96年12月のようす


 

 ペルーの日本大使館がテロリストに占拠された事件は、パナマでも大ニュースになりました。パナマ人の大使も人質にされていたそうです。赴任して2年目は大きな事件事故も無く、どこも安全だと思いがちだった私たちも、やはり中南米の生活は安心できないという気持ちにさせられました。

 パナマでも12月2日にシーザーパークホテルで『天皇誕生日』の祝賀パーティーがあっ

たのですが、招待状の提示も求められませんでしたし、ボディーチェックも無く、なごやかなパーティーでした。中南米の中ではテロリストがいない分だけパナマはまだまだ治安に関しては良いほうだと言うことでしょうか。

 しかし、この事件のためにパナマの日本大使館の方達も交代で24時間連絡を取れるように大使館に詰めたり、企業でも休暇返上で何らかのお手伝いにペルーへ行ったり、一月初めのパナマ大使公邸での『名刺交換会』が中止になったりしています。早く解決してほしいと、みんなで祈っています。

 

 『ドロンズ』が来る?

 

 日本のテレビ番組『進め!電波少年』に、『ドロンズ』という二人組みが南北アメリカ大陸をわずかなお金でヒッチハイクしながら縦断するという企画が話題になっているそうですが、主人もインターネットでどこまで来たかをつぶさにチェックしています。 その番組に対して、中南米生活10年以上という方に聞いてみると、「いくらやらせでも無理だよな〜。」ということでした。

 先ず、中南米の国々は入国するためのビザが必要で、その費用やら時間やらを考えただけで『ヒッチハイクで二人旅』なんてのは無理。 

 それにコロンビアからパナマに通じる道がありません。ガイドとガードマンなしでジャ

ングルの中をカヌーで磁石を頼りに進むなんてとても無理。しかも、パナマとコロンビアの国境は、テロリストや麻薬マフィアの巣になっいる地域です。マフィアの資金源の半分は身代金目当ての誘拐と殺人によるものです。おまけにデング熱などの熱帯特有の伝染病やマラリヤもあります。

 と言う訳で、テレビ局がどうやってやらせに見えないようにしながらコロンビアからパナマまでの危険地帯を通過させるかが私たちの楽しみになっています。

 南アメリカと北アメリカをつなぐ『アメリカ橋』。ここを渡る日が分かれば『ドロンズ』を見に行きたいな〜と心待ちにしている私たちです。

 

 冬の旅行は

 

 「今年のクリスマスは海の上で過ごすぞー。」とロマンチック?な主人が勝手に決めた今冬の家族旅行は『豪華客船カリブ海クルーズ』でした。

 これまで船酔いに苦しんだ思い出しかない私は断固反対したのですが、主人の巧みな言葉にだまされて参加することにしました。

 

 船の名前は『SENSATION』。マイアミ発着でカリブ海の3つの島を回って来る7日間のコースです。

 12階建の船の中は迷子になるほど広くて、ジョギングコース、ウォータースライダー付きのプール、ジャグジー、ジムにスパ、美容室にバーにディスコにカジノ、劇場にグリルにレストラン、ゲームセンター、キッズ・キャンプに貸衣装に写真スタジオ、救急センター・・・・何でもそろっています。

 私たちは5人一部屋なので有無を言わさず窓のない2段ベッドのある部屋に決められましたが、いろいろな値段があり、一人$5000以上の部屋もあります。

 2600人の乗客に対して、1000人の乗組員がいるので、部屋でもレストランでもいたれり尽くせりで、帰るたび部屋がにきれいになっていて気味が悪いくらいです。

 

 朝からエアロビクスやジムの教室が開かれていたりビューティーサロンの説明会があったり、昼はプールサイドで早食い競争やコンテストが行われ、夜はカジノやビンゴゲームや歌や踊り、マジックショーが行われ、7日間の船旅を飽きさせないようになっています。子供向けには遊びを教えてくれるキッズ・キャンプがあります。

 

