装甲車のお話〜自衛隊の装甲車〜

■種類
 自衛隊にも様々な装甲車が存在します。
 装軌式では60式装甲車(APC)と73式装甲車(APC)、89式装甲戦闘車(IFV)です。装輪式が82式指揮通信車・87式偵察警戒車・87式科学防護車・96式装輪装甲車(APC)・軽装甲機動車などです。(自走りゅう弾砲、自走迫撃砲、自走対空砲は除いてます)

 自衛隊では長らく装甲車といえば装軌式の60式装甲車と73式装甲車しかありませんでした。しかし80年代に入り82式指揮通信車が正式化され、以後、続々と装輪式装甲車が登場しています。また装甲車というには憚りますが、高機動車をプラットフォームにした93式近距離地対空誘導弾(近SAM)、96式多目的誘導弾をはじめ、通信シェルター搭載型高機動車や対砲レーダー搭載型高機動車なども存在します。
 この様に、最近配備される車両は重車両以外全て装輪式となっております。世界的潮流に乗った方法なのでしょうか、よく分かりませんが、恐らくはコストの問題なども絡んでいるのだと思います。私はこれはこれで良いと思います。”装軌式vs装輪式”のページでも書きましたが、IFVは装軌式で良く、それ以外は基本的に装輪式で良いと思うからです。


■問題点
 しかし、これも以前書きましたが、車体ユニットにほとんど共通性がないというのは如何なものか。何故、82式指揮通信車(87式科学防護車)・87式偵察警戒車・96式装輪装甲車・軽装甲機動車がファミリー車ではないのか。8輪タイプを82式指揮通信車(87式科学防護車)・96式装輪装甲車で作り、6輪タイプは87式偵察警戒車・軽装甲機動車、あるいは前線使用目的として迫撃砲や対空・対戦車ミサイル搭載タイプというふうに計画的に開発していれば様々なコストが削減されたはずです。
 ところが私の考えと自衛隊では異なるようでして、装輪装甲車ではなく高機動車の派生型を数多く開発しています。やはり多少疑問です。93式近距離地対空誘導弾(高機動車に搭載)にしても、何故陸上自衛隊なのか分からない。どうみても航空自衛隊の基地防空隊での使用がマッチすると思う。L90高射機関砲の代替ということだが、陸自で使うのならそれこそちゃんとした装輪装甲車に搭載して使用すべきでしょう。逆に軽装甲機動車に関しては装甲強化型高機動車というものを開発すれば事足りる気がするのですがね。

 高機動車の派生型が多い現状を見ると思い出すのが米陸軍です。米国陸軍ではM1戦車、M2ブラッドレー、M113装甲車の下に装甲強化型ハンビーが多数配備されています。間に装輪装甲車が存在しません。ひょっとしてこれに習ったのでしょうか。しかし米国陸軍は圧倒的味方航空勢力の下で戦闘することを前提にしており、そのまま日本へ適用できないと思うのです。強いて挙げれば、日本が見習うべきは「米国陸軍+米国海兵隊÷2」だと思います。
 断っておきますが、高機動車の利点を否定するつもりはありません。でも私が仮に「96式多目的誘導弾搭載の高機動車と96式装輪装甲車の対戦車タイプ(存在しません)のどっちで出撃するか?」と問われれば迷わず96式装輪装甲車の対戦車タイプに乗る事は間違いありません。もっともそのような例を挙げればキリがないのですが。
 いや、分かってるのです。恐らく自衛隊では即応展開能力の向上とそれに伴う一部師団の旅団化計画及びコストを天秤に掛けながら配備計画を進めているので、この様になるのだと思うのです。でもね…

 そんなわけで私の個人的素人見解でした。それと私は、装輪装甲車と高機動車の登場により曲がりなりにも陸自の装甲化が進展した事に対しては評価しております。ついでに言うと私は”装輪装甲車信者”ではありません。

 つづく?(もうネタ切れです!)
2004年1月3日更新