96年9月のようす

 

 日本は紅葉の美しい季節ではないかと思います。パナマは9月からが最も雨の多く降る時期でなんとなく秋らしい雰囲気を味わえますが、空気がきりりとする感じがありません。薄ら寒かったり、蒸し蒸ししたりで体調を崩しやすい時期です。

 日本人学校は一足先に2学期が始まっています。心理、侑理のクラスは現在、男の子3人、女の子3人の6人。一年生の時は13人だったのがばたばたと減って半分以下になり、さみしい限りです。

 私が今から10年ほど前に全校生徒10人という分校に勤めた時、「こういう家族的であっ

たかい学校に自分の子供を通わせるのもいいな〜。」と思ったことがありましたが、130人いた児童数がこの10年間で50人弱に減るというのは、「少人数もいいな〜。」などと言っていられない気がします。

 

 納涼祭

 

 9月に入るとすぐにPTA主催の『納涼祭』があります。『納涼祭』はパナマ日本人学校の子供たちが日本のお祭りの気分を味わえるように、親がいろいろなお店を開いたり、盆踊りをしたりする行事です。この日は学校に上がる前の子供たちや、招待券をもらったパナマ人の家族なども参加してとてもにぎやかです。

 PTA主催なので、各学年の親が相談してお店を出します。バスケットボールや輪投げなどのゲームの他にも焼き鳥、焼きイカ、ソーセージ、手作りの和菓子などのお店も出ます。

 

古本はパナマでは貴重なので、行事のたびに持ち寄っては販売しています。日本製の子供靴や浴衣も小さくなるとリサイクルに出され、大切に利用されています。

 

 今年は心理、侑理の学年は人数不足のため、1、2年合同で『射的』をすることになりました。『射的』をやった延べ191人のお客様のうち、ほとんどが男の子。そしてその半分はパナマ人でした。パナマ人の男の子たちが『射的』に夢中になっている様子を見ると、「家に帰ってからお父さんの鉄砲を撃ったりしなければいいけど・・・」と心配になるのでした。

 パナマにはお祭りはたくさんありますが、歌ったり踊ったり、食べたり飲んだりするお祭りがほとんどで、子供相手のお店がたくさんある日本のお祭りとは違います。パナマのお祭りは基本的に大人のためのお祭りなのでしょう。それで、子供がゲームできる『納涼祭』はとても新鮮なようです。心理と侑理は$8ずつお小遣いを貰って、この時とばかりに買い物を楽しみました。

 心理と侑理の背が伸びて浴衣が着られなくなったらリサイクルに出そう、と思いながら納涼祭は幕を閉じました。

 

 学習発表会

 

 9月28日(土)に学習発表会がありました。学習発表会といっても内容は劇と音楽発表が多く、昔の『学芸会』という感じです。

 去年は「今どき劇をやってるなんて珍しい。」と思いましたが、日本の学校が授業時数の確保のために無くしてしまった学芸会もなかなかいいものだと思うようになりました。子供たちの様子を見ていると「僕は○○の役をやったんだよ。」といつまでも楽しい思い出になっているようです。

 主人は今年受け持ちのクラスが5人だというので選んだ劇が『3匹のこぶた』です。今年も歌を付けたり、踊りを付けたりして、「もしかして主人は低学年のほうが合っているのでは?」と思えるほどでした。

 

 一方、心理と侑理は今年はどんな役になるのかな〜、と楽しみにしていましたが、担任の神奈川県の45歳の女先生が「学習発表会なんだから学習したことを発表するのです。」と言って各教科の計算や詩の朗読の発表になりました。侑理は『虫の声』を独唱し、心理は『豆の育ち方』の発表をしました。その発表がなんだか古めかしくて、劇が昔のことなのか学習発表が昔のことなのか分からなくなってしまいました。

 

 あてなの通信簿

 