 食事はレストランで朝食、昼食は軽いコース、夕食はフルコースになっていて、毎日違うメニューの中から自分の好きなものを選ぶことができます。他の階にはセルフサービスのグリルが24時間オープンしています。食事の料金は全部旅行の代金に含まれているのでいくら食べてもタダ。「たくさん食べたほうが得だぞ〜。」と主人は言うのですが、せっかくのフルコースも子供はスープでお腹一杯。大人と大して変わらない料金を払っているのにもったいないとは思いましたが、私は初めの2日間は船酔いでクラクラ、最後の2日間は風邪でクラクラしてあまり食べられません。主人が子供の分まで食べるとせっかく痩せたのにまた元の体型になってしまいます。まあ、周りのアメリカ人の体型を見ると、「そんなに食べなくていいや。」とあきらめがつきますが・・。

 

 

 

 <3つの島>

 クルーズの途中で3つの島に寄りました。一つ目の島はプエルトリコです。ところが到着が4時間遅れて船から降りたのが夜の9時頃。ほとんどのお店は閉まっている上、出発まで3時間しかないので、港の近くをちょこっと散歩して終わり。

 二つ目の島、セント・トーマスではシュノーケルリングのツアーに入りました。海はとてもきれいで、膝くらいの深さでも魚が群れになって泳いでいました。主人は得意になってあちこち潜っていますが、私はサンゴの陰からウツボやウミヘビが出て来ないかと不安でなかなか潜れません。

 三つ目の島はセント・マーティンです。小さなボートに乗り換えて上陸すると、クリスマスのためお店は全て休み。『休み』の札のかかったショーウィンドーを眺めて空しい思いをしました。「誰だっけ?クリスマスのクルーズが最高だって言ったのは・・・」

と誰かさんの方を見ながら歩いていると、シカゴからいらした日本人のご家族が誘ってくださってタクシーで島1周の観光をすることができました。

 

 7日間、毎日のんびりしておいしいものを食べました。心理と侑理は3年生の男の子と1年生の女の子と仲良くなり、毎日船の中を探検して歩いたり、『ウノ』をして遊んだりして楽しみました。

 

<マイアミ>

 クルーズの後、マイアミで秋山先生と一年ぶりにお会いすることができました。秋山先生は去年の冬休みに心理の耳鼻科の病院をお世話してくださったマイアミ補習校の先生です。今年も忙しい合間にショッピングに連れて行っていただいたり、空港まで送っていただいたりして、またまた大変お世話になりました。

 ところで、秋山先生はスリムで色白、若者のファッションに詳しく、日本で何が流行っているかもしっかりチェック!年上なのに友達のような気安さでお話しさせていただいていますが、時々「一体おいくつなのか?」と思わずにはいられません。秋山先生がいろいろ案内してくださったお陰でちょっとだけマイアミ通になりました。

 

 マイアミではレンタカーを借りてあちこちに行ってみました。そのうちテレビで見たように自分でガソリンを入れて見ようということになりました。

 主人はガソリンのノズルを差し込んでレバーを握りますがガソリンが出ません。場所を変えて再びあれこれやって見ましたが、やっぱり出ません。この時、私たちは当然ガソリンを入れた後で金額が表示され、その分のお金を機械にいれるものだと思い込んでいたのでした。たかが$10位だろうと思っていたのでカードを使う気も無く、どうやったらガソリンが出るのか分からず五人で機械の周りをウロウロ・・・。すると、お店の方から「ここで先にお金を払わなきゃ、ガソリンは出ないんだよ!」と怒鳴り声が聞こえて来ました。「なーるほどそうでないとお金を払わず逃げられるもんなー。」と初めて納得しました。見れば、お店の窓には鉄格子があって、強盗に入られないようになっているし、店員は絶対店の外に出て来ません。不親切だなーと思っていましたが安全のためもあってのことでしょう。それにたかが$10でもカードでガソリンを入れるのが普通のようです。

 パナマの強盗に狙われる店No.1はガソリンスタンドですからアメリカのようにすれば被害は減るかも知れません。

 

 

 パナマの郵便事情

 

 パナマの郵便制度は不便です。手紙を出す時は町中にポストが無いのでわざわざ郵便局まで車で行かなければなりません。受け取る時も日本のように家まで配達してくれません。郵便局の中に私書箱があって、自分で手紙を取りに行きます。お金を払って私書箱を借りないと、手紙を書くことはできても受け取ることができません。

 私書箱は縦横20センチメートルくらいの大きさしかなく、小包は入らないので代わりに『預かり証』が入っています。その紙を持って遠くの大きい郵便局まで取りに行かなければい

