My Kurosawa's Ranking
1 七人の侍 6 隠し砦の三悪人
2 生きる 7 用心棒
3 椿三十郎 8 悪い奴ほどよく眠る
4 羅生門 9 天国と地獄
5 生きものの記録 10


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AKIRA KUROSAWA FILMS 鑑賞のアドバイス

 日本映画の歴代のベストテンをやると、必ず小津の「東京物語」と第1位を争うのが、黒澤の「七人の侍」と「生きる」なのである。「古いから」「長いから」「白黒だから」という一般受けしない悪条件が3つ重なっていますが、未見の人は、勇気を出して観て欲しいですね。観ないと損すること間違いなしですから。
 ところで、これから黒澤作品を観る人には、私が勝手に最盛期と思っている、1950年代〜1960年代の作品から観ていただきたい。黒澤は、今書いた「七人の侍」「生きる」を含めた「羅生門」「生きものの記録」「隠し砦の三悪人」「悪い奴ほどよく眠る」「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」「赤ひげ」の10本の傑作・力作を15年間の内に発表したのだから凄い。他のどの時代のどの国の監督にも比較にならないの作品履歴を誇っています。これらの作品は、国宝級の重要文化財ですから、映画ファンならずとも、日本人なら必ず観てください。
 それで、これらの黒澤作品を観てて、いつも感心させられるのが脚本のすばらしさ。キャラクターの造詣が深く、ストーリーが面白く、テーマが胸に迫ってくる。黒澤作品に対して、ご都合主義なんという言葉を聞いたこともない。なにしろ、「生きる」からは、脚本を3・4人で書いていて、その書き方が凄い。誰か一人が叩き台を書いて、みんなで修正していくのではなく、一人一人が個々に書き上げて、それをつつき合わせていいものを使う、という豪華なつくり方。労力を全く惜しまない。脚本のみならず、美術を始めどの分野に対してもその姿勢を貫くから、当然、完成度の高い作品が出来上がる。
 撮影に関しても、このころから豪華にマルティカム方式を取っている。アクションシーンをぶつ切りに撮ってつないでもリズムは生まれない。アップも引きも同時に撮っているから、つながりがスムースで迫力あるシーンができるのだ。
 また、黒澤は自分で編集もしてしまうらしい。黒澤作品の喜びの瞬間でもある、「緊張感を伴う間合い」は、撮影と編集の見事な協応がない限り成立し得ない時間なのだろう。緩急自在な独特なつなぎ方は、黒澤作品のならではのダイナリズムを生み出している。
 上記の最盛期の作品をすべて観たら、私は、あえて他の作品を一般の人には薦めません。1940年代の10本と1970年代以降の7本は、黒澤ファンになった人にお薦めします。
 1940年代の作品は、黒澤独自のスタイルを確立させていく段階の作品で、デビュー作の「姿三四郎」〜「素晴らしき日曜日」までは、正直言うと、観終わった後に黒澤作品を観たという充実感を得られない。もちろん、随所随所に黒澤ショットが挿入されるが、作品全体としては彼らしさが弱い。
 それが、「酔いどれ天使」以降は、パワフルで躍動的な黒澤らしさが出てくる。どうしてそうなのかとよく考えてみると、必ず自分で脚本を書くようになったのと三船敏郎が黒澤作品に出演し始めたのがこの作品からなんですね。そして、黒澤の最盛期のラストを飾る作品「赤ひげ」は、三船が最後に出た黒澤作品なんです。つまり、黒澤作品に黒澤らしさが伴うようになったのは、三船が登場してからで、三船が去るとともに、黒澤作品の最盛期は終わるんです。作品を創造する上で、脚本の重要性もさることながら、黒澤と三船の協力はただならぬものがあったと言えるのだろう。

 それで三船が去った1970年代以降の作品。フィルムもモノクロからカラーへ変化し、娯楽性が乏しくなっていく。映画的な面白さに欠けるものの、その反面、圧倒的な映像美で押しまくる。特に、「乱」は、ライフワークと語るだけあって、劇場の大画面で鑑賞するにふさわしい作品だ。また、「夢」の映像は本当に美しく、「日照り雨」「桃畑」「水車のある村」は、私のお気に入りである。
 最後に、ちょっと前に、カルピスのCMで、黒澤の絵をアニメーションにしたものがあったが、「夢」のような雰囲気を持った作品でとてもよかったことを付け加えておきます。

 平成10年9月6日13時45分,自宅で亡くなりました.享年八十八歳.心よりご冥福をお祈りいたします.


映画監督・映画評論家・作家etcの選出する黒澤ベスト1
S・スピルバーグ (映画監督) 「生きる」   辻邦生(作家) 「生きる」
S・ペキンパー (映画監督) 「羅生門」 井上ひさし(作家) 「七人の侍」
D・リチー(映画評論家) 「七人の侍」 白井佳夫 (映画評論家) 「野良犬」
手塚治虫 (漫画家) 「七人の侍」 本多勝一(元朝日記者) 「生きる」
さいとうたかを(漫画家) 「用心棒」 尾形敏朗(「巨人と少年」著者 ) 「デルス・ウザーラ」
服部弘一郎(映画評論家) 「椿三十郎」 西村雄一郎(「巨匠のメチエ」著者) 「天国と地獄」
橋本勝(「黒澤明」著者) 「生きものの記録」 野村芳太郎(映画監督) 「生きる」


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