先週は情報処理技術者試験だった。
　何度も書くが、1 月末に放送大学を二科目、2 月中旬にビジネスキャリア検定というのを受けた。勉強を始めたのはその後。
　まずい、と思い始めたのは一ヶ月くらい経ってから。
　平日を午前中に実施される選択式問題の勉強に当て、週末を午後に行われる記述式問題にあてる、というのが基本なのだが、後者が全く進まないのである。
　そもそも平日だって時間はないのだが、選択式の方は相互に関係のない問題が並んでいるだけなので、極端なことを言えば、今日は一問、明日は二問、てな感じでもいい。それに対して午後の問題は文章読解式なので基本的に数十分の時間は必要。ちなみに本番では、90 分で二問を解く。
　って書いてて我ながら情けなくなってきた。つまり、二日の休みで一時間半を確保できないわけだ、俺って奴は。何しとんねん、という感じはあるな。

　で、ここは情報処理技術者試験対策講座ではないので、方言の話に。
　会場は秋田大学。
　昼休みは一時間。実際は、開始 20 分前には着席してなければならないので 40 分しかないのだが、昼飯を食ってから構内の自販機にコーヒーを買いに行った。
　タブレットくらいの液晶ディスプレイがついてて、何か言ってるな、と思ったら大学の案内を流している。それがどうやら秋田弁。
　実は気づいたのは去年なのだが、ネタにしようにも方法がなくてあきらめていた。
　が、今の俺には IC レコーダーがある。
　と言うと、そのために用意周到に持ってったように聞こえるが、音楽聞きながら勉強しようと持ってってたのを思い出した、というのが正しい。
　コーヒーを買った時に思い出したので、出てくるのを待って (その間は、コーヒー抽出中とかいうアナウンスになる)、スピーカーの辺りに IC レコーダーを押し当てて録音開始。怪しいことこの上ないが、液晶で後ろに待ってる人がいないことを確認しながら待つこと二分弱。文字に起こしたのを一部、載せる。

秋田の郷土料理、漬物のいぶりがっこをおべでいるすか?
「おべで」は漢字で書けば「覚えて」だが、「覚える」というよりは「知っている」という意味。前にも紹介したと思う。つまり、「いぶりがっこを覚えているか」というのは、覚える機会があった人にしか使えないので、奇異に聞こえるかもしれないが、これは「いぶりがっこって知ってる?」という質問だ、ということ。

地域が大学さ何を期待しているもんだが、それを分校は感じ取る窓口なんだす。
横手 (よごで) では郷土料理を通して地域を元気にする取り組みを続けてらんだす。
それがら大学の教員、教室で学生さんだけを教へぇでるわげではねのす。
市民・県民の皆さんのために、公開講座どが、わらし向げの科学教室開いで。
勉強してーど思ってる人がいればそれはどこでもキャンパスなる、っちゅうごどなんだすなー。
　横手というのは、秋田大学の横手分校のこと。分校といってもここで学生が勉強しているのではなく、どっちかと言えばサテライトオフィス的なところ。
「教える」は「おへる」になる。
　よく見ると、文がねじれているのがわかる。最初の「それを分校は感じ取る窓口なんだす」なんかは語順も不自然である。
　が、こういうパターンは会話ではよく聞かれる。会話の言葉である方言に訳している以上、それは自然だ、とは言える。
　なお、液晶にはこれの標準語形が表示されている。

秋田大学めぐりも終わりに近ぐなったんす。
「近ぐ」は「ちけぐ」。
　どうやら全編はもっと長いらしい。俺が見たのは横手分校の部分だけ、ってことのようだ。
　どうせ先頭に戻るんだろうから待ってみようかなぁ、と思ったが、休憩時間も短いし、昼時だからほかに買いに来る人もいるだろうし、ということであきらめた。

　全体としてだが、やっぱり無理がある。
　というのは、やっぱり「大学紹介」というのはオフィシャルな文章だ、ということである。それを会話の言葉である方言に直そうというのには、どうしたって無理が生じる。これはやむを得ない。
　ちなみに監修と声は秋田出身の女優、浅利香津代氏である。

　次に行くのは、どんなに早くても秋の試験。しかも最近は、秋の試験が別の場所で行われることが多いので、来年の春になるかもしれない。それまでこれが流れているかどうかは不透明。

　一つ疑問なのは、秋田大学の紹介を秋田大学構内でやることにどういう意味があるのか、ということ。

　自販機に貼ってあったイラスト。
　

　今回受けた試験には論文の課題がある。一応、自分の経験に照らし合わせて、右手の筋肉痛に耐えながら 2,000 字ほど書いてきたが、読み返してみたらまるっきり子供の作文に見えて、だめだこりゃ、とすごすごと帰ってきたとさ。