96年6月のようす

 

 日本は梅雨も終わりという頃でしょうか。パナマでは異常気象なのか、一日中雨の日が続いています。気温も明け方は26℃くらいに下がり、日中でも27℃ほどでじめじめしています。

 幼稚園や学校では風邪が流行り始め、あてな→マルタ→心理→侑理→私→主人の順でたて続けに風邪を引いてしまいました。パナマにもインフルエ

ンザのような風邪があるのでしょうか?今月は風邪で始まり、

風邪で終わった一カ月でした。

 

 

 去年の今頃、カルチャー・ショックでいろいろな物にイライラしていた私たちでしたが、もうパナマの生活にすっかり慣れ、心穏やかな日々を過ごしております。が、今でも時々「これはイライラするわ!」と思うことがあります。

 

マヨネーズ

 

 スーパーに並んでいるソース、ケチャップ、ドレッシングなどの調味料は、ほとんどがアメリカ製でガラスのビンか缶詰の缶に入っています。

 その中でもマヨネーズがガラスのビンに入っているのにはイライラします。油がビンの外側にしみていたり、つかみにくい形だったりするのでツルンと滑ってよく落としてしまうのです。床に落ちれば“ガシャッ”で終わりです。

 他の奥様方も「冷蔵庫から出すときに手が滑って落ちる。」とか「奥の物を出そうとすると転がり落ちて来る。」と、けっこう割っているようです。

 ついでに言わせて貰えば、ケチャップもイライラです。

ガラスびんの他にプラスチック容器もあるのでそれを使っ         

ているのですが、固いのなんの!両手で力いっぱい押して

も出て来ません。イライラして逆さに思い切り振ると、と

んでもない所に飛んで、悲惨な結果が待っています。

 

 そこで思い出すのが日本の『キューピーマヨネーズ』。あの容れ物は特許なのでしょうか?実によく考えてあると感心してしまいます。サラダにかける時にスプーンは要らないし、転がらないし、落としても割れません。我が家ではその創意工夫に敬意を表して高価なキューピーマヨネーズ($6.50)を使うことにしています。

 

 テレビガイド

 

 テレビを見ても英語かスペイン語なのであまり意味は分からないのですが、毎月ケーブルテレビの番組ガイドを買っています。日本のテレビガイドのような、カラー写真や詳しい番組の説明や、特集はありませんが、毎日放送する番組の名前がびっしり載っています。

 それを見ると、「あっ、いい映画を放送するから見なくっちゃ。」と思うのですが、時間になっても始まらない・・44局もあるチャンネルをパチパチかえてもやってない・・

 要するに、テレビガイドがいいかげんなのです。見たい番組に印をつけて楽しみにしていたりすると、裏切られてイライラ度が増すばかり。それで、「これはガイドを見ない方が利口だ。」と考えて、買わないことにしました。

 すると、代わりに主人が買って来て、チャンネルをパチパチやりながら「あれ〜やってないな〜。」などと言っています。

 7月からアトランタオリンピックが始まるので、またもやテレビガイドを買ってしまいましたが、ものすごーく期待している分、きっと裏切られてイライラすることでしょう。今は「日本の選手では誰がオリンピックに出るんだろう?」と、全然分からないのでイライラしているところです。

 

 

 バーガーキング

 

 パナマにはファーストフードのお店がたくさんあります。『マクドナルド』『ケンタッ

キーフライドチキン』『バーガーキング』『デイリークイーン』『ミスターポージョ』『ピザハット』『ドミノピザ』etc・・

 まだ『タコベル』というメキシコのタコスの店と、私たち家族が大好きな『ダンキンドーナツ』はありません。よく物価指数の代わりに使われるビッグマックハンバーガーの値段は1$で、日本の4分の1くらいでしょうか。 ピザはファミリーサイズで$10くらい。これまた日本の3分の1くらいだと思います。

 安いせいもあって、食べる機会は多いのですが、注文した物がきちんと出て来たことがほとんどありません。お決まりのセットとちょっと変わった注文をしようものなら、まず90%は間違うと言って差し支えないでしょう。4人で違う飲み物を注文したら必ず間違います。ドライブスルーは間違ってばっかりいるのでちっとも早くなりません。

