My Chaplin's Ranking
1 サーカス 6 独裁者
2 ライムライト 7 モダン・タイムズ
3 キッド 8 サニー・サイド
4 街の灯 9 チャップリンの
殺人狂時代
5 黄金狂時代  10 偽牧師

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CHARLES CHAPLIN FILMS 鑑賞のアドバイス

■ドラマの神=チャップリン
 チャップリンと言えば,映画の創生期に活躍をし,今の映画芸術の基盤をつくった一人と言っても過言ではない人物.しかし,彼は映画の技術的側面よりもドラマ的側面を進歩させた功績が大きい.チャップリンの映画が,現在の映画よりも演劇的だというのは,映画誕生というの時代背景から考えれば当然と言えば当然のことだが,同時期のエイゼンシュタインやD・W・グリフィスと比較して見ると,彼がテクニカルな部分よりドラマ的な部分で突出した作品をつくっていたかが分かる.
 チャップリンの真骨頂である「芸」「ギャグ」「ドラマ」.思えば,これらはどれをとっても確かに演劇的な要素が強い.それでは彼の作品がエイゼンシュタインやD・W・グリフィスより劣っているかと言えばそうではない.故スタンリー・キューブリックもこう語っている.「エイゼンシュタインの映画の偉大さというのは圧倒的で,時に単純な内容を上回る映画スタイルの勝利だ.チャップリンの映画は事実上非映画的な類のテクニックを上回る内容,趣味,感覚の傑作だ.もしどちらかを選ばなくてはならないとしたら私はチャップリンをとる」と.もし,映画が技術だけが突出し,内容の薄っぺらいものになっていたら,非常に空虚な表現になってしまう(え?今のハリウッド映画はその道を猛進しているって!).
 モンタージュが標準的な技法となった現在,エイゼンシュタインの作品をわざわざ観ようとするのは,映画評論家かディープな映画通のどちらかだろう.しかし,そのような人でなくても,チャップリンの作品を観る機会はあるだろう.これは,技術があっても内容がない作品は時代の風化に耐えることが出来ないことを意味する.チャップリンの作品には,技術はなくとも人間のとって普遍的なものを描いたメッセージがあるのだ.

■人間の心に必要不可欠なものを詰め込んだ
 では,チャップリンは得意の「ドラマ」で何を描いたのかを考えてみたい.時代の風化に負けない普遍的な「ドラマ」はいかなる内容を含んでいたのか.チャップリンを語らせたら右に出るものがいなかった映画評論家の淀川さんが言うには,チャップリンの三原則は「愛する」「働く」「食べる」だそうだ.私もチャップリンの作品を観るたびに,その三原則の重要性をよく痛感する.
 ある大学教授が講演会で「人間が人間らしく生活するために必要なもの」として,「衣食住」「コミュニケーション」「文化」を挙げていた.私はそれを聞いて,すぐにチャップリン映画を思い出した.その教授は,これらが欠けた子供たちが,学級崩壊・家庭崩壊を引き起こすと語っていた.チャップリンは,映画という文化,そしてコミュニケーションを通して,人間の心に最低限必要なものを詰め込んでいたのだと改めて感じた.最近のキレる子供たちに見せるべき映画.それはチャップリン映画なのかも知れない.

■チャップリンの映画はチャップリンでしか撮れない
 彼の「ドラマ」や「ギャグ」を真似られる監督はいても,彼の「芸」を真似る監督はおそらくいないだろう.したがって,チャップリンの映画はチャップリンでしか撮れないのは当然のことなのだ.ヒッチコックもどきの映画は数多くつくられようが,チャップリンもどきの映画はつくられない.
 話は逸れるが,そういって意味で,ジャッキー・チェンはチャップリンの後継者だと思う.彼も,「芸(=スタント)」「ギャグ」「ドラマ」の三要素で傑作を生み出そうと頑張っているからだ.ただ,ジャッキーの場合,「ドラマ」の部分が非常に弱いし,「ギャグ」の部分はチャップリンやキートンなどのモノクロ時代のコメディからパクっていることが多くて独創性に欠ける.結局ところ,ジャッキー・チェンは,「芸(=スタント)」に秀でたコメディアンの域を脱することができていない.よって,新鮮な「ギャグ」で「ドラマ」を見せる監督が彼を役者として使った場合,チャップリンに勝る作品を生み出せる可能性がある(幸か不幸か,そんな監督が彼を演出することは今までにないが).

■「芸」「ギャグ」「ドラマ」の三位一体が傑作を築く
 話は逸れたが,チャップリンの作品には,「芸」をメインにしたもの,「ギャグ」をメインにしたもの,「ドラマ」をメインにしたものがあり,どれも一級の出来に仕上げる手腕を彼は持っている(例えば,チャップリンが出演をせず監督に徹した,ギャグなし,芸なし作品「巴里の女性」を観れば,彼が「ドラマ」だけで見せることができることはよく分かるだろう).しかし,彼の作品の中で,傑作と呼ばれるものは,この「芸」「ギャグ」「ドラマ」の三要素のバランスが見事にとられたときであることも,彼の作品を観続けると分かってくる.どれか一つだけでも欠けてしまうと,「佳作」止まりになってしまうのである.
 「芸」「ギャグ」「ドラマ」が三位一体となった作品を観ないことは,その人にとって大きな損出となることは間違いない.さあ,あなたも今すぐパソコンの電源を切り,レンタル屋のチャップリン・コーナーへ駆けつけるのだ!


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