 驚いたことにあてなの通っている幼稚園の個別懇談があり、先生から通信簿をもらって来ました。

 項目が100個もあり、「できる」「ときどき」「できない」のどれかにチェックされています。

 あてなの「できない」項目は、

『必要なことを話せる。』

『1〜5まで数えられる。』

『〇□△の名前が言える。』

『色の名前が言える。』

などのスペイン語が話せないためにできないものが多く、「まっ、しょうがないわね。親だってスペイン語わかんないんだもん。」と納得しました。しかし、『おむつがとれた。』の項目ができないのは親の怠慢。パナマは外出した時にトイレがないのでつい面倒でおむつを使っていたのですが、仕方なくトイレ・トレーニングを始めました。おむつは3日でとれたものの、外出する時はひやひやです。家にいる間は裸んぼでいるので楽なのですが・・。

 さて、「できる」の項目にはどんなものがあったかと言いますと、

『毎日喜んで幼稚園に来る。』

『他の子供と仲良く遊べる。』

『先生の歌を良く聞いて、楽しく歌を歌う。』

『歌に合わせて踊るのが好き。』

『おやつを一人で食べられる。』

『順番を守れる。』

などです。ジョフェリンという仲の良い女の子と遊んでいるそうで、一体どんなふうにして遊んでいるのか見てみたいものです。 

 

 同じ2年生なのに

 

 同じアパートにミカエル君という男の子がいます。心理、侑理と同じ年で2年生なのですが、髪の毛を7・3に分けて、何かムースみたいなもので形づけています。学校に行くのに制服でない時はかっこいいTシャツとジーンズ、おまけに『マッハGO!GO!』のようなスカーフまで首に巻いて決め決めです。それに比べて心理、侑理はさっぱりおしゃれには興味がないようで、髪の毛なんかとかしたこともありません。この違いは一体どこから来るのでしょう?

 

 お米の話

 

 以前、バスケス先生にアロス・コン・ポージョという鳥肉の炊き込みご飯の作り方を習っていた時に、「このお米をきれいにして。」と言われて、水でお米をとごうとしたところ、「ノー、洗うのはまだまだ。」と注意を受けたことがありました。

 「先ず、お米を平らな容れ物に入れて、ゴミや石や雑草の種を念入りに取り除いてからにしてちょうだい。」と言われてよく見てみると、バスケス先生のおっしゃたことに納得。日本のようにさっと洗ってなどという訳には行かないのでした。

 さて、パナマのお米は細くて長い形をしています。農協に勤めている主人の友人から頂いた手紙によれば『長粒種』と言うのだそうです。アメリカを始め、中南米ではほとんどこの『長粒種』を栽培しています。私たちがふだん食べている『錦』というカリフォルニア米や何年か前に話題になったタイ米もこの種類です。

 炊飯器で炊いてみると、炊きたての時のご飯の香りが無く、パラパラした感じです。パナマの人達はご飯を炊く時に油を入れたり、炊き込みご飯にしたりして食べる習慣ですので、このお米のほうがおいしくできるようです。外食する時は日本食レストランか韓国レストランに行かないと白いご飯を食べられません。 

 先日、中国人の八百屋で『玉錦』というお米が売り出され、あっと言う間に売り切れてしまいました。これはカリフォルニアで作っている『短粒種』で、短くて粘り気のあるご飯になります。『超最高級米』『さっと洗ってください。』などと、「日本のお米みたいでおいしいのでは。」と日本人心をくすぐる文句が書いてあります。我が家も遅れたものの、『玉錦』を買うことができたのですが、10キロ当たり4500円ほどで他のお米と比べると随分高いのでした。

 味のほうは、甘みがありますが妙にねばねばしていて、やっぱり「コシヒカリにかなう米無し」と言うところでしょうか。

 

 ゴルフは楽し?