 主人は「わざと間違えて儲けようと思ってるんじゃない

の?」と笑っていますが、そこまで考えているとは思えま

せん。しかし、この頃は、パナマという国においては、難

しい?注文する私たちのほうが悪い・・・ということに落

ち着きそうな気配です。

 

 メガネ

 

 心理と侑理は、とうとう近視のためのメガネが必要になりました。パナマでメガネを作った人によれば「パナマで作ったメガネは目が回ってかけていられない。」「200$が無駄になった。」「2回作ってどっちもだめ。」などクラクラする話ばかり。それでも黒板の字が見えないのでは作らざるを得ません。

 先ず、侑理と心理を『パナマでは一番!』というチャニス眼科に連れて行って、メガネの処方箋を作ってもらうことにしました。

 検査は10分足らずで終わり。目の病気が無いか調べた後、数字を読ませて視力を調べ『−2.0』と書いた紙をもらっただけです。乱視の検査もありません。(たぶんパナマには乱視用のレンズが無いからでしょう。)

 翌日、処方箋を持って、これまた『パナマで一番?』というロペス眼鏡店へメガネを作りに行きました。子供用のメガネフレームは70種類くらいありましたのでその中から心理、侑理の好きな形を選びました。レンズは日本のようにいろいろな色や、超薄型レンズなどは無く、ガラスかプラスチックの2種類しかありません。床が固くて落とせば必ず割れてしまう国なのでレンズはプラスチック製を選び、目と目の間の距離を測って終わりです。

 メガネは3〜4日で出来上りましたが、メガネの『つる』が長すぎて

ずり落ちてしまいます。暖めながらでないとプラスチックの部分が壊れ

てしまうので、もう一度、子供を連れて眼鏡店へメガネの調整をしてもらいに行きました。ところが、お店の人に「ここを曲げて。」と頼むと「そんなのどうして自分で直さないの?」と言うなり、その場でぐいっ!と曲げて終わりでした。・・・やれやれ・・ 日本にもアメリカにも住んだことのあるバスケス先生は、「持っているメガネの中では、10年前に作った日本のメガネが一番良い。」と言います。日本のメガネを作る技術が良いのは、昔からカメラのレンズを作る技術が優れていたからなのか、日本人は目が悪い人が多いからなのか分かりませんが、眼科のチャニス先生も「メガネは日本で作れば問題ない。」と言っていました。

 これで我が家は、あてなを除いてみんなメガネになってしまい、家族で歩くと“日本人でーす”と宣伝している気分です。

 心理と侑理がメガネをかけると、主人の縮小コピーのようにそっくりです。

 

 

 あてなの誕生日 

 

 6月17日はあてなの2歳の誕生日でした。ところが前の週からずっと風邪を引いていて、誕生日のお祝いどころではありません。メイドのマルタが心配して医者に見せろと言うので仕方なく予約を入れることにしました。

 パナマの病院は予約制なので、日本のように診察券を出すために開院前から並んだり、

待合室で高熱の子供を抱きながら何時間も順番を待ったりしないで済みます。このシステムの方が、日本の病院より楽だな〜と思います。

 と言いながら、なかなかあてなを受診させなかったのは、「どうせ、いつもと同じことを言われて同じ薬を買わされるだけだろう。」という気持ちがあったからです。

 あてなのかかりつけの長い髪にひげを生やしたガルシア先生は、あてなが熱を出すたびに「この熱は3〜4日続き、全身にポツポツが出る。」と言うのですが、ポツポツが出た事は一度もありません。先生が処方するのはサクランボ味のものすごくまずい薬なのであてなは嫌がって飲みません。

 そんなわけで、今回は、人気の高いクレスポ先生に診てもらうことにしました。すると、熱があるのは中耳炎の初期だと言われ、風邪気味なのにプールに入れたことがばれてしまいました。ついでに、あてながまだミルクを飲んでいることも、寝る時に哺乳ビンが離せないでいることも注意されてしまい・・・・やれやれ・・・

 おまけに診察の予約が取れたのが夕方7時からだったので、な〜んのごちそうもない誕生日になってしまいました。・・・やれやれ・・・

 

 

 道案内

 