けません。困るのはその『預かり証』を入れてくれない時があって、荷物が届いているかどうかいつも聞きにいかなければならないことです。

 さらに箱で届いたものは必ずふたを開けて中身を調べます。そして気分次第で$50とか$20とか税金を掛けていきます。(封筒は開けられません。)

 ところで、12月はクリスマスカードなどの郵便物が非常に増える時期です。そのため、山になった郵便物は無くなったり、下敷きになったまま春になるまで日の目を見ないことがあります。パナマ便りの11月号は日本に着くのが若干遅れたようですが、日本からの手紙も随分遅れました。いつもなら一週間以内で着くはずなのですが、今回おじいちゃん、おばあちゃんに頼んだビデオは一カ月かかってやっと着きました。慌てたのは以前担任した子供達からの卒業文集の原稿依頼です。1月4日に受け取って1月10日までに日本に送ってくれというのはどう考えても無理です。ファックスで勘弁してもらおうと思います・・・

 

 

   事件

 

 ある日、友人の家に呼ばれて行った時に、普段出張で留守がちなご主人方のお話を聞くことができました。各企業、外務省のよりすぐりのエリートの方々の話を聞けるのはとても勉強になります。

 その中で、白熱したのが『ウンコ事件』(勉強になるゾ)

 

その1 インドで

 出張でインドに出かけたAさん。インドは衛生状態が良くないので、生水、生野菜などを食べないようにしていたら便秘になってしまいました。

 そこで、3日目の朝食にヨーグルトを飲んで出かけたところ、まずいことに移動中の車の中で「ゴロゴロッ」ともよおして来ました。

 車を止めてもらって公衆トイレを探しましたが無し。トイレのありそうなお店に飛び込んでみましたがすごい行列です。「よしっ、その辺に隠れてしよう。」と決心して人目の無いところを探しましたが、インドは人口が多く、あっちにも人、こっちにも人がいて人目の無い場所はありません。最後の手段で「民家のトイレを借りよう!」と決心し、ドアをたたきますが、見慣れぬ日本人が必死の形相で「開けてくれ!」と言ってもインド人が開けてくれるはずがなく、3階のドアをたたく前に力尽き、途中の階段に・・

 

その2 コスタリカで

 もともと胃腸が弱いと自覚しているBさん。どんな時も自分の会社の名前入りのティッ

シュペーパーは離しません。ある日、コスタリカで、農村地帯をドライブ中に「ゴロゴロッ」ともよおして来ました。それでドライブしながら適当な場所を探していると、道路から20メートルくらいの所に大きな木が生えていて、その陰なら安心しだと思いいつものティッシュペーパーを持って歩いて行きました。

 大自然の中でのんびり  していると、「あ〜っおじちゃんがウンコしてる〜。」と言う声(もちろんスペイン語)。振り向くと子供が村の方へ向かって知らせに走って行くところでした。見慣れぬ日本人がいるというので大騒ぎになり、火の見やぐらの鐘が「カーンカーン」と鳴り響きました。何とか切り上げねば、と焦りますが胃腸が弱いだけになかなかフン切りが着かず、そのうち、村中の大人たちが馬でパカッパカッとこちらにやって来るではありませんか。みんなの前でお尻を拭いて去って行く時の情けないことと言ったら・・・・

 

その3 コンタドーラで

 妻子が日本に一時帰国し、独身になったCさん。休みを利用してコンタドーラ島へ泳ぎに行くことにしました。コンタドーラ島はパナマの太平洋側に浮かぶリゾート地です。

Cさんは着いたらすぐに泳げるようにアロハシャツに海水パンツでキメています。飛行場で待つうち、「ゴロゴロッ」ともよおして来ましたが、トイレに行くにはチェックゲートを戻らなければならないのでそのまま飛行機に乗り込むことにしました。飛行機にトイレはありませんが、乗り降りの時間もいれてわずか40分くらいで着いてしまうので、

島の空港に着いたらでいいやと高をくくっていたのでした。ところが飛行機に乗って気圧が変化すると急に冷や汗状態になり、やっと空港に着いたと思ったらトイレが無い!「ホテルは遠い、海は近い」と思った瞬間、「きれいだな〜!」と言いながらアロハシャ