 

 パナマ運河の返還が徐々に進み、9月一杯でアメリカ領のアマドールゴルフ場もパナマに返還されることになりました。10月からは経営者がパナマ運河委員会に代わるそうで、閉鎖するのかしないのか、値段や予約がどう変わるのか、今一つ不明のため話題を呼んでいます。主人の参加していた3J会のゴルフ大会も、別のゴルフ場で開くことになりました。そのゴルフ場は広くてきれいなのですが、値段が高く、くじ引きで時間を決めるのでなかなか良い時間に予約を取れないので困っているそうです。

 さて、時々ゴルフ場に行って芝生を掘っては迷惑をかけていた私ですが、日頃の運動不足解消を兼ねてアマドールゴルフ場のコースを回ろうと思い立ち、9月だけで9回も行ってしまいました。と言っても一回$15。日本の金額と比べ物になりません。「日本に帰ったらゴルフなんてできないからパナマで一生分やっておこう!」を合言葉に通ってしまいました。さぞかし他のゴルファーに迷惑をかけただろうと思うかも知れませんが、平日の午前中、まして「閉鎖したんでしょ?」と噂の立ったゴルフ場にはだーれもいなくて気楽なのでした。

 ところが一つ、頭の痛いことが・・・それはキャディーです。私はまだ変な所にボールが飛んで行くことがあるので、ボールの行方を見てもらうためにキャディーを雇うことにしているのですが、そのキャディーのうるさいこと!!打とうとしている時にあれこれ言われて頭に来ます。早くキャディーのいらない腕前になりたいものです。

 何度も通った成果は・・・。日焼けでますます黒くなったことでしょうか。黒さの割りにはちっとも上手くなりません。毎回どん底気分で帰って来ては「私はゴルフに向いてない。」とか「も〜やめた!」などと主人に言うのですが、主人は「俺なんか一月に一回できるかどうかなのに、お前ばっかり・・・」と、恨めしそうな顔をしています。

 

 禁制の物に手を出した

 

 とうとう『禁制の物』に手を出してしまいました。悪いこととは知りながら・・・。

 パナマで禁制の物と言えば『麻薬』を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、私たちが手を出したのは、『ウミガメの卵』です。手を出すと言うより口を出すというところでしょうか。

 私たちがパナマに来る前にスペイン語を教えてくれたグァテマラ人のリリア先生が、「昔はウミガメの卵やイグアナの卵を食べたけど、今は禁止されていて食べられなくなった。」と言っていたのを覚えています。きっと、数が減ってきて絶滅しそうな生き物の保護のためなのでしょう。

 どうやって捕獲禁止の卵を手に入れたかというと、ある日、魚市場に行ったら初めて卵にお目にかかったので物珍しさで買ってしまったという訳なのです。売っているおじさんもこそこそと少しずつ出しては、目立たぬように売っているようでした。卵は1個25¢で魚に比べると高価ですが、あっと言う間に売れてしまったようです。

 

 買った卵4個のうち2個を我が家で味見してみると・・

  心理「うん!美味しい。黄身が美味しいね。」

  侑理「白身は水みたいで何にも味がしないよ。」

  主人「う〜ん。半熟のゆで卵みたいな舌触りだな。これは精力つくぜ〜!」

   私 「うっ!生臭い!黄身がねっとりしていてしかもザラザラしてる。なんだかト     カゲを食べてる気がするよ〜。」  ゲロゲロっ、ペッ。

 と言う感想でした。ウミガメさんごめんなさい。もう絶対卵は食べません。

 ちなみに残りの2個をもらったM先生のお宅では、お子さんが毛布で温めてウミガメをかえすと頑張っているそうです。「ウミガメ観察日記を書いてきた子がいる。」と担任の先生は言っていました。

 

 パナマに関する数字について

 

   第 9 位 

 国民の能力の低さという新たな指標で測ったパナマの状況は101カ国の中で第9位となっている。『人材能力貧困率』というこの指標は貧困から抜け出せるだけの収入を得、人間として成長するのに最低限必要な基本的能力をもたない人間の割合を表す。パナマが第9位となったのは、医療と教育はある程度の水準は維持されているものの、国民の4割に当たる貧困者の収入は全体のわずか8%に過ぎないことが原因の一つであるとパナマ大学の学長は説明した。

 

   1 ト ン 半 

 この3カ月間に押収されたコカインの量。このコカインはゴミ捨て場で特別警察によって燃やされた。

 トクメン空港を通じて、コカインの密輸をした容疑で起訴されている20人の元税関職員、実業家などに対する裁判が行われる予定。

 