 パナマの民芸品モラ刺繍をあしらった洋服を仕立ててくれる店があると聞き行ってみることにしました。

 「○○小学校の前だよ。」と教えて貰って行ってみたのですが、看板が無いのでどれが目的の家か分かりません。近くに立っていたガードマンに聞くと、「この辺じゃないな〜。」と言います。家の中からご主人が出てきて「あっちの方だろう。」と言います。

それで、ぐるっと道沿いに回ってみましたがやっぱり分かりません。やれやれ、と思っていると、警察官が3人歩いて来たので聞いてみましたが、3人が3人とも自信をもって違うことを言います。

 結局「分かった。ありがとう。」と笑顔をつくり、言われた通りに行くふりをして家へ帰ったのでした。後で電話をして調べてみると、一番最初に行った所だったのは言うまでもありません。・・・やれやれ・・・

 しかし、みんながみんな、分かったような顔で違った道を教えてくれるのは一体何なのでしょう?

 

 日本人学校の図書館から借りた、『スペイン語 コーヒー・ブレイク』という本の中に

 

「・・・スペイン語圏の人の道案内が、わかったようでわからないという傾向も知っておいてよいでしょう。こちらの人で、No se「知らない。」とかNo tengo idea 「わからない。」と答えてくれる人は誠実なのだと思われます。たいがいMas alla「もっとあっちだ。」とかA la vuelta「そこを回った所に。」とか言うのですが、そのとおりに言ってみて、訪ね当たったためしがありません。

 どうしてウソを教えるのか、いろいろな人に尋ねると「知らないのは恥だ。」「相手を悲しませたくない。」という答えが返って来ます。要するに悪気があってするのではなく、一種のエチケットだと思っているようです。・・・」

 

とありました。「あの人たちがウソの道を教えてくれたのは、エチケットだったのか〜。」

と納得しました。・・・やれやれ・・・

 

 ラルフローレン 

 

 パナマの一流ホテル『シーザーパーク』に行ったときのことです。ふらりと紳士服のブティックをのぞいてみるとラルフローレンというブランドのポロシャツが$15で売っていました。

 たくさん買おうかと思いましたが、一流ホテルの中のブティックにしては知らないブランドの服が多く、ちょっと怪しいと思ったので、4着だけ買って帰りました。

 家に帰ってからどれどれと見てみると、「あっ穴が空いてる!」というのが2着あり、

胸の刺繍もちょっと違うようです。「やっぱり偽物か、やれやれ。」と思いながら、翌日返品しに行きました。

 ところが、お店の人は「穴の空いてるのは替えてやるけど、お金は返さない。」と言います。まあ覚悟はしていたことなので「やれやれ」と思いながら仕方なく穴の空いているシャツを交換してもらいました。「このラルフ・ローレンは偽物だよ。」と言うと、

「そう?あなたの国で作ったんでしょ。韓国で!」と言う答えが返って来ました。・・・

やれやれ・・・

 

 

 このように、1年も過ぎてみると、『イライラ』もだんだん『やれやれ』に変わってきました。「まあ、ここはパナマなんだから怒っても仕方がないわ。」というあきらめ+「世界は広い、いろんな人がいるのね。」という悟りが開けてきたのでしょうか。

 でも、日本に帰ったら、きりきりした世の中について行けなくなるかも知れないな〜。

 

 

  NOTICIAS

 

6月7日(金)

  先生方の奥様が集まる『セニョーラ会』が我が家でありました。腕によりをかけて ケーキを焼きましたが、注目を集めたのはケーキ本体ではなく、ケーキのデコレーショ

 ンに使った“栗の甘露煮“でした。

  「どうやって作ったの?」「どこ

 で手に入れたの?」と聞かれました

 が、「1年3カ月前に日本から持っ

 て来たものです。」とはちょっと言

 いにくいのでした。

 

6月8日(土)

  日本人会のサッカークラブ対インターナショナルスクールの試合がありました。初めての遠征試合でスクールバスに乗ってインターナショナルスクールのグランドまで30分ほどドライブです。着いてみると山の中に突然開けた学園都市で、素晴らしい眺め、新しくて美しい校舎、広くて整備されたグラウンドがありました。 

