここで働かれていて、手術した患者はなんと13000人である!やはり、専門病院にいったほうが安心だ。手術のプロが集まっている。

3.手術 − 3日目

 朝早く、また浣腸を受ける。すっかり浣腸なれする。立ったままお尻を突き出して、やはり綺麗な看護婦さんに浣腸される。快感になりつつる。

 部屋で点滴をうけながら、11:30からの順番を待つ。こわいなあ。10時ごろ看護婦さんが来る。「伊藤様、手術室に行きましょう」なんでも、快調に手術が進んでおり、前倒しになっているとのこと。どうなるんだろうか。不安で不安で心臓がどきどきする。

 手術室前室のベッドに寝る。リラックスするように音楽が静かに流れている。しばらく寝てると、看護婦さんが来て「さあ手術です」。いよいよか。その前にトイレにいかせてもらう。

 手術室に入る。消毒薬のにおいがすごい。ああ、メスで切られるのだなあ、と思う。

 まずが脊髄麻酔だ。「局所麻酔です」といって、背中に注射。なんと脊髄麻酔の痛みを押さえるための麻酔だ。痛みに弱い私としてはうれしい。

 背中を丸めた姿勢にされ、看護婦さんに押さえつけられる。「さあ、くるぞ。例の脊髄麻酔だ!」心の中で、やがてやってくる痛みを覚悟する。しかし拍子抜けするくらい痛みはない。強く押されているような感じだけだ。

 また、申し込んでおいた硬膜下神経ブロックのチューブが背中の皮膚の下に入る。これもいたくない。その細いチューブにつなげられたキュウイくらいの大きさのカプセルを胸につけられる。2日間これで脊髄に連続的に痛み止めが注入されるという優れものである。2日間の痛みが軽減されれば、入院もだいぶ楽になるというものだ。

 すぐに、右足が痺れる。動かないし、感覚もない。手術ベッドにうつぶせにされる。これが手術姿勢。しかし左足がなんともなく、まだいつものままだ。先生が「これ感じる?」という。何も感じない。「これは?」いたい。「うーん、まだ左に効いてないなあ」しばらくまってから。また「これ感じる?」いたいよー。なにかさしているでしょう?

 「ありゃりゃ。右半身だけ、麻酔がかかってしまったようだ」もう一度、今度は体の向きを逆にして脊髄麻酔を受ける。今度は両足とも無感覚(しびれ)になる。

 ここで松島先生の声。「伊藤さん。あなたには痔ろうだけでなく、痔核もあります。とっちゃいますよ一緒に」うれしい。どうせ痛いのだ。一度に済ませてほしい。「御願いします!」痔ろうが直っても、いぼ痔におびえてくらすのはいやだ。一度にやっていただけるのから大賛成!

 なにやら、かちゃかちゃと金属がぶつかる音がする。「あのー、手術は?」「もう切ってますよ」無痛どころか、わからない。10分くらいで終了。非常に速い!

 看護婦さん、数人でベッドに「よいしょ」と移され、病室に運ばれる。またここで病室のベッドに。4時間くらいは麻酔のせいで気持ちがいい。夢見ごこちになる。

 4時間後、覚悟していた痛みがやってくる。痛いけど、我慢できないものではない。尻の中を思いっきりつねられている、といったイメージ。姉が付き添ってくれていた。看護婦さんがお尻を湯たんぽみたいので暖めてくれた。残念だけど、あまり、効果はなかった。あらかじめ、痔の手術後の痛みをインターネットなどで仕入れていたが、その猛烈な痛みの表現に比べれば、全然たいしたことなし。安心する。これなら、痛いけど、全然大丈夫。ああ、よかった、この程度の痛みで済んで。ほんとに安心。

 インターネットでは、「3日間、想像を絶する痛みに脂汗を垂らしながら、ベッドの端を握り締め耐えた」とかいう痛みが一般的だったが。また「尻の穴に、真っ赤に焼けた炭を押し込められたようだ」

 夜、看護婦さんが来る。「痛いですか?」「痛いです」早速、血圧測定後、痛み止め注射をしてくれる。全くの無痛になる。しかし、4時間でその効果はきえた。今度は飲み薬の痛み止め。夜はちゃんと眠れた。楽勝楽勝!