ツを脱いでザブザブ海へ。胸くらいの深さの所で  をするとものの3分もしないうちに跡形もなく消え去ったそうです。海の浄化作用は素晴らしい・・・・

 

その4 ブラジルで

 ブラジルの空港に到着した時のこと。飛行機に乗っている時から「ゴロゴロッ」ともよおしていたのをがまんしていたDさん。慌ててトイレに飛び込みましたが、丁度飛行機が何台か到着した時だったためトイレは一杯。個室のドアをノックするとどこも「入っ

てまーす。」の返事がかえってきます。だんだん危なくなって来て必死でドアノックすると個室の中から「入ってるっていってるだろーが!」というドスのきいた声。もうだめだ、と個室をあきらめたDさんはどうしたか?みんな壁の方を向いてシーシーしているのに一人だけお尻を向けてウンウンしている人、それがDさんだったのです。隣りに立っていた人は「大変ですね〜。」と慰めてくれたそうです・・・・

 

その5 マイアミで

 マイアミへの出張で、ビジネスクラスで3時間の飛行機の旅を楽しんでいたEさん。飛行機の中で朝食を味わってもうすぐマイアミに到着、という時になって「ゴロゴロッ」

ともよおして来ました。トイレに行こうかと思いますが朝食のあとのトイレは混んでいてなかなか『VACANT(空き)』のサインが出ません。待っているうちに「飛行機が着陸するのでシートベルトをお締めください。」とアナウンスが入りました。その時やっとトイレが空き、助かった〜と思いながらトイレに入ろうとすると、スチュワーデスが「だめです、席についてください!」と立ちはだかったのでした。しかし、限界に達していたEさんはスチュワーデスの制止を振り切ってトイレに突進。まさに××しながらドド〜ンと飛行機は着陸したのでありました。・・

 

 日本のビジネスマンは世界各地で活躍するとともにその痕跡を残しているようです。

 なお、本人のプライバシーのため、地名など少々変えたところがあります。

 

 

 パナマの新聞より

 

 ちょっと前のことになるのですが、家の近くのカジェ50という大通りでクリスマスのパレードがありました。4時間以上にわたって大型トレーラーに張りぼての人形を積んだ車が通る、良く言えば『パナマのエレクトリカル・パレード』です。ところが、この日のために、150人ほどの浮浪者やアルコール中毒者、麻薬中毒者をトラックに乗せて市内から40キロも離れたバコラ町の川まで運んだ上、体を洗っているうちに置き去りにした。という事実が明かになりました。

 「まったくもう・・・ パナマらしいったらありゃしない。」です。

 

 パナマが世界一を誇るものが一つありました。それは『船籍登録数』です。私が中学生の頃 社会科で習ったような気がしますが、船の所有者が日本人でも、船の所属地をパナマにすると税金などが安く済むというものだったような気がします。(間違ってたらすみません)

現在パナマに登録されている船の数は13699隻だそうです。もし大きな船を見る機会がありましたら、その船にパナマの国旗が掲げられていないか見てください。ちなみに第2位はリベリアです。

 

 

 NOTICIAS

 

12月7日(土) 

  日本人会の忘年会がありました。今年は抽選に外れてしまいましたが、くじ運の強い主人は敗者復活抽選会で『CDウォークマン』が当たりました。

12月10日(火)

  2年生に男の子が一人転入して来たので、我が家で紹介を兼ねたお遊び会を開きました。子供と母親を合わせて20人ほどのパーティーです。お菓子作りの苦手な私は友人に頼みまくってケーキを作って来てもらいました。パナマではパーティーの度にお料理の腕を披露しなければなりません。そんなわけで私の新年の目標は『お菓子作りの腕を上げる』です。

12月13日(金)

  終業式でした。日本よりちょっと長い冬休みです。

12月14日(土) 

 サッカー同好会の『お楽しみ会』がありました。幹事の仕事の中で一番大変なパーティーです。司会とゲームは本当なら幹事のご主人がやるところなのに、我が家の主人はコーチとして招待席でのんびりしています。夫婦でコーチと幹事なんて変な感じです。

12月15日(日) 

 心理と侑理のピアノの発表会がありました。といってもルイス先生の生徒がルイス先生のお宅に行って順番に曲を弾くというシンプルな発表会です。

12月21日(土)

   冬の家族旅行に出発しました。