  2 0 0 0 人

 モデロ刑務所は70年以上前に建設された刑務所であり、囚人の収容能力は250人である。ところが現在、囚人の数は2000人を越えており、囚人の健康管理や看守の暴力行為が問題になっている。ちなみにパナマで死刑制度を設けることに対するアンケートをとったところ、『死刑制度反対・・60%』『賛成・・35%』であった。

 

 

   3 割  

 アンケート調査によれば、パナマでは青年男女の3割が政治も政治家も信頼していない。最も信頼している機関、制度は教会、家庭、学校となっている。また、同じアンケートで、『最も悪い印象を抱いている国』はキューバ、続いてコロンビア。『最も良い印象を抱いている国』はコスタリカ。『結婚や共存するのに最も好まれている人種』は白人。『最も嫌われている人種』は東洋人、ユダヤ人、黒人及びインド人という結果が出ている。

 

  4 億 8 3 0 万 ド ル 

 1995年10月から1996年7月までの10カ月間のパナマ運河通行料収入は4億830万ドル。一カ月当たり45億円。船のトン数によるが、一回の運河通行料は平均500万円。

 

NOTICIAS

 

9月2日(月)

 車をパンクさせてしまいました。縁石に少し乗り上げただけでパンクしたのは、パナマのコンクリートの質が悪くてガタガタだからです。(すごい言い訳)主人がタイヤを替えようとしましたが、ホイールが毎日の雨で錆びでくっ付いていてタイヤを外せず、用務員さんを呼んで替えてもらいました。新品のタイヤは66$もしました。

 

9月7日(土)

 PTA納涼祭がありました。主人は毎年万代太鼓を演奏しています。

 夕方、心理・侑理と同じクラスのご家族と一緒に韓国料理を食べに行きました。レストランには他にも父兄のご家族が来ていて盛り上がっていました。主人が酔った勢いで主人がY楽器の支社長に「学校にドラムセットを1式寄付してください。」などと言っていると、2日後、学校に突然ドラムセットとキーボード3台が届きました。他の先生方は「なぜ??」と、不思議に思っているそうです。

 そういえば、5月号の『主人の夢』で世界のソニーからの寄付が延期になったと書きましたが、後日テレビ9台、ビデオ10台、CDラジカセ3台、ステレオ1セット、CDプレーヤー1台を頂きました。

 

9月8日(日)

 主人の教室で、モルモットを2匹飼い始め人気者になっています。取り合いになっているので、クラスの子供に「土日にモルモットを貸し出します。」と言ったところ、希望者は5人中2人だけ。希望しない理由は「お母さんが連れて来るとだめって言った。」でした。 

 

9月9日(月)

 日本人学校のプール浄化槽の取り替え工事が始まりました。工事が終わるとプールの水があっと言う間にきれいになりました。今までプールの底が見えないのが当たり前だったと思っていたのは、水が汚かっただけだった・・・。

 

9月10日(火)

 高級デパート『フェリックス』でバーゲンが始まりました。と言ってもなかなか着れる服は見つかりません。

 

9月14日(土)

 日本人会のサッカーの試合でした。相手は、以前負けたことのある『AVIANCA』というチームです。前半で2点取りましたが、後半で追いつかれて引き分けでした。

  

 

9月27日(金)

 アトラパというコンベンションセンターで各国大使館がお店を出す『カラバナ』というお祭りがありました。去年より参加する国が減ってしまいましたが、ドイツ大使館のソーセージや韓国大使館のキムチにのり巻き、インド大使館のカレーなどを買って来て夕食にしました。いつもパナマの気の抜けたようなビールを飲んでいる主人は日本大使館で買ったアサヒスーパードライを飲んで、「2年ぶりに飲んだぜ、プハ〜ッ」と大喜びしていました。

 

9月29日(日)

 JICA(=国際協力事業団)の所長の送別ゴルフコンペがコロナドでありました。主人は10位でした。(やっぱり練習不足だ!)