4.手術後1日目 − 4日目

 朝起きるといきなり、トイレにいきたくなる。看護婦さんを呼ぶ。看護婦さんは、肛門にギューギューに詰め込まれていたガーゼを抜いてくれる。痛くない。でも、そのガーゼは血みどろ!圧迫感がなくなり、かえってすっきり。

 さあ、次は排便だ。これも痛いと聞いている。また出血するそうだ。顔をあらかじめしかめておき、次第にお尻の力を抜く。

 かなりゆるい便が出る。尿も出る。平気。痛くない!しみるかなと思っていたウォシュレットも無痛。で、便座にトレイをおいてお湯を入れて、座浴。きもちええー!わずかな排便の痛みが、このお湯の座浴できれいに消えた。ティッシュで水を取るがこれにも少し血がつくだけ。なあーんだ。

 かなり快適な気分で1日を退屈にすごす。

 先生は1日目は病室まできてきれる。さっと肛門を見て「順調です」

 ちなみに、ここで尿が出たのは相当ラッキー。通常は手術日に尿を出したくなるらしい。尿瓶で用を足すのだが、麻酔と痛みで出ない、しかし、尿はたまっていく、で、膀胱が張り出し痛みで我慢できなくなるそうだ。こうなると、泌尿器の先からチューブを看護婦さんが挿入し、吸引するという措置が入る。これは大変な痛みのようである。

 Bさん、今日退院。AさんもBさんも、退院を3日前に聞いた段階では、まだ痛そうで、具合も悪そうだが、1日前になると、「調子がいい」といい、退院日には絶好調の様子で退院していく。不思議である。どうも、「だんだん、痛みが取れて調子よくなる」のではなく「ある日、すっと良くなる」というもののようだ。

5.手術後2日目 − 5日目

 手術後、2日目から自分で歩いて診察をうけにいく。硬膜下ブロックを背中からとる。お尻をみてもあらう「順調です」

 硬膜下ブロックをとった後、結構お尻がいたくなる。いかにこのブロックが効いていたかである。これがなかったら、相当痛かっただろうと思う。オプション(実費8900円だったか?)は絶対に申し込んだほうがいいです。

 シャワーを浴びる。気持ちいい。水は全然しみません。

 夜、痛みがあり、寝られない。痛くて耐えられなくて寝られないのでなく、つんつん痛いので精神的にに寝られないということだ。5時間単位くらいで目がさめる。「うー痛てえ」といったレベル。かまわず、痛みどめの薬を飲む。

 新しいCさん、Dさんが入院。

 Cさんはすごい。厄年だそうで、1年で椎間板ヘルニア、ヘルペス、痔ろうとわずらったそうである。中で一番痛かったのが、ヘルニアだったそうだ。痔ろうの排能手術でコップ1杯膿がでたそうだ。私は1CCあったかどうか。

 Dさんはおとなしい方である。

6.手術後3日目 − 6日目

 先生から診察の時、痛み止めの座薬をいれてもらう。これは効く。長く、かつ効果的に痛みを押さえるのだ。

 初めてお風呂に入る。気泡付きのいわゆるバイボラ湯である。ぼこぼこいっている。個室タイプで10分しか入れない。「お尻がいたいのに平気なのかなあ」という不安。入ってビックリ!凄く気持ちがよく、お尻の痛みがうそのように消えてしまった。お尻がきれいになり、血行もよくなるのだ。直りもはやくなると資料にあった。

