こないだ
御所野イオンで飯を食っていたら、俺の後から、男女が店に入ってきた。
さして広い店でもないので彼らの会話が耳に入ってくるのだが、その男性の発話が「いかにも東京人っぽい」という感じがした。
ふと、「なんで俺は『東京っぽい』と感じたのだろう」と思った。
話している言葉が標準語なのは言うまでもない。
スピードは、「ゆっくり」とは言わないまでも、落ち着いた感じである。発音も、「はきはき」というほどではないが、滑舌もしっかりしており、聞きやすい。声も高すぎず低すぎず。
一言で表現すれば「垢抜けている」。
おそらくこれが理由。「垢抜けている」→「都会的」→「東京っぽい」という連想。彼が、羽田空港について言及していたのも影響しているであろう。
これで納得しかけたが、よく考えると一面的である。
「都会」には「せかせかしている」「早口」「乱暴」というイメージもあるはずだからである。
その男性の発話が、標準語風の早口であったとしても、俺が「いかにも東京人っぽい」と感じる可能性はある。
これは割と簡単に解決する。
上で矢印を書いたが、この連想が一方向だからである。
どちらも当てはまりそうで、いきなり迷うことになる。
イメージってのはそんなものなんだ、ってことだろう。まったく正反対のイメージが並立している。おそらく、一人の個人の中でもそうだろうと思う。
「暑い」「寒い」みたいに事実とリンクしたイメージは別であろう。秋田が「暑い」土地だと思っている人はいないと思う。いるとすれば、秋田で夏を過ごしたことがあって「北国のはずだが意外に暑い」と思ってる人。尤も、こうなると実体験であって、イメージではないのだが。
ただし、寒暑は相対的なもので絶対的な基準があるわけではない。北海道の人なら秋田に「(北海道より)暖かい」というイメージを持っているだろうし、沖縄の人はおそらく鹿児島について「(沖縄より)涼しい」と考えていると思われる。
*1
話は変わるが、科学系のテレビを見ていて「『小さい大陸』とは何事だ。日本語が間違っている。けしからん」と怒っている人を見たことがある。一文の中に大小が混在しているからだろうが、残念ながら、アメリカ大陸はユーラシア大陸より小さい、オーストラリア大陸は更に小さい、という大小関係はある。
*2
で、その男性と話していた女性のほうなのだが、「ひょっとして関西?」と思った。こっちはちょっと思っただけ。
この根拠は、発音。
イントネーションではない。これはしっかり標準語風だった。
母音かと思って調べてみたが、Wikipedia で、「
う」について触れられているくらいで、そう顕著な違いがあるわけではないようだ。
イメージの話。
前に、なんでも「こまち」って名前つけやがって、というような話をした。秋田を宣伝するとき、女性的なものは「こまち」で売ろうとすることが多い。反対に男性的なものというと、「なまはげ」。
確かに、ネーミングが安易、という非難は外れていない。それしかないのか、って話はある。
だが、これほど強烈なイメージを持った語もない。「なまはげ」と言われて、九州を連想する人はいないだろう(知らなくて青森や山形を連想してしまう人はいるかもしれないが)。「こまち」もしかり。
上に書いたように、「東京」から「早口」と「ゆっくりした口調」のどちらも連想できてしまう、という曖昧さがない。これは貴重な武器である。
ほかに秋田だと米とか酒とかがあるが、これは新潟もあれば兵庫(灘)もある。しかも強力。勿論、「米と言えば秋田」「酒なら秋田」と思ってもらえるようにする努力は必要だし、現にしているわけだが、「観光キャンペーン」のような対象を限定しない、広範囲のイメージ戦略を展開する場合、「なまはげ」「こまち」で統一する、というのはアリなのかもしれない。
幸い、
加藤夏希や
佐々木希のおかげで「秋田美人」の印象度はキープできているようではある。米と違って増産できるものじゃないけど。
そういや、「
ハンチョウ 5」の加藤夏希、出番は決して長くないけど、なんかすっごくいいね。別に制服萌えってわけじゃないのだが。