  試合直前になって、相手チームは60人以上いるから、2チーム同時に試合をしよう と言い出しました。こちらのチームは人数不足で15人しかいないので2チームには分けられないと断ったのですが、結局いつも指導してくれている日本人会の渡辺監督が特別参加して8人ずつ低学年チームと高学年チームに別れて試合をすることになりました。渡辺監督は20歳なので中学生で通ります。

  心理、侑理の相手チームの子供たちは♪強い子のミロ♪のユニフォームを着ています。どうやらNestle(ネスレ)がスポンサーになっているらしく、ただで飲み物を配ったり、ビデオカメラで試合の様子を撮影したりしていきました。

  試合は大差で負けてしまいましたが、遠足気分の楽しい一日でした。

 

 

6月9日(日)

  父の日でした。主人は心理侑理からお手紙、私からは偽物のラルフローレンのポロシャツ、そしてあてなからも幼稚園で作ったマグカップをもらいました。 

 

6月10日(月)

  中学部の修学旅行でした。人数が少ないので中2年生5人と中3年生1人で一緒に行きます。行き先は『オーランド・ディズニーワールド、ユニバーサルスタジオ、スペースセンター』です。

 

6月17日(月)

  心理と侑理がピアノを習い始めました。先生はドイツ人のルイス・トロッシュさんです。40歳位の男の先生で、パナマ大学で音楽を教えているそうです。

  授業料は一人30分の授業4回で$70(二人分で$130)です。大変なのは、お兄ちゃんたちのレッスン中に、あてながピアノに突進して行かないように別の部屋で見張っていなくてはならないことです。

  心理と侑理は先生に「Muy bien」(上手だね)とおだてられて、いい気分でピアノを弾いています。

  ピアノの先生を探す時に、「とにかく気の長い、ほめ上手な先生がいい。」と聞いて回ったのが功を奏したようです。 

 

6月22日(土)

  『日本人学校』対『青木建設』のソフトボールの試合がありました。今回はちゃんとした野球場まで借りての試合です。

  日本人学校は4月の異動で平均年齢が(女性を別にすると)5歳以上若返ったためか、新しいセニョーラの応援がよかったのか、ビールを飲みながらプレーしたのが良かったのか、初めて22対18で勝つことができました。

 

6月28日(金)

  1、2年生の水泳記録会がありました。

 侑理はクロール50メートルと平泳ぎ50メートルを泳いで3級に合格。心理は風邪で休んでしまったため、翌週に平泳ぎ25メートルを泳いで4級合格でした。

 

6月30日(土)

  教員家族の親睦旅行でコロナドへ行く予定でしたが、我が家は風邪のため不参加に なってしまいました。

 

 

 

 主人の元同僚のK先生ご夫妻が8月13日に成田を出発し、マイアミ経由でパナマにきてくださることになりました。我が家に3泊して、その後はオーランドのディズニーワールドなどに旅行するそうです。

 夏休みの楽しみがひとつ増えて、今からどこを案内しようかと、とても楽しみです。

 

 

 ユダヤ人

 

 日本人好みのパン屋がつぶれてしまい、パン焼き機を買った話は以前紹介しましたが、

時々行くパン屋でユダヤ人の経営する店があります。ユダヤ独特の『ピタ』というパンから名前をとって、『ピタパン』と言うのですが、そこの“おやじ”にイライラです。イボいのししみたいな顔をしていますが、別に顔に文句があるわけではなく、おやじが東洋人(中国人、韓国人、日本人、フィリピン人など)に対してあからさまに差別をするのがイライラなのです。

 例えば東洋人には、パンを買った時にお釣りを投げて返すとか、わざとレジを後回しにするとか、スペイン語が分からないと思って「チチャ、チチャ(ぶた、ぶた)」と言うとか。全てのユダヤ人が東洋人を差別するわけではないのでしょうが、こちらからあいさつしても返事をしないユダヤ人はたくさんいます。

 なぜそのような態度をとるのか、人種差別に疎い日本人にとっては不思議です。ナチスの犠牲になったことの他は、豚肉を食べず、クリスマスツリーを飾らず、国を持たず、

お金儲けの上手な国民ということしか知らなかったユダヤ人について、知りたいなと思うのですが・・パナマでは何か知りたいことがあっても、それを調べる本がないのでイライラします。