7.手術後4日目 − 7日目

 あまり状況が改善されないように感じる。うーん。これで直るのかなあ。先生から、「はい、退院はあさってだよ」と言われる。ほんとう?まだ痛いのに。

 Cさん、Dさんも手術を受けたが、あまり痛くないようである。「我慢してんだよ」とおっしゃっていたが、昔の痔手術のような激痛というにはほど遠いようだ。

8.手術後5日目 − 8日目

 昨夜は、はじめてぐっすり眠れる。うそのように痛みが弱くなる。

 まさに、Aさん、Bさんと同じ。先生が退院といってから、突然、痛みがなくなり、調子がよくなるのだ。

 Dさん、手術後、熱が出て下痢があって苦しまれていた。でも、例のバイボラ湯に入ると、うそのように、気分爽快な表情をされてかえってきた。あのお風呂は魔法のようだ。痛み止め1本分の効果がある。

 Eさん入院。Eさんは30年前の手術で、両足を竹の棒に縛り付けられ、満足にかかっていない麻酔の中手術されたそうだ。また、4年前にも手術したが「手術はするけど再発するよ」といわれたそうだ。でも、松島病院で診察をうけると「手術をすれば直ります」といわれたそうだ。

9.退院!手術後6日目 − 9日目

 無事退院!いやあ、よかった。

10.総括

 痔の専門病院の松島病院に入院できて本当にラッキーだった。やはり専門病院にいったほうがいい。

 肛門は痛いし、かつデリケートである。ヘタすれば手術後、肛門が変形したり、便が漏れたりするわけだ。ヘタな治療を受ければ大変なことになってしまう。顔の手術に近いデリケートさを持つものかも知れない。なんとか、手術後も、排便機能を損なうことないようにしなけらならないのだから、経験、専門性が必要となるわけだ。

 しかし考えてみれば、肛門ほど、やっかいや病気の部署はあるまい。メスをいれて縫ったあと、すぐに細菌だらけの便が通過してくる。これを防ぐことはできない。しかも、いきまなければならない。神経が敏感である。手術したそばから、便がその傷を押し広げ、細菌を押し込む。日本人には便秘が多く、切った箇所に思いっきり力をいれてしまうわけだ。

 よっぽど、肛門、痔を知り抜いている病院でないと安心できない。

 また痛みを押さえることについても、松島病院はいろんな手段を駆使されている。座浴、入浴、ウォシュレット、痛み止め注射、硬膜下神経ブロック...これらを駆使され、患者の痛みを非常に弱くされている。インターネット集めた、どんな体験談よりも、私の痛みはよわかったことは間違いない。痔ろうと、イボ痔の複合した手術をうけてもだ。

 手術前に思われている不安、特に痛みへの不安は不要である。

 これを読んでいる諸君。お尻に悩みがあったら、すぐに病院に行こう!松島病院を私は絶対の自信をもって推薦いたします!はやく痔持ちの人はすっきりしよう!

番外:大腸ポリープ切除

 痔の手術から約二ヶ月。いよいよ、前回の大腸内視鏡検査でわかった大腸内のポリープを切除することになった。

 前日の夕食をはやめにすませ、緩下剤を飲む。(下剤の弱い奴である)夜の12時まで寝ないでいた。また手術前に打つ鎮静剤で熟睡してしまうようにである。

 食事も水も飲んではいけない。朝9時に病院(松島クリニックへ)にいく。血圧測定をしてから、病院着に着替える。お尻に穴のあいた着物である。時計などの金属製品も全て取り外す。

 一緒に着替えた人に聞く。ここ10年で4回もこの手術をうけたとのこと。どうも、ポリープが出来やすい人がいるのだなあ。手術はいたくないが、なんといっても、1週間は酒が絶対禁止なので、それがこたえると嘆いていた。

 その後その日に手術を受けるメンバ(8名)が集合して看護婦さんから、その日の予定を聞く。

 いよいよ、例の1.5リットルの腸洗浄剤を飲み干す儀式に入る。これを30分以内である。私は、えらい勢いでのみだす。それに影響されたのか、他のメンバもつられて、ハイペースでのむ。15分でみんな飲み干す。女性は大変で、ひいひい言ってのんでいた。そこらじゅう、歩いたり、体を動かして、はやく、トイレにいくようにする。私はすぐに便意がきて、12時までになんと、トイレにいくこと6回。最後には完全に水になる。少しでも、固形物がはいっていてはいけない。8名中、7名は問題なく洗浄できたが、1名(おばさん)は、便秘きみらしく、出ない。かわいそうである。さらに洗浄をするらしく、別室にいってしまった。

 次に浣腸。ちゃんと浣腸液も温められており、細かな気配りである。これまた、すぐに便意。排泄されたものを看護婦さんチェック。完全に透明であることを確認して、「伊藤様、OKでーす!」

 いよいよ、内視鏡室へ。ベッドに横になり、点滴を受ける。これは手術中、手術後も続く。でも、最近、腕に血管がうきでないので、看護婦さんも刺すのに苦労する。しばらく、そのまま寝た状態で、順番を待つ。やがて、順番がくる。

 機械の前に、ベッドのまま運ばれる。そして、例の鎮静剤注射。うとうときたけど、今度は意識がある!いやだな、と思ったけど、肛門からの内視鏡挿入もさほど、気にならず、痛みも感じない。まあ、ぐりぐりされてるな程度。さすがに検査のときよりも時間がかかったようだが、終了。「伊藤さん、ほら、これが切除したポリープですよ」と紙に載せたものを見せてくれる。肌色の5ミリほどの肉塊である。

 うとうとのまま、しばらく寝かされる。そして起こされ、執刀医の説明をうける。「もう一度、大腸検査しましたが、やはり1個だけですよ。もう大丈夫です。」

 切除したポリープは検査にまわされ、2週間後に結果を直接、説明をうけることになる。本人でないと、代理の人が、医師のいったことをうまく本人につたえられないそうである。細胞に悪性なものがあるかのチェックである。

 会計。予定より7000円ほど多い。「保険がきかないクリップで、傷口をおさえましたので」とのこと。心配になるが、「大丈夫です。時間がたつと自然にはずれます」さあ、これであとは2週間後だ。2週間はできるだけ体を安静に保たなければならないそうだ。

番外2 ポリープ検査結果

 さて、2週間後の検査結果の日である。松島クリニックにいく。結果は、良性のものでした。ついでに、例のクリップってなんですか?と聞く。素材はジュラルミンで、傷が大きくなったので、止めた、とのこと。これは、2ヶ月程度で取れるだろう、まったく心配しらない、と教えてもらった。でもジュラルミンでしょう?トイレにいくと、カチンとかいって落ちるのかなあ。

 ポリープが多発することがあるので、1年後にもう一度、内視鏡で見ましょう、とのことでした。次は1年後ですね。はがきが送られてくるそうです。

番外3 これから痔の手術を受ける人へ(注意:あくまで患者としての私の個人的感想です。お医者さんの言うことを最優先にききましょう)

 ・手術後、トイレにいくときには、脚を左右に広げて座る。そうすると、肛門が開くようで、排泄時の痛みが軽くてすんだ。脚を閉じると、便が押し広げ様とするのでいたかった。

 ・手術後、痛みがなかなかきえていかずに焦ったりするが、日数がある程度経過しないと、痛みはきえなかった。逆に時間が解決するようだ。退院後も同様。

 ・手術直前にトイレにいかせてもらった。できるかぎり、尿を出して手術を受けたほうがいいと思った。

 ・痔の手術は、ずるずる延ばさず早く受けたほうがいいと思う。とっとと直してもらったほうが得だと思う。直った人はみんな同じことをいうはず。 

 ・手術後の診察では、いたかったらいたいと言った。お医者さんの入れてくれる痛み止めの座薬ほんとによく効いた。

 ・術後の脊髄麻酔が切れてきて、痛みが増してきたら、痛いよーと素直に、遠慮なく看護婦さんよんだ。

 ・最初の尿はなかなかでないようです。頑張りましょう。看護婦さんに手伝ってもらって、立ってみたり、水の流れる音に集中したりする人がいました。でも、はってきたら、あきらめてXXXXXXXXX。我慢しすぎると大変なようです。

番外4 友人

 2年ぶりに友人から電話があった。今なにやってんだ、とか何とか話して、今度飲みにいきましょうやとなった。いろいろ話をして最後に、「ホームページ作ったから見てね」とアドレスを教えた。

 と、2週間ほどして、また電話があり、「実は...痔になってしまいました」びっくり。「伊藤さんのHP見て、痔のところを読みました。何日かして、お尻が少し痛くなり、丁度、痔のことを読んだばかりだったので、痔かなあ、まさかなあと思い、伊藤さんの勧めている松島病院にいったところ...痔ろうだといわれました。」ふええ。こんなことってあるんだ。2人で、「インターネットのページを介して痔ろう菌?が感染したのか?」とか、話しました。(んな、あほな)

 で、痔ろうなので、入院、手術となる。彼も、2週間の休みをとって、差額5000円の部屋を予約する。入院前日、彼から電話がかかってきた。「いやあ。不安です」確かに手術前は不安なものだ。で、大丈夫痛くないといっても、あまり解決にならずやっぱり不安なのだ。かれこれ、30分くらい、痛くなく心配ないことを説明。わかるよ、その不安。

 なんでも、痔ろうの進行度も幸いに小さかったようで、はれもなかったようだ。はれがなかったので、例の「膿だし」の穴あけも、抗生物質を飲んでのハレがおさまるのを待つ期間も不要だったようだ。いきなり手術になったとのこと。彼も、硬膜下麻酔を申しこんでいた。

 手術直後に見舞いにいく。術後、5時間程度経過していたが、やはり痛くないようだ。(そのうちに、少し痛みはでてきたようだが、軽いものだったようだ)これからのことなどを話す。ほとんど、私の経過と同じ経過をたどっている。術後も順調である。3日目では、もう出血がないとのこと。いいなあ。私よりもはるかに回復がはやいようだ。

 やはり、早めに医者にいって診てもらったのがよかったのではないか。痔も進行して、痛みに我慢できなくなってから行くよりも、おかしいなあ、と思ったらすぐに専門医にいくのがよいようだ。化膿が進んで悪化するまでおいておくと、例の膿だしの儀式がまっていたり、時間もかかったりする。早く見つかればつらい思いをすることもなくなる。

 痔の記録を読まれたら、人ごとと思わず、少しでもお尻に異常を感じたら、肛門科にいってみてもらうべきだと思う。

番外5 痔で悩まれている女性のみなさんへ

 松島病院での入院中、通院中に思ったのだが、女性の患者さんも多い。そして治療を受けて思うだが、患部の位置が位置だけに痔の治療・診察・相談に関して、やはり女性は男性にはわからない悩みを感じるだろうなあと思った。また相談するのにもいろいろ躊躇することもあるのでしょう。

 この点についても、松島病院、そして先生がたも、理解しておられ、配慮し、なんとか痔の治療過程での女性の方の不安、悩みを解消しようと努力されているようだ。松島病院でも手術姿勢、診察姿勢になるまでのステップなども女性に配慮されています。

 更に、松島病院に勤務されておられる女医Dr.NAO先生が、Iモード用(もちろん、一般のPCでも見れます)にHPを開設しておられます。女性の先生であれば、女性で痔に悩んでいる方も相談しやすいでしょう。女性で人知れず悩んでおられる方はぜひ、訪問されることをお勧めします。このHPにはDr.NAO先生の痔で悩む方への愛情があふれています。以下がそのHPです。

Dr.Naoのマジメな肛門科外来
 横浜の肛門科専門病院である松島病院の女医Dr.Naoがお送りする便秘や痔の話。診断コーナーもあります。
 http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=gekainao

 また、松島グループの、松島ランドマーククリニックでは毎週水曜午前をレディースデイとされており、待合室は女性だけとなるそうです。更に診察は希望により女医か院長を選択できるとのことです。(私も知らぬ間に待合室で女性の患者さんをじろじろ見てしまっていたのだろうなあ。反省) 詳細は、松島病院HPか、Dr.NAO先生のHPを参照してください。